「TikTok買い」、美容分野のクリエイティブとキャスティングの重要性をNateeとNELに聞く
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「TikTok買い」、美容分野のクリエイティブとキャスティングの重要性をNateeとNELに聞く

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ショートムービープラットフォームとして、急成長を遂げているTikTok。ユーザーの日常に深く入り込み購買への影響力を持ち始めている。美容ブランドはTikTokをどう活用すべきか。TikTokマーケティング支援企業であるNateeと、美容・ライフスタイル分野に強みを持つTikTokエージェンシーであるNELの2社に、そのポイントを聞いた。

「TikTok」をマーケティングの柱としてとらえる美容ブランドも

急成長中のショートムービープラットフォーム「TikTok」。縦長のUIと、拡散性の高いレコメンドシステムで、インフルエンサーのフォロワー数に関係なく、1つの投稿からバズ(情報の拡散)を狙えるのが大きな特徴だ。世界の月間アクティブユーザー数は10億人を突破している。利用のメインは若年層だが、30代以降にもじわじわと広がっている。

出典:App Store

マーケティングツールとしてみたTikTokのベネフィットの1つに「リーチ効率」の高さがある。先述の通りTikTok独自のレコメンドシステムは拡散性が高く、UGC(ユーザー生成コンテンツ)が新たなUGCの呼び水となり、話題化を仕掛けやすく、効率よくターゲットにアプローチできる利点がある。また、短尺だけに他のSNSのような「ながら視聴」が少ないともいわれる。

主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率
出典:総務省、令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書

マーケティングにおけるTikTokの活用パターンは主に2つある。1つはテレビCMなど大型の広告キャンペーンの連動施策として展開する方法、もう1つは、クリエイターを起用したタイアップやギフティングといったインフルエンサーマーケティングだ。最近は、若年層ユーザーに対するアプローチとして、また、小売サイドからも「TikTokは実際の購買につながりやすい」という期待が高く、棚取りの面からもTikTok施策が求められている。日経トレンディと日経クロストレンドが発表した「2021年ヒット商品ベスト30」では「TikTok売れ」が1位となった

TikTokプロモーションで「バズる」と「売れる」の両立をめざすNatee

「TikTokは、短い尺のなかで『この商品を使えば、自分はこうなる』と、商品の便益を、いかに視聴者に記憶してもらうかが鍵を握る。ただ、“バズる”動画と、“売れる”動画が同じとは限らない。動画がバズったとしても、視聴者に残る記憶が“かわいい”や“おもしろい”では購入に結びついていかない。“バズる”と“売れる”の両立を目指す必要がある」

そう話すのは、TikTokに特化したマーケティング事業を運営する株式会社Natee 取締役COOの朝戸太將氏だ。

株式会社Natee 取締役COO 朝戸太將氏
プロフィール/ 東京大学経済学部卒。日英韓トリリンガル。リクルートキャリアに新卒入社し、HR領域で採用・育成・組織づくりのコンサル営業に従事。個性と才能溢れる世界の実現に共感してNatee参画。創業期よりTikTok事業の統括を務め、広告主の認知や購買促進など多様なニーズに対してTikTokを軸としたソリューションを提供。2020年末には「TikTok For Business Award」でブロンズ賞を受賞するなど、Nateeの事業成長を牽引している

Nateeは、TikTokマーケティングの戦略設計からプランニング、制作、運用までをワンストップでカバーし、これまでの動画納品実績は3,000本以上になる。商流の8割がブランドとの直取引で、キャンペーン広告からインフルエンサータイアップ、アカウント運用までTikTokの活用に精通する。

美容企業に対する支援では、店頭売上の最大化を目的としたTikTokクリエイターによるタイアップ施策を手掛けることが多い。そのポイントは、いかに便益を伝えきるか。クリエイティブを通じ、いかに商品の使用感やベネフィットをユーザーに記憶させるかが購買の決め手になるという。

「施策の事後にはKPIとしてターゲットに対するリーチ数を評価するだけでなく、実施前後のPOSデータを共有してもらい、その取り組みが、どれだけ販売につながったのかを検証している」(朝戸氏)

