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インドはソーシャルコマース全盛、地元プラットフォームMeeshoとAmazonの思惑

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経済成長率は約7%、中間所得者層が増加し、ネットインフラの整備が進んだインドではEコマースが活況を呈している。美容関連市場も例外ではなく2018年には2.5倍の成長をみせた。Amazonも勝機をうかがい攻勢を強めるインドの現況をレポートする。

目覚ましい経済発展とインターネットの普及により、ビューティ市場が拡大するインド。将来的には米国を上回る市場規模に成長すると推定され、世界中のブランドがこの市場に注目している。一方で、いまだ発展途上であるため価格に対する意識が先進国とは異なる点や、言語、文化、宗教が州によって異なるためマーケティング活動が複雑にならざるを得ない。

また、社会インフラや経済成長は道半ばながら、Eコマースやソーシャルコマースが急激に成長しているところも大きな特徴で、インドのFacebookユーザー数は世界トップ、Instagramユーザー数は世界2位であり、ソーシャルコマースは、インドのオンライン取引のキードライバーとなることが予想される。

インド13億人の人口の6割が35歳未満

インドのビューティ市場では、ヘアケアやスキンケア、メイクアップなどのパーソナルケア製品部門の成長が目覚ましい。だが、ビューティ産業が市場に占める割合は、現時点ではインド全体のわずか1%といわれている。むしろ注目すべきは化粧品の潜在市場で、2019~2024年で年間平均6%を超える成長予測となっている。このまま市場が成長していくのであれば、今後の伸びしろは計りしれない。

また、ビューティ産業にとってインド市場の魅力は、人口ポートフォリオにある。インドは13億人の総人口のうち、約6 割が35歳未満のミレニアム世代を含む若年層で、その数は米国の総人口の2倍以上にも相当する。ビューティ関連企業にとっては、未開拓の巨大市場が広がっていることを意味する。

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Image: Boris-B via Shutterstock

2050年には、世界を牽引する国となるであろうインド。その経済成長率は、ここ数年、平均7%前後で、これに伴い中間所得層が増加し、個人の可処分所得も増加しており、ヘアケアやスキンケア、メイクアップなどのビューティ関連製品を購入する余裕が生まれてきている。

また、日本の高度経済成長期がそうであったように、数多くの外国企業が参入してくることで、新たなライフスタイルが徐々に定着しはじめている。都市部では、核家族化、働く男女の一人暮らし、食の多様化、女性の社会進出などの現象が起きている。

個人事業主のソーシャルコマースが活況

ビューティ業界のみならず、インドの産業界に大きな変化を与えたのがインターネットテクノロジーの発展だ。ネットインフラ整備が整い、中国や韓国産の格安スマートフォンが流入したことで、中間所得層以上であれば、1人1台はスマートフォンを持ち、欲しい情報を入手し、オンライン取引が可能な環境になった。

これによりオンライン小売が伸び、小売市場の約3%を占めるまでになった。割合としては小さな数字ではあるが、インド商工省が設立した財団 India Brand Equity Foundation(IBEF)によると、インドは2034年までに米国を抜き、世界で2番目に大きいEコマース市場になることが予測されている。もちろん、美容業界も例外ではなく、小売業者が運営するEコマースによる売上げは、2017年から2018年で2.5倍の市場に成長している。

確かに、ここ数年でAmazonなどの外資系巨大プラットフォームでのビューティ関連製品の販売品数が急速に増加していることが実感される。一方で、Amazonがインド市場を拡大するためには、超えなければならない特有の課題もある。

それが、インドのビューティ産業の75%を占める個人事業主の存在だ。形態としては、パパママストアと呼ばれる駅ホームの売店のような店構えの小規模小売店舗や、自宅で起業したフリーランスなどが存在する。美容系の取扱商品としては、日用品的な美容小物から口紅やアイシャドウなどのカラーメイク商品、化粧水や乳液などの基礎化粧品まで幅広い。個人で商品を開発し、自分で販売する人もいる。

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Image: Salvador Azner via Shutterstock

こうした資金力の低い個人事業主にとって、Amazonなどのプラットフォームは取引手数料が高くて手が届かない。一般的に、コスト計算に厳しいインド人にとっては、Amazonに出店することで売上げが上がるメリットよりも手数料の高さがデメリットに映るようだ。

よって、取引手数料のかからないFacebookやInstagramなどのソーシャルメディア上でオンライン店舗を開設し、メッセンジャーアプリのWhatsApp、SNSのダイレクトメッセージで顧客とコミュニケーションを取りながら、オンライン上で商品取引を展開するケースが大多数だ。

