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OMO型ストアを柔軟に実現するTEMPOCLOUDの「購買体験の網の目」

◆ English version: TempoCloud to revolutionize the online-offline scene with more stores and live inventory access
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OMO型ストアをスピーディにコスト安で実現すること。それに挑戦している企業がTEMPOCLOUDだ。「とりあえずECを始めたい」という声にも同じように応えられるのは、ベースの機能にAPIを柔軟に組み合わせる仕組みによる。開発工数が最低限におさえられ、デザインの自由度も高く複数社と連携してモールのような仕組みも可能。極めつけはプラットフォームでありながら顧客データは自社でも管理できることだ。

「オムニチャネル」「OMO」「シームレスな購買体験」などの言葉に表現されるような、リアル店舗とECの連動が販売の現場で課題となり久しい。ただ、もはや「連動」だけでは不十分なのかもしれない。消費者の“欲”はさらに先を進んでおり、「いつ・どこでも」「思った時に」「どんな商品」でも自由に購入が可能な世界が強く望まれている。

いわば、モノを買うという行為を前提としたあらゆる制約からの解放が求められているのだ。EC化率が低い日本で、その「購入体験における制約の解放」という難題を解決しつつ、販売者を裏側からサポートしようという企業がある。トータルECサポート企業・NHN SAVAWAYだ。同社は2004年に創業し、2013年より韓国IT大手NHNグループに子会社として加わった。

出典:TEMPOCLOUD HP

複数のECをつなぐTEMPOCLOUDの仕組み

NHN SAVAWAYは4月15日、新しいサービスの提供を開始した。クラウド型ECサイトの構築ができる「TEMPOCLOUD」だ。

TEMPOCLOUDは、複数のECサイトの構築、外部機能との連携、一括管理、モール型対応、オムニチャネル対応など、さまざまなEC関連のトータルサポートを提供する。同社のTEMPOCLOUD事業部 部長 安達友昭氏は、それを「パッケージより柔軟性があり、フルスクラッチよりも価格が安いサービス」と表現する。

「自社ECサイトを構築する際、ASP、パッケージ、フルスクラッチ、オープンソースなど、選択肢が数ある。弊社のプラットフォームは、サービス自体はクラウド型ECプラットフォームとなっており、サーバーにAPIを数多く用意している。それらをサイトに組み込んでECサイトを構築・拡充してもらうというコンセプトだ」(安達氏)。

そのため、TEMPOCLOUDは外部機能との連携がしやすいというのも特徴のひとつだ。たとえば、自社にレコメンド機能をつけたいと思った場合に、APIの組み込みが容易に行えるようになっている。従来のパッケージ型のECでは、新しい機能を組み込む際には開発が必要になり、コストも高くなる。しかし、API同士を容易に機能連携することができれば、比較的低コストでECに必要な機能をそれぞれのフェーズや規模に合わせて拡充することができる。

複数のECをたばねてモールも構築可能

複数のECサイトを効率的に運営できるのもTEMPOCLOUDの特徴だ。より具体的には、ひとつの管理画面で複数のECサイトを管理・運営することができ、仕入れ先などパートナー企業とデータ連携することができるのだ。言い換えれば、数多くのECサイトを共通の画面で一括管理できる仕組みが提供されるわけだ。なお、TEMPOCLOUDが提供するのは“後ろ側=管理画面”であり、フロント側の形式やデザインなどには制限がなく、ECサイトの運営側が自由に作り込むことができる。そして商品データおよび購入データなど各種データはTEMPOCLOUDのクラウドサーバー上で管理されるが、ECサイト運営者が保有・利用もできるようになっている。

「このECの構築・連携のコンセプトやビジネスモデルは、韓国では2018年からすでに動き始めている。日本ではヤフー、アマゾン、楽天などモール型ECが業界の売り上げの約60%を占めているが、韓国では逆で、モールが弱い。ドロップシッピング形式が多く、それらを上手く連動させる仕組みとしてTEMPOCLOUDのようなサービスの需要が目立ってきている」(安達氏)

韓国では自社ECサイトが強い企業でも、他社が販売を行うドロップシッピング形式に頼っていることが多いという。サイト運用側は、商品登録、販促、出荷など、さかなければならないリソースや時間、コストが増える。TEMPOCLOUDでは、出品者や仕入れ先などパートナーが登録した情報も一括で反映される仕組みが導入されており、いわばECサイト運用の役割分担が複数社でできるという側面もある。

TEMPOCLOUD事業部のスタッフ

TEMPOCLOUDの目標は「オムニチャネル」

複数のECサイトを、しかも多くのパートナーとともに一括管理できるだけでも、これまでにない便利な仕組みに思えるが、安達氏をはじめとして事業部メンバーが見据えるのは、さらにその先のECを含む小売のあり方だ。

