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韓国スティモンが宣言する「化粧品業界のファストビューティ」日本に上陸

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4月に韓国でローンチされ、ミレニアル世代を中心に30万個の商品を売り上げたとされる新興コスメブランド「スティモン(Stimmung)」が、早くも2019年10月21日から日本でも公式サイトを通じて正式に商品を販売開始した。斬新なのはその形状で、さまざまなカラー&テクスチャーバリエーションの各商品を、使い切りやすい小量パウチ容器で低価格にて販売。スティモンが打ち出す「ファストビューティ戦略」とは。

ファストファッションならぬ「ファストビューティ」という言葉が、韓国でトレンドになりつつある。これまで、この言葉をメディアが報じる場合の文脈は、低価格帯で勝負する新興コスメブランドという意味合いが強かったが、2019年4月に韓国でローンチされた「スティモン(stimmung)」が、そのファストビューティの概念をポジティブでお洒落なイメージに変えつつある。

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画像: スティモン 公式サイトより

スティモンというブランド名は、ドイツ語で「ムード」「雰囲気」「気まぐれ」という意味を持つという。感性が早いスピードで変化する今の消費者の状況や気分に合わせて、いつでも豊かな商品を提供するというコンセプトが込められている。

韓国では、リップやアイシャドウ、ベースカラーの全40色が、iPhone程度の大きさのパウチに入り、ECサイトを通じて1個3,500ウォン(約350円)で販売されている。「通常のリップ1個の価格で10個買える」というのが謳い文句だ。発売早々、入荷しても瞬く間に売り切れてしまうほどの人気で、1週間程度で使い切れる量であること、ポーチにおさまりやすいサイズで、旅行などにも持っていきやすい、気軽に買って試せるなどの理由から、若い女性を中心にすでに30万個以上を売り上げたという。2019年内に100種類以上にまでカラーバリエーションを増やす予定とされる。

スティモンのブランドポリシーは明快で「多様な製品を使うことを望んでいる顧客に応える」というものだ。すべての製品に採用したスパウトパウチのデザインは、ブランドアイデンティティであり、トレンドカラーと合理的な価格の2つの要素を満たすパッケージで原価を下げ、デザインにより力を入れている」と本国のWebサイトではうたっている。

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同ブランドでは、低価格ながら、カラーバリエーションの豊富さや有名ブランド並みの品質を実現していることを最大の「競争力」とアピール。スティモンが目指すコンセプト、そして業界内の立ち位置はとても明確であり、かつユニークだ。同社関係者は韓国メディアの取材のなかで次のように答えている。

「世界のどこにもなかったカラーと価格、ムードで、状況や気分に応じていつでも(顧客の)変化に応えられるファストビューティを目指す」(韓国News1記事「美容業界のSAPブランド、ファストビューティ『スティモン』ローンチ」より抜粋)
「正直、化粧品が高くなければならない理由はない。5万ウォン(約5,000円)で口紅を1つ買って1〜2年以上使うのは衛生上良くないだけでなく、何よりも飽きてしまう。最近、流行のメイクアップルックやカラーは一日ごとに変化するが、製品が高ければ試しようもない。スティモンは(顧客に)新鮮な『経験』をプレゼントしたい」(Vogue koreaの記事「色を探す人々」より抜粋)

韓国では、ミニサイズコスメも流行しており、たとえば、SEPbeauty(セップビューティ)というブランドからMY MOTT KIT(マイ モット キット)という手のひらサイズのコンパクトが出ており人気となっている。

MY MOTT KITは、アイシャドウ、リップ、ハイライトなどポイントメイクがこれひとつで完成する。一方で、スティモンのパウチに入った均一価格のファストビューティというコンセプトは、ミニサイズであると同時に、そのカジュアルな雰囲気も斬新に若い世代にはうつったようだ。バッグの中でかさばらない、次々と新色が試せるといった利便性のほかに、きちんと使い切れる、あるいはプラスチックごみを極力減らしたいといった、昨今のサスティナブル志向にも応えている。

日本でも各ブランドから出される、リップなどミニサイズコスメはひとつのトレンドで、その流れもあり、日本でもスティモンは健康美人研究所株式会社の取り扱いでオンライン販売を開始した。「#日替わりコスメ」をキーワードに、合計44色の製品を1アイテム500円で展開している。

健康美人研究所の調べでは、20代30代の日本人女性の約77%が同じコスメアイテムを使い続けつつも、新しいメイクへの憧れは強い。ただし、価格の高さや使い切れない容量が、その憧れの壁となり、結局同じものを使い続けてしまう傾向がわかった。つまり、新しいメイクアイテムを気軽に試したいニーズは日本でも大きいわけだ。先発の韓国ではすでに、スティモンがファストビューティの先駆けとの認識が定着しつつある。

韓国ではロッテ系列のH&Bストア・LOHB'sが、ファストビューティ・カテゴリーのブランドの取り扱いを2018年から16.7%増やしている。結果、今年第1四半期のメイク関連の売上高が、前年同期比16%伸びたという。加えて、LOHB's はミニサイズコスメの需要に応え、容量の大きい製品を小容量化する作業も進めている。コスメのファスト化、ミニサイズ化の流れ自体は止まりそうにもない。

スティモンが目指すファストビューティという戦略は、主にデータを大量に蓄積している大企業が打ち出す、より研ぎ澄まされたパーソナライゼーションとは逆の方向で、選ぶ楽しみを最大限満たす役割といえよう。ファストビューティという概念が、現代の美容業界において解のひとつとなるのか。その答え合わせの結果に注目したい。

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)

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