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コロナ時代の安心「ライフスタイルテック」スマートマスクにスマートベビーベッドまで【CES2021】(4)

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CES2021レポートの4回目は、パンデミックを受けて、いかに安心な毎日を送るかの知恵が絞られた「ライフスタイルテック」を紹介する。マスク型デバイスや、在宅勤務を快適にするデバイス、赤ちゃんを見守るフェム&ベビーテックなど、革新的な製品やサービスが次々と登場している。

安全な外出・帰宅をサポートするマスク型デバイスやLED活用

マイクロソフトの サティア・ナデラCEOが、パンデミックを受けて「2年分のデジタルトランスフォーメーションが2ヶ月で行われるのを目の当たりにした」と述べているように、CES2021では、業界を問わず多くの企業リーダーが、数年後に予定されていたDXプロジェクトが最優先事項となり、猛スピードで実現したと明かした。このDXの波は、一般家庭で身近に使われる製品にも及んでいる。

パンデミックを象徴するアイテムとなった「マスク」。CES2021には、ゲーム、AI、家電などジャンルを超えた企業から複数のマスク型ウェアラブルデバイスが登場した。

フランスのAIスタートアップxRapid Groupの子会社であるNGNRのスマートマスク「xHale」もその1つだ。新型コロナウイルス対策のために開発された製品だが、大気中の分子の99.9%を通さず、有毒物質を扱う現場や、重度のアレルギー対策、コロナ以外のさまざまなウイルス対策としても効果的だとされる。

人間工学にもとづいたデザインを採用し、重さは200g。圧力センサーにつながれた2つのファンがユーザーの呼吸とシンクロして自然な呼吸を促し、まるでマスクを着けていないかのような快適さを実現した。また、連動アプリを使って呼吸の状態の把握や、スマートマスクを使いこなすためのアドバイスを受けることも可能だ。

韓国LGの空気洗浄機付きマスク「PuriCare Wearable Air Purifier」は、頬にあたる部分に家庭用空気清浄機と同じH13 HEPAフィルターが2つ搭載されており、空気を吸い込む前に99%以上のバクテリアや花粉、99.7%以上のウイルスやアレルゲンを排除する。また、xHaleと同様に、呼吸器センサーにつながれた2つのファンがユーザーの呼吸をサポートする仕組みで、あわせて鼻や顎に負担のかかりにくいデザインとして、重さも126gと軽量だ。2020年10月に香港でローンチしており、1,180香港ドル(約1万6,000円)で販売されている。

上記の2製品はWearable Technologies 部門で革新賞を受賞している。

また、Health & Wellness部門で革新賞を受賞した、Aalokの家庭用ボックス型消毒デバイス「UVC Shield Box」もコロナ下での安全な外出をサポートするアイテムである。

Aalok は、韓国の「Pakers」傘下の美容&ウエルネス機器のブランドで、LEDセラピー関連製品を複数開発しており、この「UVC Shield Box」もUVC LEDを活用している。鍵、財布、スマホ、マスク、メガネ、クレジットカードなど、外出時に持ち歩く小物をUVC Shield Boxに入れると、内部に装備された4つのUVCチップと2つのUVAチップが、99.99%のウイルスを殺菌。ボックスの蓋はモーションセンサーにより自動で開閉する。本体そのものの持ち運びも簡単なコンパクトサイズで、オフィスや自宅でも使いやすい。

マルチセンサリーな空間演出で自粛生活におけるリラックス感を導く

外出制限や自粛により、自宅はワーキングプレイスや勉強の場、あるいはジムや娯楽施設の役割も兼ねるようになったが、気持ちの切り替えが、空間的にも心理的にも難しいと感じる人は少なくない。そんな状況に対応するのが、香港のスタートアップMiscato Limitedが開発した、スマートアロマセラピーデバイス「AROMEO Sense」だ。

専用アプリからカスタマイズできるのは、3つのエッセンシャルオイルを使った香り、1,000色以上のLEDライティング、9つの自然環境を再現する音などで、マルチセンサリー体験の提供を可能にした。ユーザーは就寝時や、瞑想タイム、仕事や学習に集中したいときなど、TPOに合わせた室内環境を自分の好みでクリエイトできる。

たとえば、Sleepモードでは、日没の光を模したライティング、穏やかな香りと音楽で入眠に導き、設定した時間になると太陽光のような光と爽やかなアロマ、鳥のさえずりで起床を促すといった設定が考えられる。

改めて注目のクルマ、車内環境をアロマで改善、ウイルス軽減も

Nissan USのVP兼CMOのアリソン・ウィザースプーン(Allyson Witherspoon)氏は、パンデミックの影響で、米国の消費者にとって車は単なる移動の手段ではなく、安全な外出を可能にする自由の象徴へと認識が変化したと語り、移動可能な非接触空間として自動車が改めて注目される。

