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TikTokが若い世代に人気の理由、その技術、美容業界への応用を考える

◆ English version: How cutting-edge AI is making China’s TikTok the talk of town
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きゃりーぱみゅぱみゅなどが登場するCMで、日本でもすっかりお馴染みとなった動画SNS・TikTok。世界的に拡大を続ける次世代SNSだが、人工知能・ビックデータ解析など先端技術を事業内容とする開発元の企業についてはあまり知られていない。美容業界でTikTokを有効活用する術を分析しつつ、その全体像を掘り下げる。

世界的に広がりを見せている動画SNSアプリがある。中国発・TikTok(中国語名:抖音)だ。その基本的なコンセプトは、ユーザー自ら作成した15秒間のショート動画を共有できるというもの。ユーザーは、アプリ内に用意された音楽やARスタンプ、特殊効果などを利用して、動画を好み通りに作成・編集することができる。

TikTok内のノリは、過去に人気を集めつつもサービス停止となった動画SNS・Vineに近いものがある。ユーザーがアップする動画の多くは、一発芸やネタ、歌やダンスなど。そのためか、利用者層も18歳~30代と若年層が主流である。

TikTokがリリースされたのは2016年9月のこと。2017年8月には海外進出を公式発表し、日本・タイ・ベトナム・インドネシア・インド・ドイツなどの国々にサービス展開を開始した。なお2018年7月には、性的表現や宗教冒涜に同アプリが使用されているとしてインドネシアで使用が禁止されたこともあった(※その後、ブロックは解除)が、現在では全世界150の国および地域に進出を果たしている。

2018年7月に公式に発表された内容によれば、月間アクティブユーザー数は全世界で5億人、中国国内では3億人を突破した。全世界から毎日数百万件の動画がアップロードされているという。中国などを中心に各国ではすでに、TikTok上で活躍するインフルエンサーの存在感も増しており、YouTubeなどと同様に動画および広告配信で稼ぐ人々は・TikTokerという名称で呼ばれはじめている。なかには、すでに約200万元(約3400万円)を稼いだTikTokerがいるとの話題もまことしやかにささやかれている。

開発元は有名ニュースサイト・今日頭条を手掛けるByteDance

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ByteDanceの張一鳴CEO (出典:HP)

TikTokを開発・運営するのは、ByteDance(中国語名:北京字节跳动科技)という企業である。同社はファウンダーの張一鳴らによって、2012年3月に北京市で設立された。

張一鳴は1983年に福建省竜岩市で生まれた。南開大学でソフトウェア工学を専攻し、2005年に卒業。その後、友人3人と企業向けオフィスオートメーションシステムの開発会社を立ち上げたが、業績が伸びず撤退している。そして2006年に旅行総合予約サイト・酷訊網に入社し幹部を務め2008年に退社。2009年には不動産情報サイト・九九房を立ち上げ、150万人ユーザーの獲得に成功する。その後、スマートフォンのさらなる可能性を追い求めるため、同社CEOを辞任。2012年にBytedanceを設立し現在にいたっている。

ByteDanceの設立当初、同社の“稼ぎ頭”はTikTokではなかった。ByteDanceを中国有数の企業にまで成長させたサービスは、ニュースアプリ・今日頭条である。ByteDanceは企業設立の同年8月に今日頭条をリリースしており、2018年には登録者が6億人を突破。最新の情報では月間アクティブユーザー数は約1億4000万ユーザーで、利用者の一日の平均視聴時間は54分~65分という、中国を代表するニュースアプリとなっている。今日頭条やTikTokなどの相次ぐ成功により、ByteDanceの従業員数は2万人以上にまで増えており、中国本社以外にも、日本、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジア、ブラジル、インドにオフィスを構えている。

現在予定している資金調達ラウンドでは、企業価値8兆円と、ウーバーを抜き、世界で最も企業価値の高いスタートアップ企業になる可能性がある
とも報じられているほど投資家からの期待も高い。

ByteDanceの度重なる成功を支えているのは、AIやビックデータ解析などの先端テクノロジーだ。そもそも、同社は機械学習や独自アルゴリズムなど人工知能の開発をてがける企業である。また、ユーザーの行動を把握するビックデータ解析などを事業内容としており、各アプリは、そうした技術をプロダクトに落とし込んだ事例となる。

