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K-Beautyドリーム続々登場か。韓国H&Bストアが育むエコシステム

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AHCスタイルナンダなどに続き、2019年にはスキンケアブランドDr Jart+を保有する企業Have&Beがエスティローダーに約11億ドルで買収された。Kビューティの新興ブランドの相次ぐ大型買収は韓国国内で大きな話題になり、メディアを通じて、化粧品ブランドの中小企業やスタートアップを中心とした韓国化粧品市場の変化が報じられている。その変化を起こしているのが、H&Bストアだ。

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Photo by Sakulpat Suwannop via Shutterstock

韓国では中小ブランドが活況

2019年は、韓国国内でとくに中小ブランドの活躍が目立つ1年になったと、多くの韓国メディアが考察している。国内流通網で大きな存在感を占める大手H&Bストア(ヘルス&ビューティーストア、ドラックストア)では、中小ブランドの製品の売れ行きが非常に好調との報告がある。

1,233店舗を展開し、H&B市場でシェア75%を獲得しているOlive Young が取り扱うビューティ系ブランドのうち、中小やスタートアップブランドが占める割合はなんと80%にのぼる。また同社の2019年上半期の売上トップ10商品のうち7商品が中小ブランドの製品だった。

2019年11月末、Olive Youngは「2019 Olive Young Awards & Festa」というビューティイベントを開催。その席で、購買データ1億件を分析して92のヒット商品を公開しているが、その半数以上が国内中小ブランドの製品だったという結果も話題となった。

ほかの大手H&Bストアでも似たような売上傾向が顕著だ。同じく2019年の上半期、lalavla ではトップ10商品のうち9商品、LOHB's では5商品の中小ブランド製品がランクインしている。

もちろんこれらの小売店が百貨店ではなく、日本のドラッグストアとラインナップが近しいH&Bストアであるため、高級ブランドの取り扱い比率や売上げ比率がそもそも低いということもあるが、韓国の美容業界では、これまでアモーレパシフィックなど大手が占めていた市場シェアの一部を、中小ブランドの製品群が奪取しはじめているというのは共通認識だ。大手ブランド側は相当な危機感を感じているともいわれている。

現在、Olive Youngは、消費者に対して「Less Money, More beauty」といったコストパフォーマンスを重視するマーケティング価値を全面に押し出している。総合的に考えると、韓国の各H&Bストアは、高級ブランドを誘致する努力よりも、中小ブラントとの関係性を構築・強化したり、新興ブランドを育てることで売上を伸ばそうという戦略に立脚しているようだ。

lalavla は、2019年1月からグローバル規模で競争力を発揮できる中小やスタートアップブランドを見出すために、日本語に訳すと「一緒に!一緒に!」という育成プログラムを開始。LOHB'sも、2017年から関係するブランドの強化を図るため、「LOVE H&B AWARDS」というコスメアワードを立ち上げている。2019年の同イベントでは、23社が表彰された。

中小ブランドに注目するのはH&Bストアだけではない。ロッテ免税店は昨年10月、国の機関である中小ベンチャー企業部などと手を組み、優秀な中小ブランドの発掘に乗り出した。2019年末には、ファッションブランドを含む15のビューティーブランドを集めた「K-WAVE BY LDF」というオンライン企画を実施。選出されたブランドに対して、インフルエンサーなどを使った映像の制作といった広報活動を支援するとともに、2020年にシンガポールで開催される世界免税博覧会への参加を後押しして、海外販路開拓もサポートしていくとする。

小売各社が注目する中小ブランド

小売企業が開催するアワード・イベントでも取り上げられ、現在、韓国で注目を浴びている中小&ベンチャーブランドをいくつか紹介しよう。

まず、2019 Olive Young Awards & Festaでは、各カテゴリーの上位商品に中小ブランドのものがランクインした。それぞれ、「isoi」 (エッセンス/セラム部門)、「Dr Jart+」(日焼けケア部門)、「Mediheal」(マスクパック部門)、「Derma:B」(ボディ保湿部門)、「AROMATICA」(シャンプー部門)などの名前が挙がっている。

Olive Young公式インスタグラム

LOHB'sのLOVE H&B AWARDSでは、「afrimo」「romand」「Bellamonster」「ultru」「MOISORUGA」などが受賞した。一方、ロッテ免税店のK-WAVE BY LDFでは、「ohora」「YURICA」「Neepiel」「JUICE TO CLEANSE」「curlyshyll」など11のコスメおよびスキンケア関連の中小ブランドが選ばれた。

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Photo by dailygrid.net

H&Bストアが中小ブランドとコラボして限定商品を出すケースも数多い。一例では、LOHB'sは同社が専売で販売している「AROUND ME」や「Answer19」などのブランドにアワードを授与している。

スタイルナンダやAHC、またDr Jart+のような“Kビューティードリーム”を実現する企業の登場で、実際に韓国では中小ブランドが勢いづいており、社会的にも話題となっているが、韓国はそもそもOEM事業者の数も多く、少ない資金でも化粧品ベンチャーを容易に立ち上げられる環境が整っている。

こうした新興企業に対し、H&Bストアなどが流通の入り口を積極的に開いている現状を鑑みれば、彼らを取り巻く環境はさらに有利なものになっていくと思われる。いわば、中小ブランドのためのエコシステムが完成されつつあるのだ。しかし、エコシステムが整うということは、自ずと中小ブランドの絶対数が増え、過当競争を生み出す結果にもなりかねない。

韓国の業界関係者からは、ここ数年で多くの中小ブランドが乱立しており、その数は「およそ3万ブランド」に達し、「すでに激しい食い合いがはじまっている」との指摘もある。一般論として、生き残って大きく成長できるブランドは、1,000ブランドのうちわずか3ブランド程度ではないかという、厳しい評価もみられる。

次回の記事では、韓国の化粧品業界関係者のインタビューを通じて、中小ブランド戦国時代ともいえる現在の韓国美容業界の現状やトレンド、新たな動きについてさらに具体的に迫っていきたい。また、そこで勝ち残り、次のAHCやスタイルナンダになると予想される中小ブランドが持つ共通点や成功事例を紹介する予定だ。

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)
Top image: Teerawit Chankowet via Shutterstock

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