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MiMCがプレミアムエタノールを採用、日本発クリーンビューティD2Cとしての存在感

◆ English version: MiMC, Japan’s first clean beauty D2C, adds premium ethanol lineup
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「D2C」や「クリーンビューティ」という言葉が存在しなかった2000年初頭から天然成分のみを使ったミネラルコスメの可能性に着目し、年々ファンを獲得しているメイクアップブランド「MiMC」が、株式会社ファーメンステーションのオーガニックプレミアムエタノールと出会い、ひとつの製品が生まれた。サステナビリティが根本の哲学にある企業2社の協業が、日本のクリーンビューティを特徴づける出来事となった。

2007年創業の「MiMC(エムアイエムシー)」は、オーガニックにこだわり化学合成成分を一切使わず、ミネラルや植物、果実など厳選した天然成分のみを使った化粧品を製造・販売する、日本のクリーンビューティブランドの先駆けだ。現在は、自社ECサイトと直営店を含む国内150店舗のほか、香港の百貨店で販売している。

MiMCの開発者であり、株式会社MIMC 代表取締役 北島 寿氏は、東北大学大学院理学研究科修士課程を修了した科学者の顔を持つ。また、北島氏自身がアトピー性皮膚炎に悩んだ経験から起こしたブランドでもある。

北島さん

株式会社MIMC 代表取締役
北島 寿氏

MiMCは、石鹸だけで落とすことができる肌への負担が少ないメイクアイテムでありながら、合成原料に遜色ない鮮やかな発色や多彩な質感が出せると評判で、ナチュラル・オーガニック志向のユーザーはもとより、ヘアメイクアップアーティストやモデル、タレントにも愛用者が多い。これまで大きな広告宣伝費をかけずにクチコミで人気が広まってきており、設立以来、増収増益の右肩上がりで伸びている。とくに、クリーンビューティ人気がグローバルでも高まってきた2017年からは、昨対比140%超で成長を続けているという。

プレミアムエタノールとの出合い

同社が、クリーンビューティの文脈で新型コロナウィルス感染症の拡大で需要が増す消毒用アルコール製品を作れないかと考えたときに、株式会社ファーメンステーションによるオーガニックのプレミアムエタノールの存在を知った。

「コロナ禍で、消毒用アルコールの必要性が高まるなかで、MiMCのコンセプトである自然の力やつながりを感じられる製品をつくれないかと考えていた。ファーメンステーションが休耕田で作られた有機オーガニック米を使ってエタノールを抽出し、抽出後の残渣は家畜の餌や化粧品の原料に使われるなど、廃棄物が一切でない地域循環型プロジェクトのストーリーを聞き、ぜひMiMCの製品に使用したいと思った」(北島氏)

しかし、一般のエタノールと比べて高価格なプレミアムエタノールのみを使用して、製品を成立させることは容易ではなかった。原料として購入し、OEM企業に製造を依頼するのでは採算が合わないと判断した北島氏は、株式会社ファーメンステーション 代表取締役 酒井里奈氏に、「原料販売だけでなく、商品製造まで依頼することはできないか」と持ちかける。それが、ファーメンステーション側にとっては初のOEM事業につながった。

緊急事態宣言期間中のことで、北島氏も酒井氏自身もファーメンステーションの工場がある岩手県に出向くことが難しかったため、現地のスタッフとZoomで密に連絡を取り、酒井氏は現場も指揮しながらの100%リモートによる製造となった。試作を何度も繰り返し、原料のオーガニック米がほのかに香る製品「プロテクトミスト(ライス)」ができあがった。

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ほのかなお米の香りとの相性を考え
グレープフルーツの精油をブレンドした
「プロテクトミスト(ライス)」
 2,530円(税込)

ファーメンステーションは、これを機に、プレミアムエタノールを化粧品原料として販売していくだけでなく、プレミアムエタノールを使用したOEM/ODMを展開していくことを決めた。現在、クリーンビューティ原料を使った製品を開発したいという企業からの依頼をもとに、地場の原料を使ったマスクスプレー製造など、複数の新規プロジェクトが進行中だ。

酒井氏には、「トレース可能なオーガニックエタノールは、世界でほかに例がなく、その背景にある膨大なストーリーをプレミアムエタノールの採用ブランドに提供できる」との付加価値に対する自負がある。今後は、プレミアムエタノールの市場をつくりながら、増産体制を強化していきたい考えだ。

いわば日本版ドランクエレファントのMiMC

創業者自身の課題から、何が肌に本当によいのかの試行錯誤を繰り返して立ち上げたブランドがじわじわと消費者に受け入れられているプロセスは、米国のドランクエレファントの成功事例を彷彿とさせる。

