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ZOZOCOSMEがARメイク実装、ユーザー視点で3つの強化を進め取扱高100億円へ
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ZOZOCOSMEがARメイク実装、ユーザー視点で3つの強化を進め取扱高100億円へ

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2022年4月5日、ZOZOTOWNのコスメ専門モールZOZOCOSMEで、「ARメイク」のサービスが正式に開始された。ソリューションを提供するのはパーフェクト株式会社だ。ZOZOCOSMEの現況と今後、ARメイクの実装までのプロセスと将来像について、株式会社ZOZO EC推進本部 カテゴリ推進部 ディレクター 青木俊祐氏、同社 技術本部 技術戦略部 創造開発ブロック長 諸星一行氏、あわせて、パーフェクト株式会社 代表取締役社長 磯崎順信氏にそれぞれ話を聞いた。

右肩上がりで成長するZOZOCOSMEの新たなユーザー体験、ARメイク

ファッションECのZOZOTOWNを運営するZOZOは、2021年3月18日にコスメ専門モールとしてZOZOCOSMEをオープンした。およそ1年が経過した2022年3月期の段階で、商品取扱高は57億円にまで拡大。同時期までの出店ブランド数は600以上に達している。青木氏は「コスメ購入者も順調に右肩上がりで推移している状況だ」と説明する。

加えて青木氏は「ZOZOCOSMEは若い層にリーチできている。また、スキンケアやヘアケアなどさまざまなカテゴリーを取り扱っているが、メイクアップ関連アイテムが約半数を占め、ZOZOCOSME全体の売上としてはおよそ半分がラグジュアリー系ブランドだ」と明かす。直接商品を試せないECで「いかに使い勝手がよいか」を主眼においたUI/UXが奏功しているといえるだろう。

株式会社ZOZO EC推進本部 カテゴリ推進部 ディレクター 青木俊祐氏
プロフィール/2004年、株式会社スタートトゥデイ(現・株式会社ZOZO)へアルバイトとして入社。2005年の社員登用後はバイヤーやテナントの運営管理、営業をはじめ、オリジナルブランド「ZOZO」の商品企画など幅広く経験。2021年からはZOZOTOWNリニューアル時に新設されたコスメ・シューズのタブ管理・売上管理をおこなっている

このように、アパレルのみならず、コスメのEC販売においても好調なZOZOが、ARメイク(ARとAI技術を活用したバーチャルトライオン)を実装した。導入を指揮した諸星氏はその背景について次のように説明する。

「コスメECには、実際に商品を試せないがゆえに色選びが難しいという課題があった。奇しくもコロナ禍にみまわれ、物理的に商品のタッチアップができない市況も重なった。それらの課題を解決しつつ、ZOZOCOSMEにおける購入体験をより豊かにするため、ARメイクの導入検討が2020年6月頃より始まった」(諸星氏)

株式会社ZOZO 技術本部 技術戦略部 創造開発ブロック長 諸星一行氏
プロフィール/カメラマン、ウェブ制作、ソーシャルゲーム開発、フリマアプリのR&Dなど複数の業界を経て、2019年にZOZOに中途入社。VRゴーグル、初代「Oculus Rift」に出会ってVRに傾倒し、その後の人生が大きく変わる。現在はXR × ファッションという軸で日々試行錯誤中

ZOZOでは当初、自社内でARメイクを開発する案も浮上していたと諸星氏は話す。だが、各商品のテクスチャーの収集、サービスの質の担保、ソリューション全体の管理・運用面における課題を踏まえて、外部サービスの検討を始めた。複数社のソリューションを比較検討するなかで、最終的にパーフェクトのARメイクソリューションの採用実績、信頼性が突出していたことを理由に導入を決定したという。

ZOZOコスメに実装されたARメイク
出典:パーフェクト ビューティー&ファッションテック ウェビナー

これを受けてパーフェクトの磯崎氏は以下のように説明する。

「(パーフェクトのARバーチャルメイクは)この数年で取引ブランドの数も大幅に増え、保有する色玉データも40万点を超えた。現在、410以上のブランドにソリューションを導入いただいている。AR/VRなどバーチャルで何かを表現する際には、反射や色味などを明示的にコーディングする必要がある。バーチャルの世界で“普通に自然に見えること”は想像以上に難しく、弊社エンジニアはその微細な世界をとことん追求している。データとフロント側の技術がセットになっているうえ、ECプラットフォームへ比較的簡単にプラグインできる汎用性は、他社に追随できない強みだと自負している」(磯崎氏)

パーフェクト株式会社 代表取締役社長 磯崎順信氏
プロフィール/デジタルメディアテクノロジー関連の外資系ベンチャー企業の日本代表等を経て、2015年にPerfectCorp.の日本法人の立ち上げより現職で参画。バーチャルメイクアプリ「YouCam メイク」をはじめ、AI/ARによる新しい消費者エンゲージメントプラットフォームを多くのブランド・小売店・メディアに向け提供し、エコシステムを確立
パーフェクトのARメイクソリューション導入ブランド数の推移

