見出し画像

資生堂×ヤーマン×Meituのタッグは中国で最強の美顔器となるか「EFFECTIM」の評価

◆ New English article
◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページメルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o

資生堂とヤーマンという、ともに中国での人気が高い両社の合弁会社エフェクティムによる新エイジングケア美顔器ブランド「EFFECTIM(エフェクティム)」が日本と中国での販売を開始した。中国では、同ブランドに肌解析技術を提供しているMeitu(美図網科技)の関わりも大きく報道されている。EFFECTIMにおけるMeituの役割やマーケティング動向にあわせて、中国の美容機器市場について紹介する。

中国では2カ月弱で1,200個以上を販売

EFFECTIMは、高度な皮膚科学研究にもとづいた美容機器とスキンケアの融合をうたう。資生堂とMeituが共同で開発した3D肌解析機により、一人ひとりの肌状態を精緻に解析し、その結果をもとに資生堂独自のアルゴリズムによりパーソナライズしたトリートメントメニューを導き出す。それをヤーマンの美顔器にインストールし、付属の専用美容液とあわせてユーザーがセルフケアをするというのが、EFFECTIMのサービスの概要だ。

日本国内でも2021年1月に発売されているが、資生堂中国のプレスリリースではEFFECTIMについて、「美容機器技術」「スキンケア技術」「肌分析技術」を組み合わせた「AWASE Solution(合わせ技) 」と紹介。日本語読みをキーワードに取り入れることで、日本ブランドであることをより強調する狙いもみられる。

スクリーンショット 2021-04-23 10.43.53

出典: EFFECTIM公式サイト(日本語)

AWASE Solutionとは、消費者に対して「肌のエイジングデータ」「マッチングソリューション」「アンチエイジングのパーソナルレッスン」の3つのコアサービスを提供し、より効率的なアンチエイジングソリューションにより持続的に若々しい肌を保つこととしている。その鍵となるのが、店頭で受けられる3D肌解析であり、肌の診断結果に合わせて実際の美容機器が最適な波形で肌を刺激するところである。

EFFECTIMの美容機器には全顔用と目元用があり、それぞれ資生堂が開発した専用のセラムを使用する。アリババグループのEC「Tmall(天猫)」のEFFECTIM旗艦店では、機器と美容液のセットで全顔用で7,999元(約13万3,000円)、目元用セットが6,666元(約11万円)で販売されている。

中国の報道では「Meituと資生堂の提携」が前面に押し出されている。EFFECTIMの3D肌解析機は、Meituの肌診断システム部門「Meitu Eve(美図宜肤)」が技術提供しているからだ。

Meituのプレスリリースによると、店頭での実際の肌診断はスキャニングポッドと呼ばれる小部屋型の機械のなかで顔の正面と側面を撮影すると、肌状態をほうれい線やシワ、毛穴のひらき、肌トーンの識別など、18項目の指標から解析し、3D画像化した顔写真で確認できる。同時に見ため年齢や老化の原因などを提示し、それに合ったエイジングケアを提案する。現在のところ中国では、3D肌解析機はポップアップストアでしか利用できないが、いずれはEFFECTIMの常設店舗を開設するものとみられる。

Tmallの旗艦店では2021年2月25日から予約販売を開始したが、高額にもかかわらず発売から2か月弱で1,200個以上が売れている(4月20日時点)。

ユーザーからは「使い始めはそうでもなかったが、5日目から効果を明らかに感じた」「フェイスラインが上がった気がする」「肌への刺激が強くなくて好き」など、概ね評価が高い。中国SNS「Weibo(微博)」やSNS型EC「RED(小紅書)」などでもEFFECTIMを実際に使用している動画が数多く投稿され、顔の半分だけ機器をあて、使用前と使用後を比較して効果の高さを示しているものもある。

画像2

Weibo上でのユーザーの投稿例
出典: Weibo

急成長する美容機器市場

中国の調査会社 前瞻産業研究院によると、2019年の美容機器市場規模は前年比30%増の65億元(約1,079億円)と急激に伸びている。2020年はコロナ下での自粛生活によるセルフケア需要もあり、オンラインでの伸びが顕著だった。中国の別の調査会社 CBNDataによると、アリババグループの越境EC「Tmall Global(天猫国際)」での同年上半期の成約額は前年同期比606%増だったという。

CBNDataがTmall Globalと作成したレポートでは、都市部に住む20~49歳の女性の59%が「1度は美容機器を使用したことがある」と回答している。主力ユーザーは「80后(1980年以降生まれ)」と「90后(1990年以降生まれ)」で58%を占める。今現在は化粧品の消費を牽引する「95后」と「00后」は15%に過ぎないが、95后は急速にユーザーを増やしているという。

部位別では顔が多く、目元ケアも伸びている。ボリュームゾーンは2,500~3,500元(約4万1,500~5万8,100円)とされる。

ブランド別では海外勢が強く、前瞻産業研究院によると2019年7月~2020年6月のシェアは1位が岐阜県に本社を構えるARTISTIC&CO.の「Dr.Arrivo(ドクター アリーヴォ)」で、2位がヤーマンだった。オンラインだけで見るとヤーマンの方が強く、2019年のTmallでの成約額は1位となった。

ダブルイレブンで5年連続1位のヤーマン

ヤーマンは2015年に中国での販売を開始。中国市場は総代理店の碧捷(広東)潔浄科技が販売を担い、Tmall以外ではJD.com(京東)やRED、Vipshop(唯品会)などに出店しているほか、オフラインでも200店舗以上を展開している。