北島氏は、研究者を目指して化学実験に明け暮れる生活を送るなかでアトピー性皮膚炎を発症。アレルギー・化学物質過敏症と診断され、人前に出るのが嫌になるほどの肌荒れに悩み、肌への自信、自分への自信を失った時期もあったという。この経験から、北島氏は、「どんな肌質でも安心して使えて、自然の力で肌本来の輝きを得ることができる化粧品を作りたい」と日本の自然派化粧品会社に就職した。その後2001年に渡米。オーガニックの本場米国で、ナチュラル・オーガニック化粧品や先進的美容治療のマーケティング知識を深めると同時に、ミネラルコスメの開発をスタートした。

米国で化粧品開発の傍ら、2005年頃から始めた米国の最新オーガニック、ナチュラル市場をテーマにした日本語ブログが、アメブロで2位を獲得するほど人気になった。北島氏は、とくに化粧品に関する記事への反響が大きかったことに手応えを感じ、2007年2月に会社を設立、化粧品ブランド立ち上げの準備を進めていった。

そして同年5月、プレローンチとして世界初となる100%ミネラルでできたパウダー状日焼け止めを発売したところ、自身のブログでのみの告知にも関わらず、用意した個数を即完売。ミネラルコスメ市場の可能性を確信した北島氏は、同年9月に、日本人の肌の色に合うカラーラインナップで開発したミネラルメイクブランドMiMCを発表し、ファンデーションを中心に、ベースメイクからポイントメイクまでを網羅した130SKUの商品の発売を開始した。

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2020 AUTUMN&WINTER
COLLECTION

日本発クリーンビューティブランドとして世界を目指す

MiMCの人気は国内セレクトショップのバイヤーの目にも留まり、発売から3ヶ月後には、Cosme Kitchenでの取り扱いが決まる。その後、百貨店への出店や、ナチュラルローソンで姉妹ブランドの取り扱いが始まるなど、国内での店舗展開が増えた2009年に、本社と製造拠点を米国から日本に移す。それは、「高品質なMADE IN JAPANのクリーンビューティブランドとして、世界進出を目指す」という北島氏の決意の現れでもあった。

とはいえ、当時の日本ではクリーンビューティという概念はあまり浸透しておらず、製造を引き受けてくれるOEM企業を探すのに苦労したという。「クリーンビューティ原料を安定的に調達するのが困難で、原料調達と品質・安全管理をMiMCが行うという条件で交渉し、製造可能なOEM企業を探していった。製造工場の移管に、3〜4年かかった」(北島氏)。

現在は、クリーンビューティに理解のある国内OEM企業は増えたが、新しい原料の開拓については、北島氏の国内外のネットワークから最新情報を収集し、自社の厳しい基準をもとに、北島氏自らその品質や安全性を確かめ、世界各地から調達することも多いという。MiMCが日本の美容企業として初めて採用した原料も数多く、日本のクリーンビューティ市場を原料調達、製造体制づくりの面からも啓発してきた北島氏の功績は大きいといえる。

ポストコロナのクリーンビューティ市場に向けて

MiMCは、香港に続くアジアの国々への進出に向けて準備を進めていたが、そのタイミングでパンデミックが起こった。海外進出は先送りになってしまったが、新型コロナ感染拡大の影響を受けたクリーンビューティ市場の動向について、北島氏はポジティブに捉えている。

「コロナ対策として今一人ひとりができることは,手洗いなど衛生習慣や睡眠、食事など、これまでのライフスタイルを見直して、自身の自然治癒力や免疫力、肌の力を高めるという、プリミティブ(原始的)に近いことしかない。これにより、人々の価値観が大きく変わり、自然とともにどう生き、安心をつくるかという意識が高まっている」(北島氏)。

ブランドの成り立ちそのものでクリーンビューティを体現してきたMiMCが、オーガニックかつトレーサブルなプレミアムエタノール製造で、生産地にもメリットの大きい循環型のエコシステムをもつファーメンステーションと出会ったことは、日本のクリーンビューティトレンドにおいても大きな意味を持つ。

米国とくに西海岸で、欧州各国でも、また韓国でも、クリーンビューティが当たり前になりつつあるなかで、ひとつのプロダクトとしての協業というだけではなく、MiMCとファーメンステーション両社のもつバックグラウンドは化粧品ビジネスのみにとどまらない可能性を秘めている。その問いかけに熱く呼応するユーザーたちとともに、日本発のクリーンビューティのその先を切り開く先導者となっていくことを予感させる。

Text:小野梨奈(Lina Ono)
画像提供:MIMC

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