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KEITA MARUYAMAが考えるマスクルック、資生堂が提唱するマスクメイク【Rakuten FWT 2021 S/S】

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通常のランウェイショーのほか、デジタル配信でコレクションを発表する形式となったRakuten Fashion Week Tokyoの現場では、時代に即したファッションイベントのあり方を探る試みが行われた。マスクメイクやCGを駆使しての世界観の提示など新しい表現方法や、パンデミックを乗り越えようという強い意志が感じられるショーなどをレポートする。

コロナ禍で迎えたRakuten Fashion Week Tokyo 2021 S/S

2020年10月12日〜17日「Rakuten Fashion Week TOKYO 2021 S/S」(以下、Rakuten FWT)が開催された。メイン会場は前回と同様に渋谷ヒカリエと表参道ヒルズだが、コロナ禍における新しいファッションウィークの実現のため、従来のフィジカル(リアル)なファッションショーに加え、オンラインでのコレクション発表を両立して行われた。参加ブランドは合計39ブランドで、フィジカルなショーが16、デジタルでの配信が24となった。

昨今のwithコロナの状況をかんがみ、新型コロナウイルス感染対策マニュアルを策定し、主会場では会場使用方法を見直して、来場者とスタッフを含む収容人数の上限を大幅に制限して密を避けるほか、人間の呼気に含まれる二酸化炭素の濃度をモニタリングすることで室内の換気状態を把握するなどの措置を取った。

またオンラインでは、世界最大級のB2Bマーケットプレイス「JOOR」と提携し、今なお相互に行き来ができない海外メディアやバイヤーに対しての情報発信も行なった。あわせて、開催中止となった前シーズン(2020 A/W)に参加予定だったブランドを中心に、楽天サイト内にECプラットフォーム「E-POP-UP STORE」をオープンし、セールスの面でも支援をしている。

PITTA MASKとコラボしたKEITA MARUYAMA

KEITA MARUYAMA は、ブランド初となるデジタルショー「KEITA MARUYAMA×PITTA MASKコラボレーションショー」のオンライン配信により、Rakuten FWTに参加した。ショーのテーマはマスク(Mask)と仮面舞踏会の参加者(Masquerader)を掛け合わせた造語の「Maskuerader」とし、メインキャラクターのリナ(福士リナ)が自分のアバターと出会い時空のずれた世界を旅するというストーリーで、「Oriental」「Folklore」「Fairytale」「Party」の4つのキーワードに沿ってKEITA MARUYAMAの世界観をCGで表現した。新しいシーズンの服は使用せず、26年間のアーカイブを用いて、今の気分をリスタイリングで表現し、新たな観点からのファッションを提案したショーとなった。

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©︎KEITA MARUYAMA

新型コロナ感染症が台頭する以前からファッションに合わせたマスクを提唱してきたPITTA MASKとのコラボは、実は、キャンセルになった前回のRakuten FWTで実現するはずだったもので、この短期間でマスクが日々の暮らしのマストアイテムとして定着するとは思ってもいなかったことを、デザイナーの丸山敬太氏は明かしている。そして、今回のショーではKEITA MARUYAMAらしい日常のファンタジーを具現化するため、クチュール感のあるマスクを制作したとする。

メイクを担当した資生堂ヘアメイクアップアーティストの伊藤礼子氏は、メイクアップをファッションとマスクをつなぐ役割と位置づけ、引くより足すことで世界観が際立つように仕上げたという。「Orientalでは赤いチークを目もとから大胆にグラデーション、Folkloreではパステルのアイカラー、Fairytaleではグリッターアイ、Partyではくっきりとしたブラックのアイラインと、必ず1つポイントとなるテクニックを入れた」(伊藤氏)

同じく資生堂所属のヘア担当アーティスト豊田健治氏は「撮影当日は合成用グリーンバックだったが、仕上がりの際の背景や色合い、画面のなかでのバランス感を意識した」と話す。また、伊藤氏も「(グリーンバックなので)通常よりカラーの発色を上げることと、かなり寄りのシーンもあるので、質感にもこだわった」と、映像表現ならではの配慮をしたとする。

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©︎KEITA MARUYAMA

資生堂は一般生活者に向けたマスクメイクの提案動画も制作

資生堂では同時に、一般生活者向けに、このKEITA MARUYAMA×PITTA MASKコラボにインスパイアされた秋のメイクを提案する動画を制作して配信を行う。具体的には、FolkloreとOrientalの2つのイメージで、それぞれ「マキアージュ」とブランド「SHISEIDO」のアイテムを使用したマスクメイクルックをクリエイトし、あわせて視聴者が自分で再現できるようハウツーを紹介する。

Folkloreを担当した資生堂ヘアメイクアップアーティスト西森由貴氏は、Folkloreのイメージに合わせたラベンダー色のPITTA MASKと、偏光ラメを効かせたスキントーンのメイクアップの組み合わせをキーにしたとする。一方、ショーでもメイクを手がけた前述の伊藤氏がOrientalを担当。ショーの映像よりもリアルですぐに取り入れやすいアレンジを加えつつ、ネイビーのPITTA MASKとのカラーコントラストをポイントに、アイメイクはピンクのアイライン、キラキラの質感をCゾーンに大胆に効かせたルックを創りあげた。

