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8名の会社でヒット連発。「フジコ」ブランド戦略は日本人だけでなく中国KOLをも魅了

◆English version: When Small is Beautiful -The 8-person team behind Fujiko’s global success
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「これはいける」という直感、入念なヒットの仕掛け、そしてスピードとブランディングのバランスのよさ。たった8名の日本の美容スタートアップでもあるかならぼは、当初から海外展開を見据えた「フジコ」ブランドで中国への越境ECへも参入した。

「寝起きかわいい」のキャッチコピーで、消えない美人眉が約3日持続するとして話題になった『フジコ眉ティント』は、@cosmeベストコスメアワード2017 ベストアイブロウ第1位を受賞。販売数は、累計150万個(2016年6月からの累計)を突破した。さらに、昨年発売した『フジコポンポンパウダー』は、中国KOLを活用したプロモーションで中国でも大ヒット商品となっている。ブランド立ち上げからわずか3年、しかも従業員8名という規模で躍進を続ける株式会社かならぼの強さに迫った。

日本人の名前によくある「〜子」という響きと、日本を象徴する富士山にも重なる「フジコ」というブランドは、「親しみやすいように人の名前にしたい」という株式会社かならぼ 代表取締役社長 吉濱佳奈氏のアイディアから2016年に誕生した。製造は主に韓国で行っており、日本のメーカーがプロデュースしているというイメージを、ブランド名から発信したいという思いもあった。

初のアイテムとなる唇用の『フジコ大人ティント』を発売した数カ月後、韓国にある工場視察時に、現地で発売された直後の眉ティントを見てビビッときた吉濱氏は、フジコブランドでの商品化を即決。日本で最初に店頭に並べないと意味がないと、その6ヶ月後には『フジコ眉ティント』を日本で発売した。

ちょうどInstagramの利用者が急激に増え始めていた時期で、#イモト眉というハッシュタグをつけて画像をアップするユーザーが増えて話題となり、その現象をメディアが取り上げたことがきっかけで、仕掛けずして一気に人気に火がついた。バラエティショップやドラッグストアを中心に、発売から1ヶ月で15万個を販売し、2016年末には、日経トレンディが発表する「2016年ヒット商品ベスト30」にもランクインした。

こうしたエピソードからは、幸運が重なりブレイクしたように見える。しかし、その裏には、発売前からInstagramを意識した「(売り場に)なじまない戦略」があった。ドラッグストアの売り場で"違和感”をあえて出すために、当時他社のパッケージには使用されていなかったビビッドではないがパステルよりは目立つマカロンカラーを採用。さらに、Instagramを意識して、パッケージの形状を正方形にし、左上には「#すっぴん」「#かわいい」「#フジコ眉ティント」のハッシュタグを大きく入れた。

そうしたアイディアは、以前、女子高生向け市場を得意とするマーケティング会社に勤めていた吉濱氏の経験からくるものが大きい。フジコの商品は、SNSで発信力のある20代から火がつくケースが多いが、その後メインとなるユーザーは「30〜40代の女性が使う便利なコスメ」で、吉濱氏自身が一番のユーザーだという。

「30代女性は子育て、仕事、プライベートにと忙しくとにかく時間がない。けれども、いつもキレイでいたい。そんな私自身の普段の生活が、インスピレーションの源になっている」と吉濱氏。そして、つねに予想できない新しい商品を提供したいという思いから、『フジコ眉ティント』の次に打ち出したのは、夕方にぺたっとする髪をふんわりと復活させる新商品『フジコポンポンパウダー』だった。

中国人の購買を後押しするのは「日本人に流行しているもの」

当初『フジコポンポンパウダー』は、中国での販売は想定していなかった。もし商品が売れなかった場合、どこかで安く転売されてブランドコントロールが効かなくなってしまうという不安から、慎重に行った方がよいと静観していたからだ。

