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デジタル時代の法則。ユーザーが真実を語るとヒットの規模が拡大する

◆ English version: After a string of hits, is FLOWFUSHI facing its last winter?
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2017年12月7日に発表された「@cosmeベストコスメアワード」。累計クチコミ1,000万件以上のなかから選ばれる。今年、目立ったのはいわゆる大手ブランドではないメーカーのアイテムの大躍進だ。

ベストコスメアワードの総合大賞に選ばれたのは、「オペラ」のリップティント。ティントのトレンドにうまく乗り、05番のカラーは通称「花嫁リップ」と呼ばれ、圧倒的人気を誇った。そして、総合第6位と下半期スキンケア新人賞、ベストトレンド パーソナライズ賞と3つの賞にエントリーしたのが「FLOWFUSHI」のアイテム。とくにパーソナライズ賞に選ばれた「LIP38℃ リップトリートメント」は、販売と同時に店頭から無くなってしまうほどの反響を起こした。この2つのアイテムが急成長を遂げた理由はどこにあるのか。それぞれの商品開発担当に話を聞いた。

「花嫁リップ」と呼ばれ始めて、さらに火がついた

2017年の@cosmeのベストコスメアワードは、スキンケアよりもメイクアップアイテムの人気が高く、過半数をプチプラアイテムが占めていたという結果となった。そんな流れを牽引していたのがオペラのリップティントだ。

赤リップの流行から、リップメイクが定着。そこから、色が落ちにくく、自分の唇の色で、色づきが変化するティントの人気が本格的になったのも2017年の傾向だった。その結果、多くのメーカーからリップティントが発売されたが、オペラのリップティントが爆発的な人気となった要因は「花嫁リップ」と呼ばれたことが大きな要因のひとつだという。

「それまでグロスタイプのティントが主流だったが、実はスティック状のティントを出したのはオペラが初めてだった。日々忙しくがんばっている女性たちに簡単にきれいになってもらいたいという気持ちから、スティック状なら手軽にすぐつけられると思い、このアイディアはいけると感じた」と開発担当者はいう。

「リップティントが販売されたのは2016年の10月だが、初日から本当に売れた」。ただ、その反響は予想の範囲内だったともいう。「事前調査で、ティントの需要が上昇していくことはわかっていた。また、「スティック状のティント」という製品のコンセプトそのものへの共感が高かった。つまり、ティントの需要も高く、かつコンセプトも新しく、低価格帯の設定なので売れるだろうとは、事前から予想がついていた」

出典:オペラのリップティント・・・別名「花嫁リップ」って!?

しかし、販売してすぐ店頭からなくなってしまうほどの反響は予想外だったという。爆発的人気のきっかけとなったのは、05番カラーが「花嫁リップ」と呼ばれ始めたことだった。「もともとオペラのなかで05番は〝花嫁がもつような多幸感〟の色イメージから、〝花嫁リップ〟と呼ばれていたが、それが社外にも伝わり、キュレーションサイトで取り上げられ、一気に火がついた状況だった」

オペラでは、これまで一度もオウンドメディアで「花嫁リップ」という言葉を使用したことがないというから驚く。オペラが用意したのは、16色あるカラーにそれぞれストーリーを作ったことだけだ。いま、女性たちがどんなコスメを欲しているのかという徹底した事前調査を行い、リップのカラーを幸せなイメージが沸き起こるような言葉で伝えた。この2点が、ベストコスメアワードに選ばれた理由だろう。

開発担当者の言葉が印象的だった。「当たり前のことをきちんと積み重ねただけ」。ユーザーがどうやったら喜んでくれるのか。当たり前のことのようだが、ピュアに実践できるかは別問題だ。そこが同社の強みでもある。

連続ヒットの秘密は3つのキーワード

創業7年。日本の美容業界ではまだ若い、いわゆるスタートアップとして数々のヒットを飛ばしているのがFLOWFUSHIだ。

一世を風靡したモテマスカラで知られる同社が、2017年は7月に発売したばかりの「LIP38℃ リップトリートメント(以下、LIP38℃)」で、パーソナライズ賞を受賞。新作を発表するたびにヒットを飛ばす要因を、株式会社フローフシの商品企画開発・今村洋士氏に聞いた。まず、LIP38℃という商品はどういうきっかけで生まれたのだろうか。

「LIP38℃は、そもそも、唇の悩みを根本的に解消できるリップトリートメントを作ろうと考えたのがきっかけだった。ただ、7日間、あるいは1か月使って、悩みが解消されるだけでなく、女性なら今すぐきれいになりたい、という気持ちもあるのでは? と思った」。その過程で思いついたのが、「温度の違いですぐにきれいになる」という願いを叶える、という発想だった。その根底には、FLOWFUSHIで大切にしている3つのキーワードがある。

「我々は、〝Function・Fashion・Fun〟の3つを大切にしている。リップトリートメントで唇の悩みを解決する、という側面はFunction。そして、自分のなりたい唇によって、温度を選べるのは、Fun。人間は同じことばかりだと飽きてしまうし。それはコスメも一緒。今まで色名で選ぶリップはたくさんあったが、温度で選ぶリップはなかった。温度にすれば、どれにしようかなと選ぶ楽しさがさらに広がると思った」。

