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ポストコロナを視野に入れつつ、日本で、世界で、美容室や美容師への支援がスタート

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COVID-19により多大な影響を受けて困難に直面している美容室や美容師をサポートすべく、世界各地、日本もさまざまな支援策が始まっている。どんな取り組みがなされているのか、報道されたニュースやプレスリリースをもとに、海外と日本の事例を紹介する。

世界各国で行われる都市封鎖や外出制限、自粛要請に伴い、美容業界はリテール部門を中心に売上への大きな影響が出ている。なかでもリアルな対面接触サービスが避けられない美容室や美容師はやむなく休業や営業縮小をしているケースが大半で、とくに、中小や個人経営の企業やフリーランスが多い業界事情もあいまって、深刻な経済的困難に直面する場合も少なくない。2020年5月現在、一部の国では規制を少しずつ緩める方向に向かうなか、ポストコロナをにらみつつ、ヘアケア業界にサポートの手を差し伸べようとする動きが起きている。

寄付や衛生用品の無償提供を行うロレアル

「ロレアル プロフェッショナル」をはじめ、「ケラスターゼ」や「シュウ ウエムラ」などサロン専売ブランドを多数有するロレアルグループは、各国でいち早く支援を開始している。

米ロレアルは4月上旬に、COVID-19の感染拡大により休業している取引先サロンとスタイリストに対し、予定していた米ロレアルへの支払いをサロンが再開するまで猶予することを発表。自社のポイント制度については、3月と4月に失効するポイントの有効期限を延長し、ポイントを使って予約したセミナーがキャンセルされた場合、そのポイントを返却する。

同時に、Professional Beauty Association(PBA)と協力し、COVID-19の影響で仕事ができなくなった美容業界のプロフェッショナルを支援する基金「the PBA Covid-19 Relief Fund」に20万ドル(約2,100万円)の寄付を実施した。

引き続き4月末には、同基金に対して広く一般からの寄付を募る「#SupportYourStylist」キャンペーンもスタートした。 YouTube動画を作成して地域のサロンやそこで働く人々への援助を呼びかけ、ハッシュタグの拡散やレビューの投稿、サロンの再開に先駆けて予約を入れるなどの具体的なアクションを促している。目標金額は250万ドル(約2億6,700万円)だ。

一方、仏ロレアルは、フランスでのヘアサロンの営業再開が5月11日に始まったのに先立ち、300万枚のマスクと12万1,000本の手指消毒ジェルを用意し、サロンに対して無料配布するとした。こうした衛生用品を求めるサロンは、ロレアルのカスタマーサービスかビジネスパートナーを通じて申し込む。また、ソフトウェア開発会社3社と提携し、中小規模の独立系サロンを対象に、デジタル予約管理システムの導入をサポートし、3ヶ月間無料で利用できるようにする。

ヘンケルとコティのプロユースブランドの取り組み

ヘンケル傘下の「シュワルツコフ プロフェッショナル」も4月、米国で美容師をサポートする新サイト「HelpYourSalon.com」を立ち上げた。これは、アカウントを開設したサロンや美容師が、店舗再開後のサービスや商品の購入バウチャーを発行できるもので、顧客やコミュニティにシェアしてPRし、売上があるごとにPayPal口座に直接振り込まれる方式で、当座の現金収入につながる。あわせて、美容室や美容師の情報交換や連帯を育むプラットフォームの役割も果たすとしている。

同じく4月に、「ウエラ」などを擁するコティグループの米プロフェッショナルビューティ事業部は、経済的困難にある美容師らに資金援助をする20万ドル(約2,100万円)の基金を設立。「Hairdresser at Heart」プログラムを通じて申し込んだ美容師やネイリストに一律1,000ドル(約10万6,000円)を支給する。技術トレーニングや家賃、ツールの導入など、各自がこの資金を自由に使うことができるとしている。

プロユースのヘアケアブランドにとって、顧客であるサロンや美容師が製品を購入できない状況は死活問題だ。業界大手メーカーの救済施策は単なるチャリティではなく、ビジネスコミュニティを守るための重要な一手でもあるのだ。

