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花王やマンダムも製品開発。「宇宙美容」元年の2022年から考えるその役割と可能性

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2021年12月、実業家・前澤友作氏が日本人として初めて民間宇宙旅行をして話題を集めたように、民間企業による商業宇宙旅行サービスがいよいよ本格化。一般人が短期旅行で楽しむほか、長期滞在する時代がまもなく到来しようとしている。それに向けて、さまざまな宇宙産業が誕生しており、宇宙生活でのQOL向上における「美容」の役割についての議論が活発化している。2021年12月8日に開催された「第1回 宇宙美容シンポジウム」での議論も交えながら、「宇宙美容」の可能性について考察する。

宇宙ビジネス市場における「宇宙美容」分野の可能性

2021年は、Virgin Galactic、Blue Origin、SpaceXなどの米民間企業による商業宇宙旅行サービスがスタート。国家主導の宇宙開発から、民間企業による宇宙ビジネスへとシフトし、多様な業種の企業参入が進んでいる。

NASAのアポロ計画の後継プロジェクトとなる「アルテミス計画」では、2040年には1,000人が月に居住し、2万人が月と地球を往来するとされている。モルガン・スタンレー社の調査によると、宇宙産業規模は現在の約40兆円から2040年には100兆円に達する見込みで、宇宙空間(ロケット搭乗から滞在含め)での衣食住マーケットが、今後、確実に成長していくことが見込まれている。

一般社団法人SPACETIDEが発行する「SPACETIDE COMPASS」によると、宇宙ビジネスは6つのセグメントに分類され、そのうち宇宙美容は「宇宙旅行・滞在・移住」の衣食住事業に含まれる
出典:SPACETIDE COMPASS

コルゲート・パルモリーブ社のブランド「PCA Skin」は、2022年2月19日に打ち上げられるロケットに搭載され、ISS内で宇宙飛行士が実際に使用して、無重力空間での肌への影響や効果を測定する実験をスタートさせる。同社 グローバル・テクノロジー&デザイン担当副社長のリア・アルヴァニティドゥ(Lia Arvanitidou)氏は、「過去のデータから、宇宙旅行や微小重力に長時間さらされることで、皮膚が薄くなり、乾燥し、切り傷を負いやすくなるなど、肌に大きな影響が出ることがわかっている。これらの変化は、地上での通常の老化プロセスに匹敵するものだが、微小重力環境では加速されるようだ。今回の実験を通じて、これらの変化の背後にある皮膚の健康バイオマーカーに関する新しいデータを収集することができると考えている」と述べた

極限環境における「宇宙美容」は地上の課題解決にもつながる

宇宙に長期滞在し、生活するとはどういうことなのか。宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)が、宇宙飛行士の宇宙滞在経験をヒアリングしてまとめた「Space Life Story Book」を公開しており、そこには宇宙空間でのさまざまな生活課題がまとめられている。

たとえば、宇宙の微小重力下では筋力・骨が衰えるため、宇宙空間滞在中は毎日2時間30分の体力トレーニングが必要とされるが、宇宙では水が貴重でお風呂やシャワーを使えず、洗髪や洗顔、歯磨きはどれも超節水型で行う必要がある。また、気圧・気温・湿度が一定に保たれたISSの閉鎖隔離環境での生活は単調で、四季の移り変わりなども感じることができないため、生活リズムを整えるなどのメンタルやストレスケアが非常に重要である、といった内容が記載されている。

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