思わず人に説明したくなるインパクトを出す

リップといえば、カラーで選ぶか保湿力で選ぶか、という常識を、温度を選ぶという選択肢で越えたLIP38℃。さらに、そのFunは、ユーザーのSNS発信にもつながっていった。

「実際に使ったお客様は、LIP38℃について、本当に丁寧に説明してくれている。おそらく、LIP38℃と最初に聞いたときは頭の中が〝?〟になるはず。つまり、LIP38℃がお題のようになり、それについて使った人が説明をしたくなるイメージ。販売を開始してすぐに、SNSには2万件以上の投稿があった」。とはいえ、ただ商品を発売しただけで、2万件以上もの投稿。SNSで投稿されやすい工夫はしたのだろうか。

「そこは何もしていない。そもそも〝#〟用の言葉を作る必要はない。SNSに投稿する際に絶対商品名を入れるので商品名はとことんこだわっている。インパクトのある商品名にすれば、それに〝#〟をつけてもらえるのでそれで十分」。昨今はメーカー側が〝#〟ハッシュタグで使ってもらう言葉を用意することが増えているが、FLOWFUSHIは、商品名こそがそのままハッシュタグになると考えている。

「インスタ映えにも同じことが言える。インスタ映えするようにデザインを考えるのではなく、そもそもそのデザインがかわいいかどうか、が大事。デザインを良くするのは、SNSができる前から当たり前に大事なことだと思う。昔から雑誌に載ったときに美しく見えるようにとはデザインしてなかったのではないか」。SNSで多く投稿されているにも関わらず、SNS映えは一切考えていない。さらに、パッケージのデザインにもこだわりがあると今村氏は話す。

「日本のコスメのパッケージには、説明が多い気がする。FLOWFUSHIではパッケージに説明的なことはできるだけ加えないようにしており、それよりも、インパクトがあるか、商品とパッケージがきちんと連動しているかを考える。ユーザーがかわいいと思うかどうか、には徹底的にこだわっていて、デザイナーさんにも細かく伝える。それが、FLOWFUSHIで大切にしているキーワード、Fashionにあたる」。

SNSに多くの投稿がされているLIP38℃。インフルエンサーたちに画像などの投稿方法について指示しているのか、と聞いてみるとこんな答えがかえってきた。「一切なにも指示しておらず、自由に投稿してもらっている。むしろ、FLOWFUSHIのアイテムだけではなく、他のブランドと一緒に投稿してOK、と伝えている。実際に使った組み合わせで投稿していいよ、と。本当におすすめの組み合わせなら、他のブランドと一緒に載っていても構わないと。なぜならそれが本当の意見だから。嘘は、結局バレてしまうし、嘘だと広まらない。人間は、本当の話なら素直に信じる。真実の方が強いから、インフルエンサーには何も指示はしていない」。

真実を出すことに尽きる、というFLOWFUSHIの徹底した姿勢。そこには、SNSに対する今村氏の独自の考え方があった。

常に女性たちの期待を上回ることを大切にする

「今、女性たちは、SNSで自己表現をしているのだと思う。SNSの誕生によって、人に伝えたい、知ってもらいたいという気持ちがこれまで以上に高まっている。だから、FLOWFUSHIは、商品名をお題にして、そこにツッコんでもらえたら成功だと考えている。例えば、〝モテマスカラしてるけど、モテてない〟などのように。そして、女性がクチコミをする理由は、感情表現だと考えている。つまり、その商品を使って、期待していたことより実際の体感の方が素晴らしければ、発信をする。だからこそ、期待以上の商品を作ることが本当に大切になってくる」

クチコミ=感情表現。たしかに、クチコミは素晴らしく感動したか、期待を大きく裏切られたときにされることが多い。心をどれだけ揺さぶったかで、クチコミする、しないかを、女性は判断しているのかもしれない。しかし、今村氏はなぜそこまで女性の気持ちを理解できるのだろうか。

「とにかく女性の間に流行ったものや、女性のための商品はくまなくチェックしている。カフェにも並ぶし、女性のための家電製品は必ず買う。そうすると、女性は、どんなものが好きで、何を基準に選んでいるかが見えてくる。味はもちろん大事だが、見た目がかわいいジュースにお金を払うなど、常に女性が何にお金を使うのか、を考えている」

ユーザーに向き合う、を徹底的に行なっているFLOWFUSHI。商品を出すたびにヒットを飛ばす理由はそこにある。

いまこそ見直したい「真実」がもつ圧倒的強さ

ユーザーの動向を徹底的に調べる。そして、自然発生的なクチコミを生み出す仕掛け作り。その2点が、オペラとFLOWFUSHIの共通点だ。自然発生的なクチコミほどの真実はなく、今村氏が話すように、それが何よりも強い情報となる。マーケティングという手法を信じるより、まずはユーザーを信じること。そこから、初めてユーザーとの良好な関係が築けるはずだと改めて気づかされた2017年のベストコスメアワードだった。

Text:篠田 慶子(Keiko Shinoda)

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