今日頭条の成功の背景には、AIおよび独自アルゴリズムを駆使したシステムがある。約5500の配信元からニュースを提供されている今日頭条では、人工知能が大量のニュースを各読者向けにパーソナライズするため活躍。またByteDanceは、2016年に独自に設立したAI Labで、2秒間で400文字のニュース記事を自動生成する人工知能ツールの開発にも成功している。

ByteDanceの人工知能は自然言語処理の領域だけでなく、画像認識分野でも高い精度を誇る。その代表例は、TikTokに組み込まれた「天気をコントロールするスタンプ(フィルター)」だ。

これはユーザーが撮影中にカメラに手をかざすと、それまで降っていた雨が止まるという人気のスタンプなのだが、従来の動画アプリでは実現が難しかった。というのも、ユーザーの姿勢や服装など撮影環境は千差万別。そのなかから、人体の主要な部位(同スタンプの場合は手のひら)を正確に検出するというタスクが困難だったのだ。また、「天気をコントロールするスタンプ」といった高度な画像認識技術には膨大なコンピューティングリソースが必要となり、サービスを常に提供することに限界があった。前出のAI Labは、人体の主要な部位を効率的に検出できる機械学習システムを開発。動画アプリをより高レベルに引き上げることに成功した。

TikTokと美容業界の相性は? 非言語コミュニケーションと企画性が肝に

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中国のTikToker(出典:YouTube)

破竹の勢いで拡大を続けるTikTokだが、美容業界との相性も良さそうだ。TikTokのプラットフォーム上で人気を集めるTikTokerたちは、いずれもビジュアルがよく、視聴者の目を引く。また、ショート動画であるため非言語コミュニケーションに比重が置かれる傾向があり、言語が通じない外国ユーザーに向けてメッセージを届けられるという特徴もある。

TikTokでハッシュタグを検索してみると、メイクや美容関連のキーワードが数多く登場する。「#詐欺メイク」や「#ファッションモンスター」「#メイクの力」などで共有されている動画は、どれも凝った作りになっていて見ていて飽きない。主に15秒の尺内で、すっぴんから完璧なメイクアップをした自分に変身するというコンセプトのコンテンツが多いのだが、見る側に大きなインパクトを残す。

ここからは将来的な予想になるが、仮にTikTokのなかに登場したアイテムがECサイトと連動して買えるようになればどうか。従来通り、インフルエンサーの影響力という要素はもちろんだが、クセになるような動画をつくりこむことができれば、共有や反復再生によりマーケティング効率も抜群となるはずである。前述したが、ByteDanceは優れた画像認識技術などを保有している。それらは、動画のなかから美容グッズやファッション用品を特定するというような技術にも応用可能なはずだ。動画アプリとECの連携という理想も、あながち実現不可能ではない。

現段階では、企業が企画性に富んだショートクリップを制作して、TikTokのプラットフォーム上で配信してもよいかもしれない。短い尺でのアイデア勝負ではあるものの、ハネた時の効果は絶大だろう。TikTokには、一度流行ってしまえば、他のユーザーが同じコンセプトの動画を次々と制作する“オマージュ効果”もある。企業とタイアップしたスタンプの配信などが可能になるのならば、そちらを利用するという手もある。

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TikTokをマーケティングに活用したMICHAEL KORS 出典:Baidu

すでにマーケティング効果に注目したファッションブランド・MICHAEL KORSは、TikTokと提携し撮影イベント「the walk(都市をランウェイに)」を開催した。 MICHAEL KORSは、フォロワー400万人を擁するインフルエンサーに出演を交渉。ブランド製品を着用して街を歩く映像を撮影し試験的に公開したのだが、4万人以上を超えるTikTokユーザーが映像を共有するなど大きな波及効果があったと海外メディアによって報じられている。美容関係ではディオールやエスティ ローダー、ランコムなどがアカウントを開設し、参入を果たしている。

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Diorのアカウント

ByteDanceはこれまで、動画アプリ「musical.ly」、スライドショーアプリ「Flipagram」、ニュースアプリ「News Republic」などを買収し外形を拡大し続けている。その影響力は、今後もグローバル規模で高まっていくはずだ。ティーンを中心とした世界中の若者を惹きつけるアプリだけに、美容業界としてもその活用法をぜひとも模索したいところだ。

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)


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