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韓国ロッテがインフルエンサーブランドの育成と独占販売、年間20のローンチを目標

◆ English version: South Korea’s Lotte incubates influencers’ ideas, targets launch of 20 new brands this year
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韓国の化粧品業界の主役を目指し、「第四世代」と称される企業群が登場してきている。インフルエンサーが手がけるブランドだ。その背景で積極的なサポートを行い「独占」をうたうのがロッテ百貨店である。企画や開発の面でも積極的に関与するその戦略をひもとく。

韓国小売大手・ロッテショッピング(以下ロッテ)が、ミレニアル世代に訴求力が高い美容系インフルエンサーブランドの育成に注力している。インフルエンサープラットフォーム「YOUR BRAND (ユアブランド)」との提携を発表し、商品の独占販売を進めていくことを発表した。

レッドオーシャン化が進む韓国コスメ市場において、差別化を図るための新たなトレンドとなりつつあるインフルエンサービジネスを、業界主要プレイヤーの一角であるロッテはどう捉えているのか。ユアブランドの事例から、そのビジネス展開をみてみよう。

図1

出典:YOUR BRAND 公式サイト

ロッテがインフルエンサーとの協業を本格展開

ロッテがインフルエンサープラットフォームであるユアブランドと提携したのは、2020年3月中旬のことだ。同時に、ロッテ百貨店の総合ECサイト「elLOTTE」を通じて新商品の独占販売を開始した。

ユアブランドは、韓国国内でトレンドリーダーとして強い影響力を発揮する美容系インフルエンサーが、自らの化粧品ブランドを立ち上げることができるビューティプラットフォームだ。コンテンツマーケティングのプラットフォームMCN CELEBを運営するアイエムピーラボ、化粧品開発およびブランディング専門企業enhanceB、化粧品製造大手COSMAXの3社がタッグを組んで立ち上げたプロジェクトで、その流通を国内最大手リテールのロッテが担当することになった。いわば、韓国を代表する業界専門家が1つのチームとなり、インフルエンサーブランドの“援護射撃”をするというコンセプトである。ロッテはまずオンラインでの商品販売開始を正式に発表、今後はオフライン店舗でも販売する計画だ。

ロッテショッピング 広報室 代理 チェ・ジス(Choi Jisoo)氏は「インフルエンサーを集めて公開セミナーを開催するところから始めた。セミナー終了後、ユアブランドとのコラボレーションに関心を示したインフルエンサーとミーティングを行い、個別に契約を進めて、インフルエンサーとともに製品開発をスタートした」と経緯を明かす。つまり、すでにあるブランドの物販を担うということだけではなく、ブランド立ち上げの段階から具体的な製品プランまで、ロッテが積極的にコミットをしているのだ。

ユアブランドが強調する最大の差別化ポイントは、既存製品の使用感やレビューをベースにインフルエンサーブランドをプロデュースするという点だ。ただ単に目新しい商品をつくるのではなく、インフルエンサーやセレブが市販の化粧品に感じた「もっと〇〇だったらいいのに…」という「惜しい点」や「要望」を抽出。専門家のサポートのもとで、商品力を補完したり、新たな機能を盛り込むという開発サイクルを取っている。

図1

ロッテとともに商品を開発中の
インフルエンサーやゴルフ選手など

またロッテは現在、美容系インフルエンサーのみならず、野球選手やゴルフ選手との協業も進めていると関係者は話す。毎月新たに3名のインフルエンサーを選定して、年内に約20ブランドを用意するのを目標としている。

たとえば「ゴルフ選手はサンスクリーン(日焼け止め)を多用するが、彼らが実際に使用したレビューをベースに新商品の開発を進めている。またある男性インフルエンサーとは、香水の開発に取り掛かっている」とチェ氏も認める。

韓国コスメ業界の「第四世代」を掴むロッテの戦略

そのほか、ロッテはどんなインフルエンサーとユアブランドを通じて協業しているのか。いくつかの実例を紹介しよう。

Kattisy

まずファッションモデルのソユとは「Kattisy」というブランドをローンチ。猫のような目元を演出するアイライナーやグリッターライナーを展開している。

一方、ビューティークリエイターのリンジとは、Hip=カッコいい(Coolに近いニュアンス)のイメージを押し出し「hipazizi」というメイクブランドを立ち上げた。韓国で最近流行のニューレトロスタイルのリップ(5色)を仕掛ける。

Aile de la peau

ジュエリーデザイナーのヨニエルとは、「Aile de la peau」(フランス語で皮膚の翼の意味)との名称の高機能スキンケアブランドをローンチ。シャーベット状の保湿クリームやトーンアップクリームを開発した。なお4月には、同じくヨニエルによる「mintfactory」というスキンケアブランドもローンチしている。

韓国の化粧品業界では、SNSなどを駆使したマーケティングが特徴のインフルエンサーブランド(セレブが立ち上げる個人ブランドも含む)は、「第四世代型企業」としてカテゴライズされている。

第一世代は、アモーレパシフィックなど国内老舗大手を指し、第二世代は、観光地などに設けた小さな直営店やロードショップと呼ばれる路面店で販売したことから人気に火がついた、中低価格帯の化粧品ブランドである。この手法で成功し規模を拡大したブランドとしては、MISSHA、TONYMOLY、イニスフリー、SKINFOOD、THE FACE SHOPなどがある。そして第三世代は、現在、韓国で主要な流通チャネルのH&Bストア(日本のドラックストアに相当)の成長と、Kビューティ人気に支えられて世界に羽ばたいたスタートアップ企業群を示す。

第一世代から第三世代の企業群はこれまでビューティ分野での隆盛を謳歌してきたが、徐々に競争力を失いつつある。後発ブランドの乱立による市場飽和や、国内オフライン店舗を中心に、中国人観光客の購買力などインバウンド需要への過剰な依存など、さまざまな理由が専門家やメディアからは指摘されている。

そのなかでオンラインを主戦場とし、すでにファン層を多く保有していることから国内外のマーケティングに強みを持つインフルエンサーおよびインフルエンサーブランドが次のステージを築く「第四世代」として注目が集まっているのである。

ロッテはこれまで、第一~第三世代までのメーカーやブランドと協業するとともに、国内大手小売として確固とした地位を築いてきた。そんなロッテが、業界内の変化を察知し、第四世代の企業群を囲い込むことで新しいエコシステムの構築に乗り出したというのが「ユアブランドの独占販売」の意味するところだと推測される。

ロッテ側は「まだユアブランドの試みは始まったばかり」として、成果については言及を避けながらも、インフルエンサービジネスに大きな期待を寄せている。

「韓国ではすでにインフルエンサー自身の力で成功させたコスメブランドも少なくない。我々とともに活動することになったインフルエンサーは、すでにインターネット空間に多くのファンを抱えており、化粧品販売でも成果を出している。彼らとの協業には期待しており、引き続きサポートをすることでブランドイメージや製品カテゴリを強化していく」(チェ氏)。

刻一刻と変化を遂げる韓国市場で、第四世代のインフルエンサーブランドを大手小売であるロッテが後押しする。次にはどんな一手を仕掛けてくるのか。インフルエンサーの囲い込みはほかの大手企業でも起きるのだろうか。第四世代が市場を変えていく可能性も含めて、成り行きを注視する必要がある。

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)
画像提供: ロッテショッピング


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