Amazonは、この潜在セグメントをなんとか取り込もうとしている。2020年1月には、CEOのジェフ・ベゾフ氏自らが来印し、約10億ドルの大型投資を発表した。インド全土にデジタルセンターを100カ所設け、ITリテラシーが不足し、デジタルプラットフォームにアクセスできない人へIT面での支援や、小規模都市や農村部に住み、ITだけでなくマーケティングや物流における課題を抱えている個人事業主を対象に、マーケティングや物流面からも支援する計画だ。

あわせて、この大型投資により、同社は2025年までに国内で100万人の雇用を創出するとも宣言した。このほか、インド政府やインド商工組合が懸念する大幅な割引や損失の補償にはこの資金を充てず、5年〜10年の長期の事業開発に使用するとしている。

Facbookから投資を受けるマーケットプレイスMeesho

そういったなかで、すでにこのセグメントを獲得しているインド地場のサービスが、ソーシャルコマースアプリMeeshoだ。

Meeshoは、プラットフォーム上で、販売代理店や転売業者と消費者を結び付けるオンラインマーケットプレイスで、WhatsApp、Facebook、Instagram などのソーシャルメディアを通して売買が行われる仕組みを構築している。つまり、ユーザーは自身の商品を自らPRして交渉する場としてMeeshoを選び、SNS、チャットアプリを活用している。また、メルカリのように中古品を売る個人と、自社製品を販売する企業が混在する。世界最高峰の工学・科学技術大学の1つインド工科大学(IIT)出身者らが中心となり、2015年にインドのIT都市バンガロールで創業した。

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出典:Meesho公式サイト

「Start Your Business from Home with Zero Investment(自宅からゼロ投資でビジネスを始めよう)」というコンセプトの通り、低コストで自社の製品をオンライン上で販売できることが最大のポイントだ。スマートフォン上で無料アプリをダウンロードすればプラットフォームの使用が可能となる。

そのほかにも、Meeshoはインド個人事業主のさまざまなニーズに応えている。その1つが、アプリをダウンロードするとはじめに表示されるヒンディー語によるアプリの解説マニュアル動画だ。日本など先進国と比較して識字率が低いインドでは、ヒアリングの能力だけで理解できる動画マニュアルは多くの人にとって利便性が高い。

また、MeeshoはAmazonなどよりも、ITリテラシーに欠けるユーザーも直感的に使いやすい仕様になっており、アプリをダウンロードしてから商品を販売するまでのステップが簡単で、時間的にも短い。

Meeshoで取り扱われている主なカテゴリーとしては、ファッションやインテリア、化粧品などが挙げられる。美容系では、口元、目元のポイントメイク製品が人気だ。実際にMeshooのサイト上で、Beautyをキーワードに200件程度ブラウジングしたところ、出品数の多さはリップスティック、アイシャドウ、ファンデーション、スキンケア、ヘアケアの順で、スキンケアとヘアケアでは半数以上がオーガニック製品であるのも特徴だ。また、インド国産ブランドがおよそ95%を占めている印象である。

Meeshoでは、これまでに8億ルピー(約12億2,570万円)の商取引が生み出され、3億枚以上の商品画像のやり取りが行われている。現在、1,000万人以上の個人事業主や中小企業が利用するプラットフォームへと成長しており、2020年内には2,000万人の起業家を創出することを目標に掲げている。

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Image: yuraksrasil via Shutterstock

また、Meeshoのユーザーの80%は女性で、販売業者のなかには、自宅を拠点に毎月2万5,000ルピー(約3万8,500円)から5万ルピー(約7万7,000円)を稼ぐ女性もおり、主婦や外に働く場所のない女性の収入の創出にも貢献している。

あわせて、2019年にはFacebookなどから1億2,500万ドルの巨額の資金調達を受け、さらなる注目が集まっている。

前述したように、世界でも断トツのFacebookやInstagramユーザー数を誇るインドはFacebookにとって主要な市場であり、ソーシャルメディアのさらなる活性化を促すソーシャルコマースMeeshoとのシナジーは高い。

Meeshoの競合としては、2015年に金融都市ムンバイで創業したShop101、2016年に首都デリーで創業したShopperts、2017年にバンガロールで創業したGlowRoad、2018年にデリー近郊工業都市ノイダで創業したMall91 などが挙げられる。いずれもMeeshoと同様の仕組みを持つソーシャルコマースアプリであるが、FacebookだけでなくWhatsAppと連携している点が特徴だ。

Text: チーム・ストーリーテリング(STORYTELLING)
Top image: Mukesh kumer Jwala via Shutterstock

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