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韓国最大MCNのLeferi、レコメンド美容アプリ買収でインフルエンサー事業強化へ
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韓国最大MCNのLeferi、レコメンド美容アプリ買収でインフルエンサー事業強化へ

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ビューティ&ライフスタイル系のインフルエンサービジネスを展開する韓国最大のMCN企業Leferiは、2022年6月末にビューティアプリ「나만의 화장대(日本語直訳は『私だけの化粧台』)」を運営するスタートアップMakeMeUpを買収すると発表した。両社のサービスの詳細や沿革を交えながら、今回の買収によるシナジー効果についてレポートする。

韓国のMCN業界を牽引するLeferi

Leferi(レフェリ)はインフルエンサーの育成、関連マーケティングおよびコマースを展開する、韓国国内最大手のMCN(マルチチャンネル ネットワーク)企業だ。設立は2013年で、翌2014年8月から展開されたグーグル コリアのクリエイター養成プロジェクト「Beauty Creator Lab」に参画したのをきっかけに、これまで800名以上のYouTubeクリエイター(インフルエンサー)を自社で育成してきた。

特に美容分野に強く、現在約400名のビューティ&ライフスタイルクリエイターが同社に所属しており、所属インフルエンサーのYouTubeチャンネル登録者数を足し合わせると1,800万人、同社がクリエイティブに関わったコンテンツの総累計再生数は17億5,000万回となっている。

出典:Leferi公式サイト

Leferiの創業者であるチェ・インソク氏は、大学1年生の頃から投資コンサルタント会社にインターンとして入社し、企業分析の経験をベースに執筆したブログが高評価を受け、自身が影響力の高いパワーブロガーという経歴をもつ。活動を続ける過程で多くのビューティブロガーと知り合う機会に恵まれ、そのコンテンツの持つ収益性の高さに気づいたという。

大学を中退したチェ氏は、25歳で、日本円にして約100万円の資本金をもとにLeferiを創業した。当時、韓国ではMCNという言葉はほとんど知られていなかった。チェ氏本人も自分の事業がMCNに該当するとは理解していなかったという。チェ氏は韓国メディア「DESIGN」の取材に対して次のように答えている。

「2014年に韓国コンテンツ振興院が主催した創業競進大会(ピッチ大会)に出場し、『クリエイターたちがビューティ関連の動画を撮影しYouTubeにアップする』という事業計画をプレゼンしたが落選した。ところが、そのピッチの内容を知ったグーグル東アジア支社の関係者から連絡を受けた。私が提案したコンセプトは、海外でMCNという言葉で定義されていることを、そこで初めて知った」(チェ氏)

少ない資金で人と人の繋がりだけを頼りに事業に注力してきたLeferiだったが、韓国国内でYouTube自体の知名度やユーザー数が増えるなか、先行走者として地道な活動を続けてきた成果が徐々に実り始める。ここ数年では、韓国国内のみならず、中国IT大手テンセントとも提携し、中国人ビューティインフルエンサーの育成プログラムにも携わっている。また、2018年には自社スキンケアブランド「Surepi」をローンチ。そのかたわら、セフォラなどの小売や人気韓国コスメブランド「AHC」など、複数社とインフルエンサーおよびブランドコラボレーションをしながら事業の積極的な拡大を図っている。

LeferiのPBブランド「Surepi」
出典:Surepi公式サイト

Leferiの2019年から2021年までの売上高は毎年約16億円とほぼ横ばいで推移したが、インフルエンサー市場およびEC市場の着実な成長を背景に、2022年上半期には前年比46%の上昇を達成。2022年には過去最高の売上高実現も射程圏内となっている。

ユーザーデータを駆使したアプリを運営するMakeMeUp

一方、Leferiが買収に踏み切ったビューティスタートアップMakeMeUpは、2020年7月に「나만의 화장대(日本語直訳は『私だけの化粧台』)」というアプリをリリースしている。

同アプリは、実際にユーザーが日々使用している化粧品のデータを分析して、各自に適した製品をレコメンドするアプリだ。ユーザーの肌タイプや悩みにあわせて、ブランドが自社商品を勧める広告型ではなく、まさに個人個人の化粧台のように、使用中の化粧品をベースにパーソナライズしたレコメンドをし、かつ他ユーザーとのコミュニケーションが取れる機能を備えた化粧品レコメンドアプリだ。

MakeMeUpのアプリ「나만의 화장대」
出典:MakeMeUp公式サイト

ユーザー体験としては、普段使用している化粧品をスマホで撮影すると、各商品の情報が各自のアカウントに自動登録されてストックされ、肌タイプ診断の結果などとあわせて、その嗜好と肌に適した商品をAIが解析。その後、ブランドをまたいだ8万点以上の商品群のなかから、ユーザーの好みとマッチしそうな商品や追加で購入するとよい製品をレコメンドするというものだ。また解析した情報から、ユーザーが月間で消費すると予想される化粧品の量を金額に換算したり、商品の使用期限を表示するといった家計簿的な管理機能も搭載されている。

