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花王が考えるポストコロナのSDGs、日本らしさのあるESG戦略でめざすもの

◆ English version: Kao’s clean and green ESG strategy rooted in traditional “win-win-win” Japanese philosophy
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企業の長期的、かつサステナブルな戦略のために、SDGsのみならず、ESGとして非財務情報と財務情報の両面から企業を評価する動きが進んでいる。とくに、リーマン・ショックをきっかけに欧米ではESG投資が加速し、今回のコロナ危機で株主側からのプレッシャーが強くかけられるようになるなど、注目が集まっている。日本の美容業界では、ESG企業ランキングでトップにランクインする花王がこの分野をリードする。その戦略を紐とき、ポストコロナと対峙する日本の美容企業のESGのあり方について考察する。

日本は欧米に比べ、SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)や、ESG(Environment <環境>、Social <社会>、Governance <企業統治> の3つの言葉の頭文字)対応が遅れていると指摘されることも多い。とくに欧州はサステナブルな考え方が早くから根づいており、なかでも主力消費セグメントであるミレニアル世代は、環境に配慮した商品やクリーンな製品でなければ買いたくないという要望が強い。それに押されるように、企業はさらにその先の未来を提示できるよう矢継ぎ早に動いている感がある。日本はどちらかといえば、企業がリードする形で消費者のサステナブルな考え方への理解や支持が高まってきた、といえよう。

日本の美容業界で、その先導企業として走り続けているのが花王だ。その大きな特徴のひとつが、中期経営戦略を軸に、環境問題から、CSR(企業の社会的責任)、サステナビリティ、そしてESGまで、一貫した戦略を前面に掲げている点である。その詳しい内容に入る前に、SDGsとESGの関係について整理をしておきたい。

ESGとSDGsは、ともにサステナビリティをベースにしているが、SDGsは政府や国際機関などの地球規模の呼びかけであり、ESGは企業が主体となっている(下記図参照)。

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図:編集部作成

ESG投資が推進されるようになったのは、2006年に国連が金融業界に対して、機関投資家の意思決定プロセスにESG課題を受託責任の範囲内で反映させるべきとした世界共通のガイドライン、責任投資原則(Principles for Responsible Investment)が制定されてからだ。2008年のリーマン・ショックを契機に、企業の社会的責任に対する考え方に変化があり、サステナビリティがさらに重要視され、ESG投資が加速した。

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米国におけるSustainable,
Responsible, Impact投資の推移
出典:US SIF

一方、SDGsは、こういった一連の流れのなかで、2015年9月に国連が採択した「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」として、企業だけにかかわるのではない、国際社会共通の目標だ。よって、このSDGsも包括しながら、企業としての取り組みについてはESGとして語られることが多い。従来のCSRの概念からさらに踏み込み、企業として社会課題を解決すること自体がビジネスに組み込まれ、大きく変化する経済状況のなかで、どのように企業として生き残り、成長するのかを評価されているのだ。このコロナ禍で、世界中の経済が混乱していることもあり、さらにその機運は高まっている。

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