「我々の目標は、EC運営者にオムニチャネルを提供することだ。背景として、人口減少がある。2010年以降、減り続けている日本の人口は、2050年に1億人を下回るという試算もある。そういったなかで、当然だが小売り全体の伸び率も鈍化してきている。その対策はふたつあり、ひとつは、販売チャネルを増やすことだ。リアル店舗のみで商品販売をおこなっている運営者がECに進出する、あるいはその逆でD2CとしてEC専業の運営者がリアル店舗に進出すること。もうひとつは、グローバルで売る、すなわち越境だ。我々は自社のプラットフォームを使ってもらうことで、その動きを加速させていきたい」(安達氏)。

安達氏は、リアル店舗とECの連動が、組織の問題や在庫の仕組みなどの理由でうまくいっていないために生じる機会損失についてこう話す。

「ECサイトで購入されると売上が店舗につかないなどの理由で、ファッションでも化粧品でも、リアル店舗に来た顧客にECでの購入を勧めるというケースはまだ少ない。それが、TEMPOCLOUD では100のリアル店舗があればその100店舗分のECサイトをつくって連動させ、在庫も一括、もしくはぞれぞれで管理できる。各店舗が手軽にECを構築できれば、SNSなどのプロモーションも店舗単位で行うことができ、裏側では各店舗の売上としてデータを保存・確認することもできる。結果、リアルとECどちらで買ったとしても、販売側のメリットが損なわれることはなくなる」(安達氏)。

そうであるなら、TEMPOCLOUDのコンセプトや機能は「複数のECサイトを管理できる」「モールをつくれる」と説明するだけでは不十分だ。リアルとEC、ECとEC、ECとさまざまなソリューションを繋いでいくことで、企業側にはデータ管理やオムニチャネルを、買い手にはシームレスな購入体験を提供する総合的な仕組みということになる。いうなれば、日本で多くの企業が苦労している取り組み、すなわち、OMOを実現するための「共通基盤=プラットフォーム」なのだ。

NHN SAVAWAY株式会社
TEMPOCLOUD事業部
部長 安達友昭氏(右)
同 シニアコンサルタント
高木勝氏

IoT機器ともつながり「点」を「線」にする

「ある一面では、TEMPOCLOUDのサービスはAPIの集合体という側面があるが、API自体はPCやスマートフォンだけでなく、今後、あらゆるIoT機器に埋め込めるようになると考えている。弊社ですでに実用化に向けて動いているのが、デジタルサイネージとの連動。実現すれば、あるリアル店舗においてデジタルサイネージやミラーサイネージを通じて購入した顧客も同じ管理画面で一括管理できるようになる」(安達氏)。

このTEMPOCLOUDとデジタルサイネージなどIoT機器との連動については、同事業部シニアコンサルタントの高木勝氏も、その可能性を「点を線にする」仕組みだと説明する。

「顧客の買い方や購入にいたる状況や事情は多様化している。そのため、売り手としては顧客のライフスタイルやライフサイクルの中に入り込んで、店舗やECなど商品を買うのにいたる“点”を増やしつつ、相互に繋げて“線”にしていかなければならない。ファッションや化粧品であれば、ミラーやサイネージは、店舗で顧客が必ずといって良いほど接触する点のひとつ。その点を線にした顧客起点での購入体験をTEMPOCLOUDで提供できればと考えている」

デジタルサイネージは、店舗以外にも設置できる。商店街や顧客の住まいの近くの沿線駅などあらゆる場所だ。安達氏や高木氏らは、店舗やスマホなどで見た商品が色々な場所のデジタルサイネージで確認でき、かつ購入できるようになる世界を考えており、TEMPOCLOUDをそのためのインフラにしていきたいという。IoT機器はデジタルサイネージにとどまらない。今後、店舗、EC、端末、決済手段をすべてAPIでつなげることにより、ショッピング体験の制約をなくしてオムニチャネルを実現するのが事業部メンバーの目標だ。

「TEMPOCLOUDの仕組みは、ファッションや化粧品などビューティー商品の販売にも大きく寄与するはずだ。韓国ではすでにアパレル系企業の導入実績があり、最近では、デジタルサイネージやARを使った“お試し機能”などについて、まつげエクステを販売している企業と検討中だ。今後も、リアルとデジタルのあらゆる融合を検討していきたい」(安達氏)。

日本では小売におけるEC化率の低さが指摘されるが、ECだけを見ていては問題の本質を見失ってしまう。リアル店舗やECに関わらず、顧客が行動する圏内により多くの「点」、コンタクトポイントを生み出し、それらを相互に繋げて「線」にしていくことができれば、OMO+αの経済圏ができるはずだ。これが、TEMPOCLOUDが構想する「購買体験の網の目」である。

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)
Top image: Zapp2Photo via shutterstock


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