他のユーザーとのコミュニケーション要素が取り入れられているのも、同アプリの特徴だ。自分と嗜好が似ているユーザーの“化粧台”をチェックし、情報を得ることができるほか、他のユーザーに商品を推薦したり、推薦を受けたりができる。この相互推薦はMakeMeUpや提携ブランドのプロモーションとも連動しており、ユーザーには、自分のレコメンドをもとに購買につながった商品数や、サービス・アプリ利用頻度=ロイヤリティに応じて、特典(ポイントおよびクーポンなど)が付与される。最近では、化粧品だけではなく、ボディケア商品の自動登録も可能となった。

そして運営元のMakeMeUp側は、ユーザーが使用する商品と各自の美容習慣、手入れのルーティン、コミュニケーションに関するデータをAIで分析し、マッチングやレコメンドの精度を高めるために活用している。

LeferiとMakeMeUpには、韓国産業通商資源部韓国デザイン振興院、アクセラレータ企業SparkLabsが2020年に共同開催した、AI、IoT、VR、ARなど先端技術を駆使したファッション&ビューティテック企業を支援するという趣旨のコンペティションイベント「STYLE TECH」での接点がある。MakeMeUpは同イベントを勝ち抜きピッチに登壇。一方、Leferiのチェ氏はパネルディスカッションのパネラーとして参加していた。

STYLE TECH 2020の模様を収録した動画

最終目標はパーソナライズされたインフルエンサーマッチング

Leferiが買収を通じて狙うのは、データ分析の強化および自動化だ。自社内に設置されたデータ研究所が収集したデータ資産およびシステムを高度化させていくために、MakeMeUpのデータ分析・開発能力を活用していく計画だとする。

MakeMeUpは、ユーザー、商品、カテゴリー別データを10万件以上保有している。このデータは購買データではなく、ユーザーが実際にリアルタイムで使用している商品データというのが大きな特徴だ。一方、Leferiのデータ研究所は、韓国国内のYouTubeに関わる膨大な量のトラフィックデータを独自に収集・加工・分析してきた。解析しているデータには、カテゴリー別のインフルエンサーごとの特徴やコンテンツ量、販売との関連性、エンゲージメントの比重など、さまざまな種類が含まれる。LeferiはMakeMeUpを自社組織に取り込むことで、その収集・分析作業の強化と自動化を図る。

そして、Leferiが最終的に目指すのは、各ユーザー向けに深いレベルでパーソナライズされたインフルエンサー最適化マッチングソリューションを構築し、ビューティ&ライフスタイル市場への影響力を拡大していくことだ。既存のデータ解析リソースの強化だけではなく、今後は新規に独自のプラットフォームを企画・開発していくことも示唆している。その意味でLeferiにとっては、AIやデータ分析に精通した人材を確保することも今回の買収の狙いのひとつだったとみられる。

買収後、LeferiはMakeMeUpの元代表キム・ソヨン氏を、自社の最高製品責任者(CPO)に任命している。商品設計およびサービス改善、事業部別のシステム構築・戦略樹立を統括する役割だ。チェ代表は買収に関するリリースのなかで次のように話している

「今回のMakeMeUpの買収はLeferiの核心的な価値であるコンテンツ制作とインフルエンサービジネスのノウハウを、技術とプラットフォームで段階的に資産化させていくための最初の一歩だ。キム氏らプラットフォームの専門人材を得て、組織全体でビッグデータ技術などをベースにした新規事業を推進していく計画だ。(中略)これからもインフルエンサー連携型サービスとプラットフォーム活用には積極的に投資していく」(チェ氏)

Leferiはまた、自社ブランドの物流・サプライチェーン強化にも乗り出している。2022年7月には、フルフィルメントサービス事業者Poomgoとの提携を発表。今後、「週末出庫」や「24時まで受け付け」など、韓国国内で加熱する配送競争にも対応していくという。

またLeferiでは、2022年5月末に、LIVERCEというライブコマース専門の社内ベンチャーを立ち上げた。この経緯については、インフルエンサーのみならず、ライバーにも特化したマネジメントシステムが必要であると判断したためとチェ氏は語っている。

出典:Leferiリリース資料

韓国のインフルエンサービジネスの黎明期を支えてきたLeferiは、今後も市場の変化に対応しながら新たな展開をみせてくると思われる。

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)
Top image: BUNDITINAY via Shutterstock

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