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日本でコスメ自動販売機普及の可能性、「プレノ」が仕掛ける非接触のOMO体験

◆ English version: Cosmetics in a Capsule: Will vending machines catch on Japan with PRENO’s new purchasing experiences?
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「非接触リテールの時代」特集。小売サービスが
急激な方向転換を迫られるなか、ヒントとなる
具体策や事例を積極的に紹介していきます。

大手ブランドや中国ブランドの販促・マーケティングツールとして、近年、世界各地で散見されるようになったコスメの自動販売機。日本発の美容スタートアップPRENOは、OS搭載のコスメ自動販売機を独自開発。OMO体験を見据え、化粧品の新しい購買体験を切り開く。人が介在しないという意味での非接触リテールとして、アフターコロナの販売チャネルとしても注目を浴びそうだ。

株式会社PRENOはユーザー向けには「世界一小さなコスメ屋さん」、ブランド向けには「ユーザーの体験価値×OMO実現」というコンセプトのもと、コスメ用自動販売機「プレノ」(社名と同一、以下カタカナ表記)を自社開発している。

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コスメ用自動販売機「プレノ」

データ収集・UI/UXのカスタマイズに優れた次世代自動販売機

2020年4月15日に、ラフォーレ原宿にてローンチ予定だったが、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大防止で休館となり中止となった。しかし現在、大型の商業施設、スポーツジムチェーン、大手ブランド、不動産開発事業者とも商談を進めており、初期の段階では自社調達の韓国コスメを中心に品揃えをし、販売を展開していくとしている。

そもそも、同社はなぜ自動販売機に着目したのか。株式会社PRENO 代表取締役 肥沼芳明氏は「クライアントニーズが発端だった」とその背景を説明する。

「弊社では独自ブランドの準備を進めるかたわら、海外コスメブランド、またアパレルブランドのコスメラインのライセンスを取得し、国内における企画・製造・販売を行うことを主な事業としている。そのなかで日々、多くのブランドから相談を受け、小売店の棚があまり空いておらず、リアルの販売チャネルが限られることや、購買に繋がる体験価値が必要だということを強く認識させられた。自分自身、業界関係者やユーザーがワクワクする仕組みやエコシステムをつくりたいというモチベーションも強く、化粧品専用の自動販売機に関する事業を同時に展開することを決めた」(肥沼氏)。

プレノは、筐体の中にディスプレイとして商品ダミーが配置されているような、街中でよくみかけるタイプの自動販売機とは一線を画す。商品選択や購入操作は大型のタッチパネルを通じて行う。既存の商品は基本的に1回の操作につき1商品しか購入できないが、プレノの場合、ECでショッピングをするように複数選択・複数購入が可能となっている。

1つの販売機の中に幅70mm×高さ165mm×奥行35mmサイズのコスメパレットであれば、400個ほど積載でき、冷蔵・冷凍も可能だ。さらにプレノの決済はすべてキャッシュレスで行われる。現段階では複数のQRペイメントに対応しており、6月以降は非接触IC「FeliCa」などにも対応していく計画だ。

若年層をターゲットにするという理由から、利用率が高い「PayPay」と「LINE Pay」のQR決済機能を搭載した。また、「WeChat Pay」など、およそ15の海外QRペイメントサービスにも対応している。「設置するだけで、すぐに世界各国のユーザーが決済でき、インバウンド需要を取り込むことができる」と肥沼氏は話す。

プレノの筐体には高精度なカメラも取り付けられている。今後、ユーザーの骨格データやルック、興味、行動などさまざまなデータを収集し、提携しているAIベンチャーとともに解析。製品開発や年齢層のターゲティングなどへの活用を見込んでいる。

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原宿・ニューヨークギャラリーに
プレ展示されたプレノ

プレノの特徴として最も注目すべきは、UI/UXのカスタマイズの容易さ、PDCAサイクルの回しやすさにある。タッチパネル部分の出力画面は、汎用的なOSを使ってデザイン、プログラミング、管理がされている。スマートフォンやタブレットの画面がさらに大きくなって自動販売機についているようなイメージだ。

