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世界のマーケターが注目、「未来の消費者」予測  WGSN Futures New York 2017 レポート vol.1

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2017年11月、MOMAで開催されたWGSN Futures New York。WGSNは、消費動向分析、ファッションとライフスタイル全般のトレンド予測、コンサルティング等を行う世界でも有数のトレンド情報企業だ。デジタル時代、「未来の消費者」は変化も激しい。美容業界でも常に念頭におくべきテーマだ。

Futuresは、毎年WGSNが予測する、世界的な未来トレンドを社内外の消費者、企業やブランド、またリテール業界の動向に詳しい専門家を集めてプレゼンテーションやパネルディスカッション、そしてネットワーキングも含めた形で発表するカンファレンスだ。今年は世界7カ国で開催された。

参加者はファッションだけでなくさまざまな業界のメーカーや小売企業の経営戦略、マーケティング、クリエイティブなどの部門に所属するリーダー層が多い。今回、ニューヨークで行われたテーマは「未来の消費者」。14のセッションで語られた内容から、消費者のインサイトと、企業側からみて知っておきたいトレンドとして印象に残ったトピックスを2回に分けて共有したい。 まず、今回は「未来の消費者の特徴」として4つのキーワードをあげたい。

1) テクノロジーの多用で孤立していく世代が向かうのは、「思いやり」

WGSNのインサイト担当ディレクターのAndrea Bell(アンドレア・ベル)氏(上記写真)は、テクノロジーの急速な変化と人々の受け止め方や行動について、マクロな視点から見事に切り取った。

デジタル機器やネットワーク環境がさらに進化し、2017年には84億のIoT(インターネットに繋がる機器)使われるという(2017年1月ガートナー調査)。スマートフォンにARが取り込まれ、Facebookは5年以内にスーパーARグラスがそれにとって変わるだろうとも言っている。

私たちの皮膚にチップが埋め込まれて、リモコンとなる日も遠くなく、人間の脳が直接インターネットに繋がる実験もすでに行われている。そしてコミュニケーションがいつでもどこでも取れるようになり、人々は直接触れ合うことなく活動できるようになる。また、ソーシャルメディアが人々をバーチャルで繋がることに拍車をかけ、ミレニアル世代はいままでで最も孤独な世代とも言われている。

このような未来では、逆に「現実に繋がりたい」と言う人の本能が際立ち、感情や気分が消費を含めて行動に影響してくると彼女は予測している。すでに、Caring(他人を思いやる)の動きがあり、例えば#hereforyou(あなたのためにここにいるから大丈夫)と言うハッシュタグで、メンタルヘルスに課題をを抱える人々を緩やかにサポートしたり、changeourworldforgood.com というムーブメントは文字どおり、世界をより良くする事をめざし、「ARK(Acts of Random Kindnessの略。できることから親切にしよう、の意)」と呼びかけている。」 

テクノロジーを当たり前のインフラとして使いこなす世代は、感情の持ち方や人との繋がり方もこれまでとは変わってくることを見落としてはならない。

出典:changeourworldforgood.com

出典:changeourworldforgood.com

2)物を買わない消費者は、どこへ行くのか?

シェアリングエコノミーと言われて久しいが、若者は「モノを交換する」文化に慣れ親しんでおり、モノを借りることにも抵抗がない。サステナビリティや環境のために、洋服、住居、車、とシェア文化はさらに広がっていくだろう。ベル氏が挙げた一例に、「Depop」というマーケットプレイスがある。そこでは自分が関心を持っている人、友達や自分と価値観が合う人々が何を好きで何を買ったかという情報を知ることができる。「Yeay」は、動画を通して自分が売りたい商品を紹介できるマーケットプレイスで、若者中心に人気があるという。

出典:depop

出典:yeay

また一方で、ミレニアルの62%、その後に続くジェネレーションZの57%はブランドアイテムを買う意思があり、また16〜34歳の44%がオンラインでなく実店舗での買い物の体験を好むという。

