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満足度96%、ランコムの文字チャットによる「オンライン美容相談」の顧客体験

◆ English version: Lancôme’s “online beauty chat” shopping experience achieves a 96% satisfaction rate by bringing the best of in-store with online services
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世界最大の化粧品会社ロレアルグループの日本法人である日本ロレアル株式会社のラグジュアリー化粧品ブランド「ランコム」が2020年4月から始めた「オンライン美容相談」。ランコムの公式オンラインサイトから文字チャットで美容部員に相談できるサービスで、テキストのみの対応ながら店頭と同じような感覚でアドバイスが受けられると好評だ。オフラインとオンラインの区別なく、よりよい顧客体験を提供していこうとする新たなランコムの試みを紹介する。

「これまでランコム公式オンラインサイトには個別のカウンセリングに対応する機能がなかった。オンラインであっても商品情報を見るだけではなく、店頭と同じようにお客様一人ひとりにあった商品を選んでもらえるようにしたいと考え『オンライン美容相談』を立ち上げた」

日本ロレアル株式会社 ランコム事業部 リージョナル リテールマネージャーの萩原美奈子氏は、そのようにサービス導入の目的を説明する。

チャットボットからシームレスに切り替わりパーソナルな接客を実現

ランコムによる「オンライン美容相談」は、24時間稼働のチャットボットに加え、平日9時から18時までeBA(eビューティーアドバイザー)が接客にあたっている。事前の登録や予約の必要はなく、ランコム公式オンラインサイトの右下のポップアップから気になったときに気軽に質問できる。

機械から人間へとシームレスな接客を実現するため、営業時間中はリアルタイムで来訪者の状況をモニタリングし、チャットボットが対応しきれない質問が入力された場合や、利用者が質問入力の手を止めて一定時間経過するなど、チャットボットとのやりとりで困ったり迷ったりしているように見える場合にeBAが対応する形をとっている。

図1

「オンライン美容相談」の利用手順
出典:ランコム公式オンラインサイト

たとえば、自分に合った化粧水を探そうとチャットボットへの質問入力を何度か続けたあと、次にどういう質問をしようかしばらく間があくと「よろしければ自動応答BOTに代わり、ご質問を承ります。なにかお困りでいらっしゃいますか」とeBAがサポートに入るというスムーズな切り替わりだ。

そこでeBAに、化粧水を探していること、求めている効果などを伝えると、現在の肌のコンディションや悩みをカウンセリングしたうえで、肌にあった化粧水やケアの方法、さらにその化粧水に関連したキャンペーン情報を教えてくれる。チャットの文字だけのやりとりではあるが、美容カウンターで受けるカウンセリングとほぼ同じ体験という印象だ。

このオンライン美容相談のサービスの開始から5か月、利用するユーザーは右肩上がりで増えている。ランコムが実施した直近のアンケート調査では、利用者の96%がサービスに「満足した」と回答。「はじめてのブランド利用だったが、疑問が解消でき、安心して買い物ができた」「カウンター同様に親切丁寧に対応してくれた」といった声が多く寄せられているという。

コロナ禍のなか、フルリモート2週間でeBAを養成

利用者からこうした高い支持を得られている理由の1つとして、eBAの美容知識の高さがあげられる。

「もともとeBAに選抜した3名は入社7年から15年のキャリアがあり、店舗のカウンターマネージャー経験やスキンケアエキスパートと呼ばれるランコム独自の資格を持っている。対面接客における豊富な経験を持ち、どのような質問に対しても明確に答えられるスタッフが、オンライン相談を担っていることがお客様の満足度の向上につながっていると考えている」(萩原氏)

ランコム公式SNSでも告知している

経験豊富なメンバーをアサインしたうえで、さらに教育にも力を入れた。カウンターからパソコンの前へと働き方が変わるなかで、それぞれのスタッフが持つ美容知識や接客スキルを十分に発揮できるようにするためだ。

「研修は新型コロナウイルス感染症の流行下、フルリモートで2週間、毎日9時から17時まで行った。文字だけのやりとりですばやく正確に情報を伝えるため、タイピングやチャットのファンクション操作のトレーニングから、薬事の知識の復習、さらにランコム公式オンラインサイトの構造の理解まで、オンラインサービスに関わる一連のことを身につけた」とeBAのマネージメントを担う同社ランコム事業部eBAマネージャー堤麻由香氏は振り返る。

