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男性性とジェンダーレス。拡大する欧米のメンズコスメ市場を牽引する2つの潮流

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2024年には812億ドル(約8兆7,000億円)に達すると目される世界のメンズビューティ市場。大手企業からスタートアップまでさまざまなブランドが競うなか、欧米では、男性としてのニーズに着目する方向性と、ジェンダーレス化を推進する2つのアプローチが生まれている。どんな男性像をターゲットに、どのようなコンセプトを各ブランドは提案しているのか。市場の概況と注目のプレイヤーを検証する。

従来の女性観、男性観にとらわれずに個々人の自然なあり方を認めようとするダイバーシティの流れは、美容業界にもさまざまな形で影響を与えている。そのひとつがメンズビューティ商品カテゴリーの拡大だ。

ひとくちにメンズビューティといっても、多くの男性にとっての必需品であるシェービング用品から、日常づかいのスキンケア、本格的なメイクアップアイテムまでさまざまだ。顧客である男性側の意識も、「肌を整えるのも身だしなみだから」という人もいれば、「自己表現の一環としてメイクアップを楽しみたい」という人もいて幅広い。

こうした顧客需要をもとに、現在の市場をざっくり大別すると、シェービング関連など「男性だからこそ必要」な商品を主力とするブランド群と、カラフルなメイクアップなど「性別にこだわらず、使いたい人が使う」商品を主力とするブランド群に分けられる。そして男性側にも、「男性用」とはっきりうたう製品の方が安心して使える「男性性を重要視する」人たちと、性別に関係なく自分に合うものを選びたい「ジェンダーフリー志向」な人たちが存在する。この記事ではメンズビューティ市場全体を概観しつつ、このふたつの流れに着目し、これからの展望をまとめたい。

プレイヤーも増え成長するメンズビューティ市場

まず実際、メンズビューティ市場はどの程度の規模で、今後どのような成長が見込まれるのだろうか。Research and Marketsでは、全世界のメンズグルーミング製品市場は2018年時点で年間606億ドル(約6兆5,000億円)と推計、2024年には812億ドル(約8兆7,000億円)に達すると予測している。また、ここでいうところのメンズグルーミングとは、シェービングクリームやシャンプーといった基本ケアから、乳液やクリーム、そしてコンシーラーやブロンザーといったメイクアップまでをカバーしている。

とくに男性によるメイクアップ製品の利用は、かつてなく進んできている。#MeToo運動などにみられるここ数年のジェンダー観の変化に後押しされるように、性別ありきではなく、個人としての多様性を認めて行動したり発言する男性が増えていることの表れだろう。男性美容インフルエンサーやK-POPスターの台頭で、メイクアップを自然に使いこなす男性の存在感が増し、男性メイクに対するハードルがますます下がっている。

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