米カリフォルニアのスタートアップInhalio は、車内空間をアロマの力でより快適にカスタマイズする「Wellness Ride」プラットフォームを提案する。ディフューザーに挿入された4つのアロマカートリッジを、専用アプリを使ってブレンドする方式だ。カートリッジはそれぞれ、体臭やペットの匂いの除去、軽度の車酔いの予防や、気分を上向きにする効果を持つ香りの放出に加え、大気中のバクテリアを削減するカートリッジもある。パンデミックで利用をためらうことの多くなったライドシェアでも活用されることが期待されている。

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Wellness Ride
出典: Inhalio公式サイト

母親、そして父親のストレスの軽減にもつながるベビーテック

「フォーブス」誌によると、新たに母親になる女性の7人に1人は、出産前後に不安やうつの症状を抱えるが、パンデミックにより、その割合はほぼ3倍に跳ね上がったとの研究結果が発表された。 数年前から盛り上がりをみせるベビーテック分野だが、母親、そして父親の不安やストレスを取り除き、ベビーとの絆を深めるような製品が、今まさに必要とされている。

2名のハイリスク妊娠の専門医が立ち上げたNixxi は、早産の可能性を分析するデジタルスクリーニングツール「PopNatal」 を開発。従来の、過去の妊娠をベースにした早産のスクリーニングでは、初産婦には対応ができず、早産リスクが7%しか検知されないという。

PopNatalは、妊婦がスマホなどから15分ほどで終了する自身のプロファイルや環境についての質問に答えると、300以上の危険因子と照らし合わせて回答を分析し、これまでの約10倍の早産リスクを検知し、72時間以内に担当医師に結果を報告するというものだ。早産の危険性を妊婦と担当医が把握し共有することで、予防や対策に取り組める。

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出典: Nixxi公式サイト

同じく妊婦を対象にしたデバイスでは、米オハイオのスタートアップmbrioの「Pregnancy Headphones」 がユニークだ。通常のイヤホンをmbrioのアダプターにセットし、ウエストバンドにクリップで留め、音楽を流せば、特許取得技術で自動的に安全な音量に調整し、胎児も音楽を聞けるというもの。すでに全米で販売しており、多くの女性から「赤ちゃんとの連帯感を感じられる」と好評だ。好きな音楽をお腹のなかの子供とともに楽しむ時間は、妊婦の癒しとなりそうだ。価格は34.99ドル(約3,700円)。

また、乳児の夜泣き、寝付きの悪さは、出産後の疲労やストレスの最大の原因となる。日本のスタートアップFirst Ascent が手がける「ainenne」は、赤ん坊の寝かしつけをサポートする、世界初のAI搭載のベッドライト型スリープトレイナーである。LEDライトやホワイトノイズを使って赤ん坊の生活リズムを整えるとともに、世界150カ国15万人の乳児の鳴き声データ解析から生まれた「泣き声診断アルゴリズム」AIが、赤ん坊が何故泣いているのかを分析し、教えてくれる。また、睡眠データや泣き声データをトラッキングし、スマホから育児データを見ることも可能。Smart Home部門で革新賞を受賞し、多くのメディアの注目を浴びた。日本では2021年3月頃に発売を開始する予定だ。

米カリフォルニアのCradlewise は、赤ちゃんを寝かしつけてくれる世界初のセルフラーニング機能付きスマートベビーベッドを発表。スマートセンサーが乳幼児の状態を感知し、まだ寝ているはずの時間なのに起きてしまうと、自動でベッドを揺らし、眠りに誘う。また、モニターとしても機能し、ベッドのなかの赤ちゃんの様子をスマホに伝えてくれる。睡眠データや運動データのトラッキングも可能。モニターからは「まるで魔法のよう、手放せない」との声があがっている。2021年の7月に全米で販売開始の予定で価格は$1,999(約21万円)。

最終回となる次回のCES2021レポートでは、2021年のキートレンドにも選ばれた「デジタルヘルス」(デジタルを活用したヘルスケア)をテーマに、健康の自己管理を助けるデバイスや遠隔医療サービス、最新のメンタルヘルスケアについて紹介する。

<そのほかのCES2021レポートはこちら>
(1)AIとIoTで「カスタムビューティ」時代の到来、牽引するアモーレパシフィックやロレアル
(2)ロレアルとP&G、SDGs観点から「水」や「衛生」などのサステナビリティにアプローチ
(3)台湾はIoTスキンケア、韓国は化粧品スマートファクトリー。香水、漢方茶もカスタムの波
(5)肺を鍛えるデバイス、ウイルスのスクリーニング、メンタルケアなどデジタルヘルスの最前線

Text: 東リカ(Rika Higashi)
Top image: AROMEO Sense

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