このコラボメイク動画は11月20以降、Rakuten FWT、ファッション通信、PITTA MASK、そして資生堂の4社のプラットフォームから、InstagramなどのSNSで配信をスタートして情報発信し、タグで連動していく。

また、動画のメイキングの模様は、11月28日23:00からBSテレビ東京の番組「ファッション通信」内の「Beauty Moment」コーナーで放映される予定。モデルはマドモアゼル・ユリア氏が務める。

資生堂ビューティークリエイションセンターの土嶋昌代氏は「マスクが必需品になった状況下において、マスクを着用しながらおしゃれをポジティブに楽しんでもらうためのメイクを提案。ファッションとビューティの間の距離を感じさせない企画」であると説明。その背景には「ファッションを服のデザインやシルエットのみではなく、生活や文化、人生のスタイルと捉えたとき、ビューティはその一部である」との思いがあり、ファッションの現場から発想したビューティを発信することで、服と美容・化粧の一体感を高めていきたいと考えている。

男性性と女性性が重なるジェンダーレスDRESSEDUNDRESSED

Rakuten FWTの最終日最後のショーはDRESSEDUNDRESSED(ドレスドアンドレスド)によるオンライン動画配信だった。デザイナーの北澤武志氏は「Persona」をテーマにしたとコレクションについて語る。クラシックとモダン、繊細さと大胆さ、マスキュリンとフェミニン、相反するさまざまな要素を組み立てていくスタイルで知られるDRESSEDUNDRESSEDは、今回のショーでも、1人の男性モデルのなかに同時に備わる男性性と女性性が、裏表に重なり合いつつ、表情を変えて浮かび上がるさまを捉える、独自のジェンダーレスな世界を表現してみせた。

このショーにも資生堂ヘアメイクアップアーティストチームが参加しており、ヘアを担当した谷口丈児氏は「ヘアの要素をできるだけミニマムにすることで、モデル自身が持つ男性的な魅力と女性的な魅力を引き出すようにした」と話す。メイク担当の贄田愛氏は、中性的なイメージのメイクのポイントは肌づくりにあるとして「透明感や柔らかさが感じられるよう、ほんのりピンクの色味を加え、パールのハイライトを使ってツヤとニュアンスを与えて洗練された肌に仕上げた」と振り返る。また、カメラを通してみたときの肌の質感や色味が世界観にあっているかにも気をつけたという。

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ⒸDRESSEDUNDRESSED

あわせて、撮影当日はマスクやフェイスシールドの着用、手指の消毒などの基本対策に加え、道具の消毒や、使い捨てリップブラシやスクリューブラシの使用、繰り出し式のペンシルアイライナーは一度使ったら繰り出し部分を折るなど、モデル一人ひとり用具を必ず分け、使いまわさないことを徹底したと、コロナ下でのショーの舞台裏を話す。

コロナ禍だからこそランウェイショーを再開したZIN KATO

Aoyama Treehouse 2階のENGAWAを会場に、ランウェイをモデルが歩くフィジカルなショーを開催したのはZIN KATOだ。地球上に暮らす全ての人々に甚大な被害をもたらした新型コロナウイルス感染症。未だその影響下に置かれ、誰もが先の見えない手探りの歩みを強いられているなかで、野火の焼け跡に新しい生命が芽吹くように、この災厄をなんとかやり過ごしたあとに全く新しい景色が見えてくるかもしれない。そんな一筋の望みと願いを託して、コレクションのテーマに「再生」を選んだとする。

ショーのエンディング後、デザイナーのZin Kato氏は、店舗の自粛休業中、40年を超えるキャリアのなかで過去最低の売上を記録したことを率直に明かし、ファッション・アパレルビジネスが大打撃を受けるなか、自分にできることは何かと考えたときに、年齢や体力的に難しいと感じて2年間休んでいたコレクションの発表を再開したいと強く思ったという。「(コロナという)ものすごいインパクトだからこそ、ダイナミックな“再生”ができる」との希望を胸に、自らパターン(型紙)を起こしコレクションに取り組んだことは、結果として自分自身の再生にもつながったと語った。

図1

ⒸJapan Fashion Week Organization

9月に開催されたニューヨーク・ファッション・ウィークが大規模縮小を余儀なくされ、多くのブランドがコレクションの発表をデジタルに移行し、マーク ジェイコブスやラルフ ローレンをはじめとする有力ブランドが次々と参加を見合わせるなど、インターナショナルなファッションウィークは存続を含め、岐路に立たされている。

だが、パンデミックを経験したことから生まれる新たな視点や価値観がきっとある。たとえば、デジタル配信によるショーはリアルに比べて臨場感や華やぎに欠けて、訴求力が劣るとする批判もあるが、これまでは特定の人にのみ開かれていたハイファッションへの扉を、広く一般の生活者に向けて開放するという意味では、新しいオーディエンスの獲得につながり、ビジネスの面からも大きなチャンスになりうる。

大御所からライジングスター、老舗メゾンから独立ブランドまで、多種多様なクリエイションが一堂に会するショーケースとしてのファッションウィークは、withコロナの時代に沿った、かつてとは異なる意味合いとバリューを持つことができるはずだ。それがクリエイターの創造性を刺激し、ファッション界に力強い波を起こすことを期待したい。

Text: そごうあやこ (Ayako Sogo)
Top image: ©︎KEITA MARUYAMA


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