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ロハコ「Go Ethical」、ロート製薬など各社参加で化粧品アウトレットの新しい試み

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アスクル株式会社の個人向けECサイト「LOHACO(ロハコ )」がアウトレットコーナーで展開する「Go Ethical(以下、ゴーエシカル)」は、店頭戻り品など、これまでメーカーが廃棄処分していた商品を再販売する取り組みだ。消費者側からすると、良品を安く購入でき環境ダメージを減らす行動にもなる。ゴーエシカル立ち上げの背景と、参画企業であるロート製薬株式会社の試みについて話を聞いた。

ロハコ は、個人向け日用品ショッピングサイトとしてオープンした2012年から、サイト内にアウトレットコーナーを設けている。「アウトレットビューティ」のカテゴリーも設けられ、仕様やパッケージが変更になったなどの、いわゆる  “ワケあり”のメイクアップアイテムや化粧水、美顔器など19ブランド(2020年10月6日現在)の商品を割引価格で提供している。

廃棄していた店頭戻り品を再販売

このロハコのアウトレット内に2019年11月に特別枠として開設されたのが「ゴーエシカル」だ。現在、ロレアル、オルビス、ロート製薬の3社が参画している。あえて、新しい枠を作った背景には、化粧品の廃棄を少しでも削減したいというロハコとブランドの思いがある。

図1

出典:ロハコ

ロハコを運営するアスクル株式会社 マーチャンダイジング本部バリュー・クリエーション・センター統括部長 野中勉氏は、このゴーエシカルの取組みには、アウトレットをいう枠組みに入りにくかったアイテムの廃棄処分を何とかしてなくしたいという思いがあると語る。

「アウトレット商品となる理由は、仕様、パッケージの変更で余った旧商品、クリスマスなど季節の限定商品、出荷期限が近い商品など多岐にわたっている。そして、アウトレットの枠組みであっても、なんらかの制約があり、販売できずにこれまでは廃棄処分していた化粧品を、メーカー内のルール見直しや、プロセスの変更を行うことで再販売する取り組みがゴーエシカルだ」と説明する。

ゴーエシカルで取り扱う商品には、小売店からメーカーに返品されたが、小売側で適切な保管がされており、さらに使用期限にも余裕があり品質に問題のない「店頭戻り品」や、メーカーで過剰在庫となっていた旧商品の容器に新商品の中身を充填した商品などがあり、その選定基準はメーカーによっても異なる。だが、共通するのは、各メーカーとも、社内ルールを変更して、それまでは廃棄となっていたアイテムをもう一度市場に出すための工夫がされている点だ。

サイトのゴーエシカルのページにもさまざまな配慮がある。既存のアウトレットコーナー同様に値頃感を打ち出しつつも、ブランドイメージを損なわないよう黒を基調とした落ち着いた配色を採用し、各メーカーの環境理念や方針を掲出して、良品であること、ユーザーの購買行動が環境保全につながることを伝える内容になっている。

さらに、それぞれの商品詳細ページには、店頭戻り品であること、パッケージに傷がある場合があることなど、値引きの理由が詳しく明記されており、情報の透明性にも配慮されている。

このことからも、ゴーエシカルが単なる商品販売の場にとどまらず、企業姿勢を伝えるとともに、一般消費者に廃棄ロスやサステナブルへの関心を向けてもらう啓発の役割を担っていることがうかがえる。

図1

ゴーエシカルのトップページ 
出典:ロハコ

実際、この取組みはロハコの新規ユーザーにとっても魅力にうつるようだ。通常の化粧品カテゴリーと比較したときの新規顧客の割合は、アウトレットビューティで約15%高く、さらにゴーエシカルは約17%高い数値だという(2020年9月現在)。

ゴーエシカルの取り組みは、ロハコにとっては新しい顧客の獲得に、メーカーにとっては廃棄ロスの削減に、利用者にとっては手頃な価格で商品を購入できるという「三方よし」を生んでいる。ゴーエシカルやアウトレットでの閲覧や購入がきっかけとなって正規品の購入につながるケースも出てきており、野中氏は「手頃な価格で購入して試せるゴーエシカルやアウトレットは、一種の有料サンプルとして機能している一面もある」と話す。

管理の難しさからイレギュラー対応へ

一方で、ゴーエシカル開始当初、もっとも困難だったのは、商品管理の部分だったと野中氏は振り返る。ロハコでは通常、メーカーからの商品の荷受けと商品管理を関連会社に委託している。新商品であれば、外箱に印字されている商品名や数量と中身は一致しているが、店頭戻り品の場合、違う商品の外箱を再利用したり、一つの箱に数種類の商品が混ざって輸送されたりするなど、外箱を見ただけでは中身がわからないことが多い。