パーソナルヘアケアブランドなど日本での支援施策

日本でも美容室や美容師をサポートする企画が続々と登場している。

公的な援助としては、東京都が4月30日から5月6日まで自主休業の美容室と理容室に給付金を支給することを発表。東京都内に事業所がある美容業や理容業を営む中小企業および個人事業主が、自主的な休業を行った場合が対象となる。支給額は1店舗だと15万円で、2店舗以上有する場合は30万円。申し込みは東京都のホームページ上の申請サイトまたは郵送で行い、実際の給付金の支給開始は5月下旬を予定している。

弁護士事務所の枠を超えて有志が集った、美容業界に特化したオンライン弁護団である美容室と美容師のための法律相談室は、いつでもどこでも、気軽に質問や相談ができる法律サービスを開始した。スタッフへの給与支払いや休業補償、雇用保険についてなどをはじめ、たとえ小さな悩みにでも、美容サロン業界に詳しく、雇用・労働関係、財務に強いといった得意分野を持つプロフェッショナル弁護士チームが対応。相談は電話のほか、LINEやZoomで受け付け、相談料は5月末まで無料となる。

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出典:WWD JAPAN

オンライン上のカウンセリングをもとに、パーソナライズヘアケア製品「MEDULLA 」をユーザーにダイレクトに届けるSpartyは、「美容師応援キャンペーン」を開始した。休業期間中の美容室や美容師に向け、無在庫販売ができるMEDULLAの導入を初期費用なしで無料サポートするほか、MEDULLA 1セットあたりの販売マージンを先払いしキャッシュフローを助ける。また、初回56%オフの特別価格で顧客に提供できるよう設定し、サロンやスタイリストのSNSでの販売促進につなげるとしている。

同じく、オンラインでの回答からパーソナライズしたヘアカラー製品「COLORIS 」を提供するストークメディエーションは、提携を希望する休業中の美容室や美容師を対象に、商品の合計金額から2,000円引きした特別価格で販売できる支援策を発表している。

また、理美容室専売品メーカーのミルボンは、休業や時短営業を行う自社パートナーのサロンの顧客に向けて、「Aujua」と「milbon」製品の自宅への配送を始めた。注文は同社ホームページの問い合わせフォームからでき、普段、該当商品を購入しているサロンの店舗名の申告が必要。限られた店舗でしか流通しない製品の特性上、リピート顧客が多く、こうした措置をとることで、美容室が休業中の客離れを防ぐとともに、利益をサロンに還元してサポートするのが目的だ。

人材育成の分野で美容業界の支援をうたうのは、美容の総合コンサルティングに特化した企業サン・ティトルだ。自宅待機や在宅ワークを余儀なくされている美容業従事者に対して、リモートツールを活用した、座学講義を含むレクチャーや研修、ポストコロナに向けた事業の戦略構築や商品開発のコンサルティングを提供するオンラインサービスをスタートした。

会員制オンラインサロン「bexlab」を運営するビューティエクスペリエンスは、5月7日、会員制教育動画配信サービス「bex palette」をリリースした。好きな時間や場所から視聴できる美容室および美容師のためのサポートツールと銘打ち、基礎知識や基礎技術から人気美容師によるカットやカラー、パーマ、アレンジなど応用技術の実演など、幅広いテーマの動画をラインナップ、会員登録するだけの無料プランも用意している。

日本の美容業界70社のトップが業界で働く人に応援メッセージ

アイスタイルでは、パンデミックがもたらした未曾有の事態を、サロンや美容業界が一丸となって乗り越えることを訴え、美容関連企業やブランド 70超のトップからのエールを集めた「トップメッセージ」を同社公式サイトで公開した。

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出典:アイスタイル 公式サイト
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美容室やサロンを含む美容業界で働くすべての業界人に向けた強いメッセージの数々は、ともに手を携えて困難に立ち向かおうという呼びかけであり、苦境のなかで誰ひとりとして取り残され孤立することがないよう精神的なサポートと連帯を目指している。業界だけでなく、顧客の側からも困難のなかで営業を続ける美容室や美容師への応援の声もある。

世界規模でのコロナ収束はいまだ先がみえない状況ではあるが、今できることを速やかに実施し、業界全体で助け合うことで困難を乗り越えようという機運が高まっている。ポストコロナ時代の行方を占う意味でも、前向きな挑戦が期待される。

Text: そごうあやこ (Ayako Sogo)
Top image: アイスタイル

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