一口にTikTokといっても、エンタメ、ライフスタイル、主婦や子育て、美容などクリエイターのジャンルは幅広く、視聴者の属性によって受け入れられる内容も異なる。クリエイター起用にあたっては、商材と、そのクリエイターの投稿内容との相性を見極めることが重要になる。また、TikTokはトレンドの移り変わりが非常に早く、フォロワー数の多さと再生回数が必ずしも比例しない。そのためクリエイターのキャスティングは、フォロワー数よりも直近の再生回数に重きを置いて選定を行うという。

さらにNateeは、案件によらず常に一定の成果を出せるよう、クリエイティブと購買の関係を独自の指標をもとに評価し知見を蓄積している。その1つが投稿についた商品への感想コメントの数値化だ。クリエイティブの構成とPOSとの相関をみて次の施策に活かしているという。

リーチを獲得する意味でも、TikTokのレコメンドアルゴリズムの面からも、一定再生回数を上回ることが前提にはなるが、一歩踏み込んで「売りにつながる」という意味では、ポジティブ、ネガティブに関わらず、どれだけ商品に関するコメントが視聴者から寄せられるかどうかが鍵を握ると考えているのだ。

実際に、Nateeが支援した美容企業におけるTikTokの活用事例のうち、ユーザーをひきつけるクリエイティブとして際立ったのがSALONIAの事例だ。

SALONIAの電動洗顔ブラシは楽天市場のランキングで急上昇

株式会社Iーneの美容家電ブランド「SALONIA」の電動洗顔ブラシ「イオンフェイシャルブラシ」のプロモーションでは、TikTok美容ジャンルの第一人者であるクリエイター・やみちゃん(HANAHANA所属)氏を起用。再生回数は160万回超えを果たし、楽天市場でのランキングがランク外から急上昇した。

@ayami_yamichan

毛穴汚れも毎日!!摩擦レスで優しくケアできる革命的な洗顔ブラシ‼️メイクの落ちも凄かった✨#SALONIA #pr

♬ オリジナル楽曲 - やみちゃん - やみちゃん

投稿では商品便益を中心にしつつも、肌よりも壊れやすいイメージの生卵をフックにした巧みな構成が視聴者を引き付けた。「クリエイターの柔軟な発想から生まれた、そのクリエイティブを活かせるかどうかで再生回数は大きく変わる。動画の開始から1秒は特に重要だ」(朝戸氏)

また、同じくIーneのクレイビューティーブランド「DROAS」のプロモーションでは、同時多発的な展開で認知拡大と購買につなげた。クリエイターを10名以上起用し、商品とエンタメ性を掛け合わせながらレビューする「商品レビュー系」と、髪がぼさぼさの状態から商品を使ってサラサラになる、使用前後の変化を音楽にあわせて表現する「ビフォーアフター系」の動画を展開した。

@_ciel_0

泥のパワーでサラサラ髪に #pr

♬ Zlin Lin Lin - Official Sound Studio

とくに、Z世代に向けては1本あたりの消費時間が短い動画を複数、同時多発的に展開し、期間中、何度もDROASの情報に触れるようプランニング。視聴した人が思わずコメントを残したくなる仕掛けも奏功し、POSデータは実施前後と比較して2倍となるなど実売に大きく貢献した。

そのほか、別ブランドのヘアスタイリング商材では、発売3年を経て、TikTokをきっかけに在庫を一掃しただけではなく、向こう数年間分の追加発注となった事例もある。このときのクリエイティブは、商品のよさにフォーカスした「美容ノウハウ系」「エンタメ系」を複数展開した。いずれも広告色を抑えて、クリエイターの個性にあわせたクリエイティブとし、さらに効果の良かったクリエイティブを広告として運用する二段構えで話題化を図った。

「商品の便益や使用感をTikTokらしく楽しく伝えることで、記憶に残り商品を覚えていただける。その状態でお客様が店頭に足を運ぶと、“あの商品を買いたい”と想起されやすく、購入につながる。それを上手く展開できた事例だった」(朝戸氏)

こうした動画クリエイティブについては、Nateeは事前にブリーフィングを行い、ゴール設定のすり合わせを綿密にしたうえで、構成はクリエイターに一任する形をとっている。

