ユニリーバの利用も。美容業界に「透明化」をもたらすブロックチェーン活用事例
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ビットコインをめぐる大騒ぎですっかり有名になってしまったブロックチェーンだが、そのテクノロジーそのものについては黎明期のインターネット以上の可能性を期待する声が大きい。いま、美容業界においても、その可能性の模索が始まっている。
image:Neil Bates via Unsplash
ブロックチェーン(分散型台帳技術)にまつわる悪評はその大半が「貨幣」としての利活用に関するもので、ジェットコースターのように価値が乱高下したり数百億円相当がいとも簡単に盗まれてしまう実情をみるに、確かに胡散臭いイメージもつきまとう。
しかし、運営・管理を行う権威機関(たとえば「お金」における「政府」や「中央銀行」)を必要としないブロックチェーンテクノロジーの「分散」という思想が大きな可能性を秘めているのもまた事実で、さまざまな分野への応用が始まっている。そしてそれは、美容業界も例外ではない。
DNA情報を安心して手渡すために
スキンケアの世界の最新トレンドは「パーソナライズド」や「カスタマイズ」だが、「EpigenCare」はその究極形といえるだろう。
そのサービス名の由来にもなっているエピジェネティクス(Epigenetics)とは、後天的な要因による遺伝子の表現型の差異を研究する分野だ。…と書くといかにも複雑そうに思えるが実際は単純な話で、たとえば一卵性双生児の遺伝子配列はまったく同じだが、ライフスタイルや生活環境などによって個体差が生じる。EpigenCareは、この個体差、つまり肌年齢、ハリ、保湿状態、敏感さといった皮膚を特徴付けるDNA配列の「エピゲノム」に着目することで、星の数ほどあるスキンケアプロダクトからユーザーに最適なものを見つけ出してくれるという。
EpigenCareのスキンケア診断は199ドルから(出典:EpigenCare)
しかし、EpigenCareを利用すると、ユーザーは自身のDNAシークエンスという、クレジットカード情報どころではない個人情報を提供することになる。当然、非常に厳格なデータ管理が要求されるわけで、そこでブロックチェーンの登場となる。改ざんやシステム全体のハッキングが不可能で、誰がアクセスしたかも記録が残る「台帳」を使えば、データの安全性だけでなく不正利用も防ぐことができる。顧客は企業側が自分のDNAデータを第三者に売り渡したりしないか、常に確認できるというわけだ。
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