見出し画像

花王が発見した「毛髪は紫外線でうねる」という事実、ヘアのUVケア市場が持つ可能性

◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページメルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o

花王株式会社 解析科学研究所とヘアケア研究所は、紫外線が髪の「うねり」にも悪影響を及ぼすことを解明し、予防には髪のUV対策が有効であるという研究成果を2023年1月に発表した。同社では、この成果をエビデンスデータとともに活用し、髪のUVケアという新市場開拓につなげる考えだ。その製品開発について関係者に話を聞いた。

ユーザーアンケートから、頭髪表層のうねりに着目

2020年にナリス化粧品が実施した日焼け止め調査によると、日焼け止めを使用する部位は「顔」「首・うなじ」「肘から手首まで」の順に多く、それ以外の部位、とくに髪においては約8割の人が日焼け止めを使用していないという結果だった。しかし今回、花王が発表した内容は、髪のUVケアが肌のUVケアと同じように習慣化する可能性を示唆するものだ。

2023年1月に発表されたその内容とは、頭髪表層に特異的に発生するうねりについてである。うねりとは、髪がバラバラな向きでカールしたりうねる状態であり、日本人のヘアケアにおいて悩みの大きい状態だ。その発生メカニズムを調べると、紫外線の影響で頭髪内部のタンパク質結合が切断され、その一部がひずんだ状態で再結合するパーマのメカニズムに似た現象が頭髪内で起きていることがわかった。パーマのように意図的に髪にカールをつくるのではなく、さまざまな向きで再結合されることにより、毛の流れが揃わずに質感を損ねてしまうわけだ。この研究成果は、2022年12月に開催された第89回SCCJ研究討論会で発表されており、画期的なものとして注目を浴びた。

髪のうねりに着目した理由について、花王株式会社 研究開発部門 解析科学研究所 田村俊紘氏は、髪の悩みを細かくみていった結果だという。

「花王では、毎年ユーザー向けに頭髪の悩みに関する調査を実施している。その結果、うねりに関する悩みは、10年前と比較しても解決しておらず、これまでとは異なるアプローチが必要であると考えていた。そこで、悩みの中身をさらに細かくみていくと、毛先に次いで、回答者の70%が表層(表側の髪の毛)のダメージを実感しており、表層と髪をめくりあげた内側の髪の形状を観察したところ、表層のほうがうねりが顕著であることがわかった」と説明する。

頭髪表面と内側でのうねりの比較

そこで、日常生活のなかで頭髪表層に与える要因を洗い出し、紫外線、ドライヤー・アイロンなどの熱、就寝時の枕との接触などによるひずみの3要因の組み合わせが、頭髪表層のうねりにつながっているのではないかという仮説を立て、後述するうねり発生評価を行った。その結果、紫外線を浴びた髪に、その後に熱やひずみが加わることにより、パーマをかけるときと同じ現象が髪の内部で起き、それがうねりとして出現することがわかった。

ここから先は

2,615字 / 6画像

このマガジンを購読すると、バックナンバー記事を制限なくご覧いただくことができます。

BeautyTech.jpは最新1カ月の記事は無料、それ以前の記事は全文閲覧が有料です。「バックナンバー読み放題プラン」をご利用ください。

このマガジンを購読すると、バックナンバー記事を制限なくご覧いただくことができます。

「バックナンバー読み放題プラン」の法人・企業様向けプランです。社内限定で転用・共有していただけます。