「TikTokユーザーに響く感性をもっているクリエイターに対して、どんな視聴者にどんな感想を持ってほしいか、その施策で伝えたいこと、なぜ、その訴求軸かなどの背景をお伝えして、クリエイターらしさを活かしながら、商品の魅力が伝わる動画になるようディレクションする」(朝戸氏)

また、メンズ美容の事例で、クリエイターの経験や実感をもとにテンポよく商品の便益を伝えて話題化したのが、パナソニックの若年層の男性向け電気シェーバー「ファーストシェービングシリーズ」だ。同事例では某大手コマースサイトでの売上が前月比150~200%上昇した。

@smile._.0921

毛問題悩んでる人多くない?笑笑男の私がオススメする🕺🕺🤍#pr #ファーストシェーバー #美容 #垢抜け男子

♬ オリジナル楽曲 - 聖秋流 - 聖秋流

独特のカルチャーを持つTikTok内でユーザーと良好な関係を作るのに必要なのは、ブランド目線でなく、あくまでクリエイターや視聴者の目線で、いかに情報を流通させられるか、単なる認知だけではなく購買につなげるには、その設計の力が求められる。

Nateeの強みは、そのようなTikTokの文脈を押さえながら、各種の数値やPOSデータなどをもとに取り組みを評価し、施策について一定のクオリティーを担保できる体制に加えて、キャスティングに必要なクリエイターとのリレーションを持つところにある。だからこそ、クライアントと直取引ができ、新たな事例作りに挑戦し続けられていると朝戸氏は話す。

「今後は、蓄積したデータをもとに、どの商材に、どんなクリエイターが、どんなクリエイティブを出せば、どの程度の効果が見込めるのか、最適なマッチング候補をすぐに割り出せる仕組み作りにも挑戦したい」(朝戸氏)

旬の美容・ライフスタイル系TikTokクリエイターと強いリレーションを持つNEL

一方、ほのぴす氏や、ゆーり氏など旬のTikTokクリエイターの起用に長けるのがNEL株式会社だ。マイクロインフルエンサーを含め約3,500名のクリエイターとのネットワークを持ち、TikTokを中心に縦型動画を活用したマーケティング支援を展開。企業アカウントの運用やギフティング、タイアップなどを手掛けている。案件は美容領域が多く、いわゆるプチプラからラグジュアリーブランドまで幅広く対応しているという。

「これまでTikTokは、大型キャンペーンの1パートとして取り組まれることが多かったが、プラットフォームの成長とともにTikTokを主体とした施策も増えている」と語るのは、代表取締役社長の西田陸氏だ。

そこで求められているのが、NELが得意とする美容系TikTokクリエイターのキャスティング力だ。「商品プロモーションならばフォロワー数の多い大型クリエイターのKOL起用が欠かせないが、ブランドや商品の認知を広く獲得したい場合は複数のマイクロインフルエンサーを起用し話題化を図る方法も有効になる。NELでは創業当初、若い世代のユーザー参加型美容アイテムを開発していたこともあり、当時からTikTokクリエイターとのネットワークを築いてきた。そのため、TikTokをはじめたくてもどのクリエイターを起用したらいいかわからないクライアントに対しても、TikTokの文脈を担保しつつ、キャスティングや施策の自由度が高く柔軟に対応できる」(西田氏)

NEL株式会社 代表取締役社長 西田陸氏
プロフィール/ 関西学院大学在学時より約3年間、EC運営に携わる。 国内大手、ベンチャー企業、シリコンバレーでのインターンを経て、広告代理店に入社し、マーケティング戦略及び施策提案、進行・品質管理を担当。 2017年12月にNEL株式会社を創業。現在TikTok広告代理店事業/プロダクト事業を展開

NELのTikTokマーケティング支援プランの1つで特徴的なのが、フォロワー数10万人未満のマイクロTikTokクリエイターを複数起用する、再生回数保証のタイアッププランだ。同社が独自に広告運用を行い動画の再生回数を保証するもので、TikTokマーケティングを初めて試みる企業が活用するケースが多いという。

一方で、100~200万超えの大型インフルエンサーを起用し、TikTokだけでなく、YouTubeやInstagramといった動画プラットフォームをまたいだSNS横断型の施策も増えている。社内にはTikTokがスタートした初期の頃からマーケティング活用に関わってきたスタッフや、自身も数十万フォロワー数レベルのTikTokクリエイターであるエキスパートが複数名在籍し、プランニングやディレクションに取り組んでいる。