株式会社かならぼ 代表取締役社長 吉濱佳奈氏

しかし、中国最大のSNSであるWeibo(微博)の日本地域のオフィシャルエージェンシーFindJapan株式会社からの提案で、中国での販売に踏み出す。FindJapanをパートナーとして選んだ理由は4つあり、1 中国のマーケットに精通している、2 自社でKOL(Key Opinion Leader)管理をしっかり行っている 3 越境ECで、中国での販売価格を抑えられる 4 情報と販売経路をWeiboから淘宝(タオバオ)という流れに絞ることで、売上管理や商品の流通をコントロールしやすい という点だった。それまでも複数社から実店舗への卸など規模の大きい提案はあったが、なるべくリスクを少なくして中国進出したいという希望と合致した。

2017年4月に発売した『フジコポンポンパウダー』は、中国では、「購買意欲が高く、日本の化粧品が大好きな中国人」をコアターゲットに設定。8月にまずテストマーケティングとしてサンプル配布したところ好感触だったため、すぐに影響力のある50〜60万人のフォロワーのいるKOLを使ったプロモーションを実施した。また、KOLに発信してもらう同タイミングで、Instagramを中心に活動している日本のインフルエンサーにも発信してもらい、KOLやターゲットである中国人が普段チェックしている日本国内のバラエティショップでも販売していることをアピール。「日本人に流行している商品」であることをイメージづけることで、コアターゲットの購買を後押しし、10月には欠品するほどの人気アイテムとなった。

FindJapan株式会社の西山高志代表取締役社長は、「『フジコポンポンパウダー』は、商品特徴がユニークで、ビフォーアフターの変化がわかりやすく、使用感もとてもよい。商品そのものの魅力と、販売タイミングとプロモーション計画を国内、中国ともに同時進行で進めたことが成功の要因」と話す。また、タオバオ上で商品が流通しすぎてしまうと、価格統制が効かなくなってしまい、バイヤーも力を入れて売ってくれなくなる。バイヤーをつねに味方につけておくために商品を取り扱ってもらうメリットを提供し、売上の数字を見ながら商品の流通量をコントロールしていくことが大事だという。かといって、海外進出のファーストエラーとしてよくみられるのが「独占販売契約」だ。独占にしてしまっては、市場の競争原理が働かなくなり、新しい販路を開拓できなくなってしまうため注意が必要だとつけ加えた。

これからは国ではなく、サーチエンジンベースのマーケット開拓

この秋、フジコからは9月に『フジコdekoシャドウ』が発表となり、11月に『フジコアゲリップ』が新登場するが、これらの海外展開はとくに予定していない。「まず、日本人向けによい商品を作るのが大事。中国のKOLは、「日本で流行っているアイテム」を使うことに価値を感じている」と吉濱氏。

また、海外進出において、これからの時代は、マーケットを国別でくくるのはナンセンスだという。「『フジコポンポンパウダー』が中国でヒットしたあと、中国の検索エンジンのbaidu(百度)をよく使うタイやアメリカ在住中国人の間でも話題となり、売上が上がった。彼らが情報を集めているサーチエンジンを攻略することで、世界中にいる中国人に商品を売ることができる。その意味で世界は大きく3つに分類されるという。中国圏で強いbaidu、ロシア・イスラエル圏を狙うならYandex、その他は大きくGoogleというわけだ。

おでこの生え際にシャドウを入れることで、小顔効果を狙う『フジコdekoシャドウ』(写真左)。『フジコアゲリップ』は、リップライナーとバームを一体化した特許申請中の新商品(写真右)。

先見の明のある高い企画力を武器に、スピード感を持った商品開発ができるのは、かならぼのような小さな組織のアドバンテージといえる。そして、商品に合ったツール活用と販路選び、プロモーションを的確に行うことで、大企業でなくてもグローバルで勝負していける時代がきたのだ。

Text : 小野 梨奈(Lina Ono)


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