また、新しいトレンドとして、「ムードマーケット」という言葉と事例が紹介された。人々の気分に直接作用したり、訴えかける商品である。例えば幸福ホルモンとも言われるセラトニンを配合したリップクリームや、着ている人の気分で色が変わる洋服などの事例が、すでに開発が進んでいるアイテムとして事例に上がった。

消費者は単に必要なものだけを買っているのではない。そこにはそれぞれのストーリーや思いがある。WGSNのリテールの専門家は、「実店舗では、『体験』を基軸にしてお客様(=消費者)にオンラインでは提供が難しい価値を提供していくことが、購買に結びつけるチャンスになる」と語っている。

3)ミレニアルに続く世代の特徴とは

出典:facebook

今回のセッションでは、ミレニアルの先の世代、ジェネレーションZ(Gen Z:90年代後半に生まれた世代) も見据えていたのが特徴的だった。まずは、この動画を見てほしい。(Facebookにログインしていない場合には、上記画面に移動し、下の方にある「後で」をクリックすると視聴可能)

ここに出てくる子どもたちは、8-12歳くらいの小学生たち。大人びた態度の中にも、あどけないしぐさや純粋な笑顔が垣間見られる。「『Older(年をとっている)』人々は、18-20歳代で、Facebookはそういう人たちが使っていて、自分には関係ない。ママが使ってるけど、僕は1回くらい登場したかな。周りの友達は使ってない」とどの子どもも言い放ち、会場の大人たちは笑うしかなかった。すでに前世代とは明確な差ができている。

また、カンファレンス当日に流された動画では、これ以外にもさまざまな質問をこの子どもたちに投げかけていた。 たとえば、彼らはYouTube、Shapchat、Instagramを好み、そこやあるいはネットで見られる他の動画での有名人(いわゆるグローバルなセレブではなく、もう少し身近なヒーローやヒロイン)に影響を受け、広告はスキップし、ブランドのアプリ(例としてナイキ、アディダス、サムソン、H&M、アマゾンなどがあげられた)を見るという。

VR(バーチャルリアリティ)という言葉を使いこなし、財布は持たずにスマホで買い物をするのが当然、ハッシュタグよりももっと身近な人々や自分が信じる人々のいうことに影響を受けるということだ。一方で、ビデオの最後には「大人になっていいことはなんだと思う?」と聞かれて「コーヒーが飲めること」と答える子供に安堵を覚えた笑いが会場いっぱいに広がった。

また、ベビーブーマー(米国のベビーブーマーは日本と異なり1940年代から64年頃前に生まれた世代)、Gen X、ミレニアルズ、Gen Z そしてその後に続く生まれながらにしてテクノロジーが生活のインフラとなっているAlpha世代についても、調査や研究が現在進行中であることなどが説明された。

いずれ、米国ではこのGen ZやGeneration Alphaがミレニアルズよりもさらに大きな購買層となる。すでに今からこの若い世代については様々な観察や分析が行われているのがとても印象的だった。

4)未来の消費者は、世代分析だけでは予測できない

ベル氏が強調していたのは「世代分析だけでなく、心理的な側面からの洞察を忘れない」ということだった。それは「世代分析でWho they are ?(その世代がどんな人々なのか)を知ることができ、それにWhy do they do?(なぜそのように考え、行動をするのか)を掛け合わせて消費者を理解する)ことが大切だからだという。

変化のスピードも早くなり、その変化の方向性も予測し難い世の中になり、エクスポネンシャル(exponential = 急激な)という言葉がこれからますます聞かれるだろう。

そこではテクノロジーの発達に伴う環境の変化、特にAIによる仕事や生活の著しい変化が取りざたされて話題になっている。一方で若者だけでなく、さらにその先の世代の子供達の価値観の変化のきざしを感じ取り、直接話を聞き彼らの幸せとは何かを考えてみることが真の未来の消費者を知ることにつながるのだと感じた。

Text&Photo: 望月奈津子(Natsuko Mochizuki)

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