活況のホームフレグランス製品のサステナビリティとLVMHの配送用包装規制に向けた取組み【LUXE PACK Monaco 2023後編】
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2023年10月欧州最大のプレミアムパッケージの国際見本市「リュクス・パック・モナコ(LUXE PACK Monaco 2023)」が開催された。会期中に行われた講演での発表をもとに、前編ではパッケージ業界における課題や先端技術、ラグジュアリー業界における持続可能な開発の事例を紹介した。後編では、今回から展示スペースが特設されたホームフレグランス領域のイノベーションのほか、Eコマースにおける包装規制をレポートする。
Aquacoなどアルコールフリーの水性フレグランスも登場
パンデミックに伴い、心身ともに満たされた状態であるウェルビーイングを重視する意識の高まりを受けて、上質な香りによるストレス軽減やリラックスを求める人々が増え、世界のホームフレグランス市場は著しく成長しており、2023年は130億ユーロ(約2兆1,274億円)に達すると見込まれている。現在、ホームフレグランス市場はキャンドルが50 %のシェアを占めているが、ルームスプレー、電動ディフューザー、スティックタイプのルームフレグランスが伸びており、また、近年はシーツや枕など布地に吹きかけてリラックス効果をもたらすピローミスト(Brume d’oreiller)の人気も高まっている。処方やパッケージにおいても、CSRの観点からイノベーションが加速しており、100%植物由来のキャンドルや、ガラス容器をリユースして蝋の部分を充填するサービスなど、サステナブルな試みが始まっている。
「ホームフレグランス:クリエイティビティとイノベーションの間、世界中で活況を呈する分野(La parfumerie d’ambiance: entre créativité et innovation, un secteur en ébullition à travers le monde)」と題した講演では、ホームフレグランス領域の新しいトレンドや課題などが語られ、登壇者のひとりである仏フレグランスOEM企業のSuperga Beautyのナタリー・ディケリ(Nathalie Dickeli)氏が、消費者がホームフレグランスを選ぶ基準や、環境に配慮した水ベースのホームフレグランスを紹介した。
同社が調査会社Appinioとともに、フランスの消費者500名を対象にホームフレグランスを選ぶ際の基準(7項目)を調査したところ、1位は圧倒的に香りの好みで、2位に価格、3位が香りの持続性、4位に容量、5位にパッケージのデザイン、6位が使いやすさ、そして最後の7位にブランド名という結果になったという。ディケリ氏は「ブランド名が最上位と仮説を立てていたが、結果は最下位の購入動機となり驚いた」と伝えつつも、香りは思い出や記憶、体験と強く結びつくため、当然の優先順位ともいえるとし、同社が香りの強さや環境ダメージの削減を考慮して開発した、ウォーターベースかつアルコールフリーのフレグランス「Aquaco」について説明した。
この水性フレグランスAquacoは、Superga Beautyと南仏グラースを拠点とするフレグランス企業Expressions Parfuméesが提携して開発。アルコールを必要とせずに、強力な香りのエッセンスを水に濃縮できる特許技術によって透明な液体になり、べたつかない質感が持続し、アルコールベースに勝る香りの強さと持続性を持つという。
実際に、液体状態の通常のアルコール入りのフレグランスとAquacoで比較調査したところ、Aquaco は香りの強さがアルコール入りより21%強く、24時間後に比較すると31%強い。そして、香りの持続性では、4時間後には香りが93%、24時間後でも85%残っている。
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