同社では、最近では2022年3月に1,000万再生保証のプランをリリースしたほか、後述のほのぴす氏とともにTikTokプロモーションを実施したいブランドに伴走して、動画のアイディアをともに練るクリエイター共創プランなども近日リリース予定とする。

インフルエンサー兼ディレクターでも活躍のほのぴす氏が語るTikTokクリエイティブ

美容に強いTikTokクリエイターのほのぴす氏は、TikTokだけでなくInstagramやYouTubeなど複数のプラットフォームを駆使して活動していることもあり、SNSを横断した展開や、フォロワーと一緒に手掛ける商品開発などにも意欲的だ。NELとは2021年9月からパートナーシップ契約を結び、プロダクトの開発や次世代クリエイターの育成を手掛けるなど、その活躍の幅を広げてきた。

ほのぴす氏のTikTokは、特定のテーマによらず、ちょっと笑える動画からvlog、ライフハック、美容、ダイエットにいたるまで、舌足らずなしゃべり方のほのぴす氏のキャラクターとともに楽しめる。

ほのぴす氏
プロフィール/ 1998年生まれ。レビュー動画や滑舌の悪さを生かした投稿から人気を博し、TikTokフォロワー数は約74万人を突破。2021年11月には、テレビ朝日とABEMAが共同制作する「“ネオバズ”木曜日『ヒロミ・指原の“恋のお世話始めました”』(以下、略称『恋セワ』)」に出演するなど、SNSを超えて幅広く活躍している。TikTokInstagram

見た目やしゃべり方は「ふわふわ」「舌足らず」だが、時々垣間見せる「目標に真摯に取り組む」ひたむきな姿とのギャップが親近感や共感を呼び、ファンを増やしている。その特有の話し方は自ら創り出したもので、短尺ゆえ音声でも独自性や惹きつける力が必要という判断からだった。ほのぴす氏自身、もともと周りを笑わせるのが好きで、高校時代には友人とのグループチャットに15秒ぐらいの動画を撮って送り、反応をもらっていたという。「TikTokを始めたのは、その友人を笑わせる動画づくりの延長線上でもあった」(ほのぴす氏)

当初は、愛犬の動画をアップするスタイルだったが「しゃべり方が面白い」「本人が出た方がいい」との周りの後押しもあり、今の投稿スタイルに辿り着いた。当初から動画で意識しているのはファーストビューのインパクトだ。現在は、いかに視聴者がコメントやリアクションのしやすい投稿になるかを心掛けているという。企業とのタイアップでも‟ほのぴすらしさ”を軸に商品の魅力を伝えること、ファンを楽しませることを惜しまない。

そのほのぴす氏が関わった案件に、あるシャンプー系の商材がある。このクリエイティブでは、ほのぴす氏が、自身が垢ぬけたとする方法を4つとりあげ、そのうちの1つとして同シャンプーの使用を取り上げた。再生回数は100万回を超え、美容系YouTuberの平均再生回数と比較して約2.7倍の認知度(=再生回数)を達成している。

また、美容ではないが、語学学習アプリの事例では、ほのぴす氏の“舌足らず”なキャラクターがアプリを使ったことで流暢なしゃべりに早変わりする面白さが受け、再生回数は390万回超。アプリストアのランクが25位から1位に急上昇し、投稿後8日間で登録者数は1万人増加と、同アプリが実施した施策として過去最高の実績をあげた取り組みとなった。購買だけでなく、アプリのDL促進の施策としても活用が広がっている。

「TikTokには、テレビCMのような作り込んだ動画とは違う面白さがある。とくに、短尺動画の場合は、伝えたいメッセージを絞り、冒頭にインパクトを出す工夫が必要になる。どんな動画が視聴者に受け入れられるのかは、クリエイターが一番理解しているところだ。多くの人に伝えるにあたっての配慮をすることは大前提に、アイデアを柔軟に出していくことだ大事だと思っている」(ほのぴす氏)

Text: 清水 美奈(Mina Shimizu), BeautyTech.jp編集部
Top image: DANIEL CONSTANTE via Shutterstock
画像提供: 株式会社Natee, NEL株式会社

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