そのため、ロハコ内でアイテムごとに仕分け、計上、検品、商品登録を行うという、従来にはないワークフローの体制を組む必要があった。野中氏は、「初めての試みでもあり、ある程度のイレギュラー対応が生じるのは仕方がなかったが、なるべく通常のフローに寄せるかたちで、メーカーとロハコ双方がいかに負担を少なくして取り組めるかを考え、採算面でも無理なく継続していける仕組みで運用したい」という。

製薬会社としての品質担保が最優先

では、ブランド側ではゴーエシカルをどのように受け止めているのだろうか。

参画企業の1つ、ロート製薬株式会社では、これまで小売と密にコミュニケーションをとりながら需要予測をするなどして、廃棄削減に向けた取り組みを行ってきた。

同社 広域営業部 EC・CRM事業推進グループマネージャー 高野愛子氏は、「新商品を開発して、お客さまにより良いものを届けたいという思いがある一方で、リニューアルなどにより新商品と旧商品を入れ替えれば、必ず返品が発生してしまう。とくに、回転率が良い人気ブランドほど、取り扱い店舗数も、店頭在庫数も多くなり、それだけ大量の返品数となる。返品倉庫に集められたものは廃棄の道をたどるしかなかった」と語る。

そんななかで、2019年秋にゴーエシカルの企画を知り、ロート製薬として是非参画したい、という強い意志があったという。「長年、廃棄量の削減に対し大きな課題感があった。しかし、品質面などいくつか乗り越えなくてはならない壁があった」(高野氏)

そこから、どの商品をどのような基準でゴーエシカルに出していくのかについて、社内で議論が始まった。製薬会社としての品質の確保を最優先するために、この議論には時間をかけた。これまでにも一部の過剰在庫はアウトレットに出していたものの、それでも100%廃棄することにしていた店頭戻り品と、廃棄率がきわめて高かった旧商品の不動在庫のなかから、ゴーエシカルで販売する商品を選んでいくことに決めた。

次に封かんシールがないなど未開封であるかどうかが分かりにくいパッケージデザインの商品は候補から除外した。さらに、ロット、使用期限の管理の徹底などを盛り込んだ「選定基準」をそれぞれの商品ごとに細かく定め、ゴーエシカルにおいても一般製品と同様に、製薬会社としての品質管理基準にかなった製品だけを販売することにした。

こうして2020年7月に第一弾で投入された店頭戻り品の日焼け止め3種は、それぞれ数千個単位で用意したにもかかわらず、1~数週間でで完売したという。

図1

ゴーエシカルで販売している
ロート製薬の日焼け止め
出典:ロハコ

ロート製薬は、ゴーエシカルで販売する商品の品質を保ち、消費者の満足度を高く保つことを最優先にしながら、ゴーエシカルの売り場をうまく活用して廃棄ロスという課題に取り組んでいく方針だ。

直近では、廃棄ロスを大きく減らすには、全国でも販売店舗数の多いマスブランドから切り込むのが近道と考え、13年連続で国内化粧水販売数No.1*である「肌ラボ」のリブランディングで生じる、旧処方の店頭戻り品の再販売を計画しているという。また、将来的には、再販売の選定基準や仕組みの構築をさらに進め、幅広い商品群の再販売を視野に入れていく考えだ。

肌ラボ新旧3

「肌ラボ 極潤プレミアム」の旧品(左)と
8月末発売のリニューアル品(右)

*化粧水の合計販売個数に対する、肌ラボシリーズの化粧水の割合。インテージSRI化粧水市場 2007年4月~2020年2月販売個数

拡大するゴーエシカル売り場

ゴーエシカルには、現在、化粧品以外のメーカーも含めた数社が参画準備を進めているという。「販売する商品の選定基準は、メーカーによって異なるため、メーカーの廃棄問題に関する困りごとを個別に聞いて、売り場を拡張させていきたい」と野中氏は話す。

個別の課題によっては対応が難しい場合もある。たとえば、ある日用消耗材メーカーからは、旧商品の容器に新しい中身を充填して販売する話があったが、1回の生産ロット数が大きく、それをロハコだけでは売りさばけないという理由で断念せざるをえなかったこともあるという。

「大きな目標は世の中全体でのゴミの削減。環境のために無くすべき廃棄量は多く、ほかの企業と連携してやっていくことも考えられる。世の中の感覚も変化してきており、より多くの人がSDGsやサステナブルに意識を向けはじめた風潮の広がりも感じられる。廃棄物削減の取り組みを進める仲間を増やしていけるとよい」(野中氏)

あわせて、ゴーエシカルの取組みがどういう意義をもつのかを消費者に伝える施策も強化していく。野中氏は「まだ構想の段階ではあるが、利用者の購買行動がどれだけ廃棄削減につながったのかを、数量や金額で公表していくことなども考えたい。安く買えて、環境にもプラスになるという気持ちの良い購買体験ができる売り場づくりをしていきたい。それがブランド価値の向上や、ひいては正規品購買への正のサイクルにつながるはずだ」と強い意志を示した。

Text: 大塚 愛(Megumi Otsuka)
Top image: Aldeca Productions via Shutterstock

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