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セクシャルウェルネスの性差を解消、欧米の大人向け "性教育フェムテック"の動き

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英国のクリーンビューティ系の化粧品ECとして知られるCult Beautyでは、2020年のセクシャルウェルネス分野のPVが前年比で80%増加し、124%の売上増となったセックストイもあることが報じられた。その背景のひとつに、女性としてのセクシャルウェルネスの追求を「当然のこと」として、エンパワメントする動きが強まっていることがあげられる。それが、いわば大人向けの ”性教育フェムテック”だ。

ジェンダーギャップが大きいセクシャルウェルネス市場

Research and Marketsによると、世界のセクシャルウェルネス市場は2025年までに400億ドル(約5兆円)以上になるといわれている。年平均成長率8%という成長のドライブとしては、テクノロジーの進化、インターネットの浸透に加え、「#MeToo」時代を生きる女性たちがセクシャルウェルネスの向上を求めはじめるなか、自らのニーズに叶うビジネスを立ち上げる女性起業家たちが増加していることも挙げられる。また、COVID-19感染拡大で、自宅で過ごす時間が増えたことも追い風となっている。

そんなセクシャルウェルネス市場だが、女性向けの商品やサービスの割合はわずか25%で、いまだにジェンダーギャップの大きい分野となっている。ここから、女性たち自身も自らの性的快楽をタブー視し、羞恥心からも健康と密接に関係する性の知識に背を向け、ウェルネス改善を放棄してしまっているケースが多いことがうかがわれる。このような状況を解消すべく、大人の女性を対象にした性教育コンテンツを「当然のこと」として提供し、女性をエンパワメントするサービスが欧米で続々と登場している。

女性の性的悩みに寄り添うコミュニティ

女優エマ・ワトソンも絶賛する「OMGYES」は、2015年にインディアナ大学とキンゼイ研究所が共同で立ち上げたサイトで、女性のリアルな体験を共有できるサービスだ。18〜95歳までの一般女性2万1,000人以上に性的快楽に関する大規模調査を行い、その調査結果をベースにした有料コンテンツを提供している。

2017年に発表した「クリトリスへの外部刺激」をテーマにした「シーズン1」(49ドル/約5,200円)は、年齢、人種、セクシャリティを問わず、さまざまな女性が自分たちの経験をオープンに語る60以上の動画と、快楽を得るための手法をタッチパネルでシミュレーションできるインタラクティブな実写画像で構成されている。日本語を含む12ヶ国語に翻訳され、これまで言葉にされてこなかった女性の快楽に関する具体的な知識を共有している。

2019年4月には、「内部やGスポットへの刺激」をテーマにした「シーズン2」(シーズン1&2のセットで89ドル/約9,400円)が登場し、前シーズンの2倍以上の数の動画を揃え、より多くの一般女性のリアルな声を聞くことができる。

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