こうしたトレーニングを経て、堤氏自らもオンラインの接客現場にたち、ランコムカウンターで経験を培った3名とともに「オンライン美容相談」のeBAとして接客を行う。

OJTでノウハウ蓄積、在宅ワークならではの工夫も

サービス開始後、eBAチームでは実践を通じてさらなる接客力の向上につとめている。「オンライン美容相談」では、それぞれのeBA独自のカウンセリングトークも交え、コミュニケーションを行うが、日々の接客のやりとりはeBA同士で共有してノウハウ化し、チャットの終了後におこなうアンケートのフィードバックにも目を通す。

また「チャットでの接客は、返信の早さと的確なカウンセリング力が満足度に紐づいている。オンラインの場合だと、たとえ2、3分の間であってもお客様は待たされていると感じてしまう」と語る。

「カウンターの接客では、表情や話し方など、言葉以外にもお客様が求めていることを知るための情報があり、BA側もそれらを受け止めたうえで、伝えたいことを明確に伝えられ、会話が盛り上がってお客様とたくさん話すことができた。『オンライン美容相談』の場合は対面ではないため、すばやく文章をまとめる力が大切になる。利用されるお客様はランコムが初めてという方からヘビーユーザーまで幅広いが、的確で素早い回答を求める傾向は共通している。質問の文章からお客様の感情や求めていることを読み取るのは簡単ではないが、できるだけシンプルかつわかりやすい文章を心掛けている」(堤氏)

図1

「オンライン美容相談」利用イメージ

現在すべてのeBAが在宅勤務をするなか、Microsoft Teamsを活用しeBA同士がつながり、それぞれの接客状況の確認やその都度アドバイスしあえる環境も整えている。自宅でひとり業務にあたるなか、実店舗での接客のように他のメンバーと協力相談しあえるのは心強いと堤氏はいう。

慣れない環境や、対面で磨いてきた接客テクニックがなかなか通用しないもどかしさ、さらにブランドの代表としてリアルタイムでおこなうやりとりが文字に残るというプレッシャーは、eBAとしては当然感じることだろう。それをチームで協力し合い乗り越える仕組み作りも奏功したといえる。

複数の部署の協力を仰ぎ、サービスの向上を目指す

eBAのコアとなるプロジェクトメンバーは15名ほどだが、それ以外にも様々な部署が関わり、ランコム公式オンラインサイトの運営チームやCCS(お客様相談窓口)部門の協力の下で導線やチャットウインドウの見え方 の改善などを行ってきたという。9月からは新しいシステムを用いることで、新しい形でのカウンセリングができるようになった。

カウンターを超える体験をオンラインで作る

「オンライン美容相談」は日本での導入前に中国やアメリカのランコムが先行して導入しており成果を上げてきた。特に中国では導入によりオンラインの売上が拡大しているという。日本のランコムでも、今後サービスをより多くの人に利用してもらうためeBAを増員していく予定だ。

その第一歩として当面は、eBAチームによる売上規模の最大化を目指していく。店頭では特定の美容部員を目当てに顧客が来店するケースもあるが、eBAの場合は今のところ、そうした指名をしての利用はチャットの設計上難しい。しかし、ゆくゆくはeBAひとりひとりのキャラクターを認知してもらえるようアイコンやUIを工夫し、オンラインでも顧客の固定化を促していきたいとする。

また、ランコム公式オンラインサイトにARバーチャルメイクなどを導入し、テクノロジーを入口にしてeBAの接客につなげる構想もある。テクノロジーで会話のきっかけを作り、さらにeBAという人を介した接客によって利用者の満足度を高めるのが狙いだ。サイトのコンテンツ強化と並行して、タッチアップやマッサージといった、店頭での対面サービスを通じて育ててきたプレミアムスキンケアラインをオンラインで販売していくための施策についても検討している。

プロジェクト設計から人材教育、さらに、プロジェクトの体制まで、まずはテキストからのチャットでスタートし、徐々にオンラインカウンセリング体験をリッチにしていくアジャイル的な手法は、関わるスタッフたちの納得感も大きく、それが顧客の満足度の高さにつながっているといえる。

Text: 清水美奈(Mina Shimizu)
画像提供:ランコム

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