オンラインではKOL(キー・オピニオン・リーダー)を積極的に活用。毎年11月11日に行われる「ダブルイレブン(双11)」の美容機器部門では、5年連続で1位を獲得している。ヤーマンのWebサイトによると2020年のダブルイレブンでトップKOLのVIYAを起用したライブコマースでは、RF美顔器「Bloom WR」が25秒で完売したという。

画像3

中国市場で人気の高いヤーマン
出典: ヤーマン公式サイト

こうした積極的なプロモーションだけでなく、安全性の重視もうたう。ヤーマン中国は2020年に業界初となる臨床試験を医療機関などで行った。中国の各エリアで実施しこれまでに400人の試験が完了。安全性に問題ないことが確認されたとする。こうした外部機関と連携した試験だけでなく、碧捷(広東)潔浄科技は広東省佛山市にラボを開設する計画もある。

さらにヤーマンは2021年4月に100%出資の「雅萌(上海)美容科技」を設立すると発表。同社を通じ、化粧品ブランド「ONLY MINERALS」の中国販売を強化する。現地法人を構えることで、美容機器事業とのシナジー効果も期待できそうだ。

美容業界でのエコシステム構築を目指すMeitu

この資生堂とヤーマンという中国市場でも支持が高い2ブランドと、技術面での提携を果たしたMeituは、ユーザーの間では、ARバーチャルメイクや画像加工ができるアプリ「美図秀秀」で知られる。同社は業績も好調で、2020年の売上高は前年比22.1%増の11億9,400万元(約198億円)、売上総利益は13.5%増の7億9,400万元(約132億円)と増収増益だった。純利益は6,090万元(約10億円)で、創業以来初の黒字となった。

Meituは2018年に主力であったスマートフォン事業を手放すかたちでシャオミに移譲し、その後は、美図秀秀や、今回EFFECTIMにも搭載されたAI肌診断ツールのMeituEveなど、得意とするARやAI技術、肌分析に集中したことが奏功した。

Meituの収益の稼ぎ頭である広告収入は9.5%減少したが、アプリのサブスクリプションや課金が140.1%増と成長。さらにその他の事業も177.1%増と大きく伸び、なかでも企業向けの肌診断ツールMeituEveは売上が2番目に大きかった。

サブスクリプションや課金の伸びは、美図秀秀アプリの使用時間にも表れている。1日の平均使用時間は、2019年下半期の13.6分から2020年同期には16.1分に延びた。ユーザー数も増加し、2021年の春節期間中の1日当たりのアクティブユーザー数(DAU)は、前年同期比13%増の3,100万人超だった。

その要因のひとつには、アプリ上の「美図配方」機能の追加がある。他ユーザーによって制作・投稿されたARフィルターやエフェクトなどを自分の画像にすぐに適応することができる機能だ。

画像4

アプリ上に追加された新機能「美図配方」
出典:Meitu公式サイト

Meituはそれに先立ち、ユーザーが自分ならではのフィルターやエフェクトを作成できるプラットフォームとして、2020年6月に「美図創意平台(MCP)」をローンチしている。PCアプリ上でARフィルターやエフェクトなどを作成でき、アーティストやクリエイターらが作成した作品は美図秀秀や「美顔相機(BeautyCam)」などのMeituのアプリに投稿できる。それを、美図秀秀であれば、上記の美図配方機能でユーザーが好きに選んで使えるというわけだ。

Meituではこの機能によってUGC(ユーザー生成コンテンツ)を創出するのが狙いで、アーティストとユーザー、ブランドでつながる世界を目指している。そしてブランドに対しては、この仕組みを使って新たなプロモーションが可能であると訴求している。同社の公式サイトによれば、すでに多くのブランドがクリエイターと提携する意向を示しているという。

Meituが、最終的に目指しているのは、SaaSを活用した美容業界のエコシステム構築だ。美図秀秀アプリを通じたマーケティングやユーザーとのコンタクト、AIやARによる店舗向け肌診断サービスMeituEveに加え、同社が出資する美容業界向け販売プラットフォーム「Meidd(美得得)」上では、1万店以上の化粧品小売店にERP(業務基幹システム)やCRM(顧客関係管理)を提供しているという。2020年末からはこういった機能についてSaaSでの提供も開始した。

Meituの呉欣鴻CEOは、「さまざまなスマートデバイスと美容サービスを統合し、ユーザーが“バーチャルの美”から“現実の美”を実現できるようにする」と発言している。美容ブランドとの関係を深めることで、ユーザーにもメリットのあるかたちでさらにエコシステムを拡大していく狙いとみられる。

今回のEFFECTIMへの技術提携は、他社への技術提供により、美顔器というツール上で、同社のエコシスエム拡大の可能性にもつながりそうだ。

中国には美容機器関連の企業が大小合わせ8万社あるとされ、同時に95后のユーザーが増えており、中国の美容機器市場はさらに拡大が続くとみられる。いまのところ3強タッグによるEFFECTIVEの評判は上々だが、ほかの産業がそうであったように、市場が成熟するにつれ、美容機器業界の「Perfect Diary(完美日記)」とでもいうべき、純国産の強いブランドが現れることも十分に予想しておくべきだろう。

Text: チーム・ロボティア(Team Roboteer)
Top image: EFFECTIM公式Weiboアカウント

ありがとうございます!メルマガで隔週で更新情報配信中。ぜひご登録を!
34
美容業界の国内外のイノベーションを発信するメディアです。詳しくは → https://goo.gl/7cDpmf  BeautyTech.jp(English)move to https://medium.com/beautytech-jp