化粧品業界でも活用が進む、AI生成によるバーチャルヒューマンの真の実力と倫理性
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AIが生成した実在しないバーチャルヒューマンを広告モデルとして利用する動きが、ファッションや美容業界を中心に広がっている。表情やポーズがより自然になり、クオリティが向上するにつれ、活用できる範囲も大きくなり、制作側にもユーザー側にもメリットが生まれている。一方で、普及には倫理的な課題も残る。AI生成モデルが人間にとって代わる日がくるのかを検証する。
広告やWebサイト、オンラインストアなどでは、人物モデルの画像がほぼ不可欠だ。だが、そのモデルのあり方がAI(人工知能)の進化によって大きく変化し、もはやリアルな人間である必要がなくなりつつある。モデルやカメラマン、ヘアメイクなどが「密」になる写真撮影そのものがコロナ下で成り立ちにくくなったことも追い風となり、AIが生成したバーチャルな人物モデル(以下AI生成モデル)を広告やWebサイトに掲載するケースが出現している。この記事では、こうしたAIモデルがどこまでのクオリティで、今後どう広がっていきそうなのか、現状をまとめる。
AI生成モデルとは?
数年前まで、AIが作り出す人間の表情にはどこか人間らしさが欠けていて、いわゆる「不気味の谷」を超えられないといわれていた。だが現在、たとえばRosebud AIが作り出す人物モデルはリアルな人間とほぼ見分けがつかなくなっている。
出典: Rosebud AI公式サイト
こうしたモデルは編集も容易にでき、たとえば目の大きさなど顔のパーツをいじるといった微調整はもちろん、顔全体やポーズ、衣装や背景、ライティングを変更することも可能だ。実在の人物写真においても、肌色や髪色の修整、体型の補正といったことはすでにPhotoshopなどのソフトウェアを使って行われているが、AI生成モデルを使う場合、これらの修整をより簡単にできるように専用のソフトウェアが提供されることが多い。
音声を伴う動画のAI生成モデルも存在する。たとえばSynthesiaでは、AI生成モデルに任意のテキストを話させることができ、しかも聞き手によってテキストの言語や内容を切り替えることもできる。人間のモデルであれば数十、数百パターンも撮影し直す必要のある動画を、ひとつのAI生成モデルでこなせるのだ。
国内外で広がる多彩な先行事例
このようなAI生成モデルのはしりとなったのは、2016年にInstagramアカウントを開設したLil Miquelaであろう。Lil Miquelaはミュージシャンのユン・スケーター(Yung Skeeter)氏率いるテックカルチャースタートアップBrudが作り出した架空の人物だが、人間らしいようで人間らしくない絶妙な表情や体型、エッジの効いた衣装や設定が話題となり、短期間で100万以上のフォロワーを獲得、「バーチャル・インフルエンサー」となった。2020年現在のフォロワー数は270万人に達し、これまでにPRADAやジバンシィ、カルバン クラインなどさまざまなブランドとコラボレーションを行なっている。
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