ZOZOCOSME内のARメイクのリリースから約1カ月が経過した2022年5月時点で、同ソリューションに対応しているのは21ブランドだ。ユーザーはARメイク画面下部のボタンから、そのまま購入もしくはお気に入りへの追加ができる。諸星氏は導入にあたり「ZOZOTOWNのサービス内でのバーチャルトライオン機能になるため、シンプルかつわかりやすいUI/UXに徹底的にこだわった」と実装までのプロセスについて話す。

「今回は、エンジニアのみならず、デザイナー、品質管理チーム、企画営業チームがワンチームとなってARメイクの企画に取り組んだ。社内には、コスメ好きや、他社サービスでバーチャルトライオンを経験したことがある社員も多い。そのため、機能の在り方や使いやすさの面において、リクエストや意見が多く寄せられた。開発を開始する前や開発途中でも、社内アンケートやテストを繰り返してリリースにいたっている。もちろん、ブランド側にも開発段階から周知を行った。(開発にあたり)複数のブランドにも参画いただいているが、バーチャルトライオンについて知らないブランドも少なくなかった。私自身は渉外役としてクライアントに向き合ってプロジェクトを進めてきたが、ブランド担当者の方々にテスト版を体験してもらいながらUI/UXについて説明した」(諸星氏)

ZOZOがARメイク実装にあたって検討したUI/UXの詳細については、たとえば、バーチャルトライオンした顔とそうでない顔を比較できるスライダーの設置の有無があった。結果的にスライダーは設置されることになったが、リリース前はその機能が必要なのか不要なのか議論をとことん深めたという。またパーフェクトのソリューションの場合、ユーザーがARメイクを行う際に、デフォルトで肌補正が入るが、補正のパーセンテージも細かく調整を行ったという。こうした議論と調整を経てリリースに至っている。

「社内からは細かい要望が数多くあがってきたが、パーフェクトのサポートエンジニアの方々が適宜対応し、迅速に改修してくれて最後まで良好な関係でリリースに漕ぎつけることができた」(諸星氏)

その結果、リリース直後であるため詳細な数字は公表できないものの、ARメイクの初動の動きはプロジェクトチームの想定に応えるものになったという。対象商品に対するARメイクの起動率は上々で、とくにARメイク利用後のお気に入り登録数が倍増している点は大きな成果のひとつだと諸星氏は話す。

「複数のブランドをまたいでバーチャルトライオンができるのは、弊社ならではの強み。あくまでZOZO内で観測した範囲ではあるが、初めて試したユーザーからは精度が高いという評価を多くいただいている。ARメイクの存在を知らないユーザーもまだ少なくないが、これはポジティブに捉えれば、まだ伸びしろがあるということ。今後、エンゲージメントや購買体験を高める機能としてブラッシュアップを続けたい」(諸星氏)

ユーザーにとって使いやすいARメイク機能へ、3つの強化ポイント

今後、ZOZOCOSMEでは3つの方向でARメイク機能を強化していくとしている。まずひとつめは対応ブランド数の拡充だ。他社のECサイトと比較してもともと男性ユーザーが多いZOZOTOWNでは、全体の約3割を占める男性に向けてメンズコスメのカテゴリーも充実させていきたいとする。

2つめとして新カテゴリーへの対応を目指す。現在はリップとアイシャドウのARメイクが可能だが、今後はチーク、アイブロウなどへの対応を検討しているという。「ARならワンタップでさまざまな色味を試せる。こうしたAR体験ならではの強みが発揮できるカテゴリーへの対応を積極的に検討していく」(諸星氏)

3つめとして強化をはかるのが、各カテゴリーを組み合わせで試すルック機能だ。「現在はリップだけ、アイシャドウだけと、それぞれ単品でARメイクを利用できる状態だが、今後は複数のカテゴリーを組み合わせて使えるルック機能の導入も視野に入れている。その際にも、ユーザーフレンドリーでシンプルなUI/UXを心掛けることは徹底し、複雑化を避けながらユーザーの体験を高める方向でARメイクの機能強化を図っていきたい」(諸星氏)

オープンから2年目の目標は商品取扱高100億円、アパレルとの合わせ買いも促進

ZOZOCOSMEはオープンから2年目の目標として、商品取扱高100億円を目標に掲げている。

「オープンから1年が経過し、それなりの数のブランド誘致が実現した。ただ、未だユーザーニーズに応えきれていない。新規出店ブランドの誘致を引き続き積極的に行っていく。また弊社の強みを活かし、アパレルとコスメの“合わせ買い”を促進する施策を実施・強化していきたい。さらに男性ユーザー向けにメンズコスメを強化すること、ギフト需要に応えるためのブランド拡充も今後の目標だ」(青木氏)

肌の色を計測するZOZOGLASS

ZOZOは、ARメイクのほかにも、肌の色を計測するZOZOGLASSの技術も保有・提供している。こちらは2022年1月時点で計測者数(延べ利用者数)は110万人を超えた。販売データのみならず、ユーザーの嗜好性やパーソナルデータが蓄積していくなか、新たな顧客体験の創出にも期待がかかる。

Text: 河鐘基(Jonggi HA)
Top image: 株式会社ZOZO
画像提供: 株式会社ZOZO、パーフェクト株式会社

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