バックエンドでヒートマップなども実装することができ、「どの商品がどれだけ売れているか」「興味を持たれている商品は何か」などをリアルタイムで可視化できる。加えて、そのデータをもとにタッチパネルでの商品の位置やレイアウトを変えることも容易で、販売効率をあげる試みがすぐにできる。前述の高精度カメラと考えあわせれば、プレノの全容は「IoT自動販売機システム」ともいえるだろう。

「既存のほとんどの自動販売機は、具体的なデータを利用してUI/UXのカスタマイズを検討することができない。もしくは、タッチパネルタイプとしてデータは集積できるが、レイアウトを変更する作業が複雑などの課題を抱えている。その点、プレノは非常に柔軟性が高いシステムを用意しており、ブランド側も簡単に使いこなせると思う」(肥沼氏)。

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PRENO代表取締役 肥沼芳明氏

ユーザーフレンドリーなOMOの実現が目標

このコスメ用自動販売機プレノは、商品を販売するだけでなく、さまざまな用途に利用できるのも大きな特徴だ。たとえば、サンプリング&アンケート、広告配信などである。

「連動したアプリなどでユーザーにアンケートに答えてもらい、最後に出てくるQRをかざすとサンプルがもらえるというような設計も可能で、仕組み的には100%アンケートを回収できる。また、タッチパネル部分はデジタルサイネージとしても利用できるので、自動販売機ながら広告収入モデルの構築も可能だ」と肥沼氏は説明し、PRと調査をミックスした用途にも使えると示唆する

現在、PRENOでは、プレノに関してふたつの収益モデルを構想しているという。ひとつが、クライアントが持つスペースに自動販売機を設置し、そこで生まれた利益を分けるレベニューシェアモデル。もうひとつは、スペースを所有するクライアントに自動販売機をリースや販売(350万円〜)するモデルだ。PRENOとしては今後しばらく、自社で保有する数十台の自動販売機を韓国コスメに特化し、提携するブランドのショップスペースなどで稼働させつつ広告収入によるマネタイズから進めていく計画だ。

リースや販売の対象となる“オーナー”や導入企業としては、デパートや百貨店など大型商業施設はもちろん、不動産所有者や小売店、また、インフルエンサーなど個人も想定しており、各自のセレクトによる独自の品揃えが可能だ。

「たとえば、ブランドが一定スペースをジャックしたり、ポップアップストアの代わりに設置するといった使い方は、すでにブランド側と議論している。今後は、たとえば24時間制のスポーツジムで長時間にわたって広告を表示し、顧客が必要とする化粧品以外のグッズを販売するのも可能だろう。また、複数台のプレノを連動させて動画広告やコンテンツを流せるので、アーティストやタレントのグッズを差別化した方法で拡販するのにも効果的だと考えている」として、直近ではマレーシアの無人空港での導入も目指し協議中にあることを肥沼氏は明かす。

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肥沼氏は、昨今話題のOMOの概念については、ブランド側がすぐに取り入れるにはハードルが高く、かつユーザーにとってのメリットが伝わりにくいと感じてきたという。その点、プレノはお洒落な自動販売機として使い勝手が良く利便性も分かりやすい。ゆくゆくは、自動販売機で決済するが、ECとの連携で自宅に届くという使い方もできるだろう。また、プレノ独自の購入体験や特典を継続的にブラッシュアップし、「コスメをいつでもどこでも楽しく買える」体験を提供することが同社の目標だ。

アフターコロナの販売現場は、非接触ながら豊かな体験をもたらす売り場づくりがひとつのトレンドになっていくと考えられる。その意味でも、自動販売機を介在させることによるOMO体験は、ひとつのヒントになるのではないか。

「2020年内に、渋谷区・港区を中心に60台のプレノを設置することがひとつの目標だ。我々は年齢、性別、体形などに関係なく、『自分らしくあること』、『ありのままであること』が美であると定義し、そこからさまざまなサービスを提供していく。特にフォーカスしたいのは、日本を含むアジアだ。メイクそのものや、自分らしさを楽しむというカルチャーが、アジアに根づくのはこれからだとみている。プレノの事業を通じて、新たな体験価値創出やビューティー産業の活性化に寄与していきたい」と肥沼氏は意気込む。

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)
画像提供: PRENO
Top image: Garfieldbigberm via shutterstock

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