J-Beautyの躍進は「テクノロジー」「新しい視点」「トライアル」で攻める

◆English version: Outlook for J-Beauty
New English article
◆新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページメルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o

テクノロジー時代、どう顧客体験を最大化するのか。そのときマーケティングに対する意識はどうあるべきか。そして、グローバル市場をどう開拓していくのか。日本の美容業界が抱える課題に向き合うとき、新しい技術やプラットフォームにふれ、少し視点を変えてみると、さまざまなトライアルが可能なことに気づく。「ダイエット&ビューティフェア2018」で初の開催となった「第1回ビューティテック シンポジウム」では、そのためのヒントがいくつも得られた。

店頭で、イベントで、顧客の顔が輝くテクノロジー

店舗やイベントでの「経験」を大きく変えるテクノロジーとして期待されているARやVR。AR技術でバーチャルメイクが楽しめるアプリ「YouCam メイク」を開発するパーフェクト株式会社では、今年に入って店頭でのソリューションの引き合いが大幅に増えているという。

代表取締役社長の磯崎順信氏は、「化粧品を購入する際に、これまでは店頭で試す色は平均2〜3色だったのが、YouCam メイクがインストールされたタッチパネル型のデジタルサイネージを導入することで、一度に平均12色は試されていることがわかった。普段は選ばない色も気兼ねなく冒険でき、効率よく短時間で試せるようになったことで顧客の選択肢が広がった結果、売り上げにもつながっている」と語る。実際、導入した店舗では、他店舗に比べて売り上げが400%増となったという実績もある。

店頭のデジタルサイネージやスマホアプリを使うと、
選択した口紅を塗ったイメージを確認できる
出典:Perfect

何よりも、顧客がデバイスの前で嬉しそうにあれこれ試し、友人たちと盛り上がって楽しんでいる様子を見て他の顧客も吸い寄せられ、売り場にいきいきとした空気が流れるという。

出典:Perfect

リアルの場でいえば、VRも強力な没入感体験が可能だ。物産展などで、産地体験をVRで「まるでそこにいるかのように」見ることができ、その体験をスマホでも追体験してそのまま購入が可能なソリューションを提供している株式会社ジョリーグッド。「VRの没入感は半端なく、たとえば、じゃがいもの産地や生産者の顔、一緒に回ってくれるレポーターなど臨場感でしっかりストーリーを知ってもらうことができる」と代表取締役CEOの上路健介氏はいう。

焼酎工場こだわりの製法などがVRで体感できる
出典:ジョリーグッド 

ストーリーを知れば欲しくなる気持ちは高くなる。このVR体験をしたユーザーのコンバージョン率は、10%程度にあがるものもあるという。また、ユーザーの視線や声、表情などをAIで解析し、よりよい体験と購入への誘導が図れるのも特徴だ。VRによるバーチャルストアで、視線ひとつでアイテムをカートに入れるなども可能。化粧品の事例はまだないというが、新製品発表会を追体験できたり、憧れのインフルエンサーのメイクを間近で見られたりなど、使い方はいろいろ広がりそうだ。

視聴中にVRゴーグル内で視線を動かすだけで
商品を選択したり、カートに入れたりできる
出典:ジョリーグッド 

ファッションECでの体験を最大化するAIソリューション

「とくにファッションECでは商品の見せ方が変化している」と話すのは、AIで類似のコーディネートを提案するツール「#CBK scnnr」を提供する株式会社ニューロープ代表取締役の酒井聡氏。ファッションスナップが起点となり、他の洋服とのコーディネートや全体の雰囲気を見て商品を購入するユーザーが圧倒的に増えてきているという。スナップで実際にコーディネートされているアイテムが売り切れたとしても、AIによって類似商品をレコメンドすることで、購買機会の損失を出さない工夫が可能だ。

出典:#CBK

海外では、ARを利用し5人の人気インフルエンサーのメイクを再現したり、使用しているアイテムをレコメンドして購入を促したりするアプリもある。AIによるレコメンデーションは、今後ビューティECの購買体験も変えていくに違いない。

このように、テクノロジーによって顧客体験が最大化されつつあるいま、そこから売り上げにしっかりつなげていく上で大切なのが「現場での期待値マーケティング」と話すのは、基調講演で登壇した元日本ロレアルCDOで、現在は株式会社LDH JAPANのCDOをつとめる長瀬次英氏だ。デジタルマーケティングの世界では、直接コンバージョンにつながる費用対効果が見えやすいが、反面顧客の思いや行動を見失いがちである。

サービス戦略としてのおもてなしをデータから見極める

「デジタルマーケティングは、現場をおろそかにしがちだが、ビジネスが起こっているのが現場であることを忘れてはいけない。表情や声の大きさなど、細かな変化をデータ化して瞬時に解析し、顧客の期待値にリアルにより沿ったサービスを的確に提供していくことが、これからは様々な現場を持つ業態において求められる」と語る。

さらに、日本の強みともいえる「サービス戦略としてのおもてなし」を強化するテクノロジーこそが重要と強調。「現場で得られる膨大なデータの中から、何が本当にそのビジネスにとって大切なデータなのかを見極め、活用していくことで提供される顧客体験こそが、ビューティビジネス発展のカギだ」と締めくくった。

株式会社LDH JAPANの長瀬次英CDO

J-Beauty海外市場開拓のための、さまざまなアプローチ

さて、最後に海外市場開拓について。もっと日本の化粧品は海外で売れるのではないか、どんな売り方があるのかについてのディスカッションは、日本最大級の女性向け動画メディア「C CHANNEL」を運営するC Channel株式会社代表取締役社長の森川亮氏、「セカイコネクト」というWebサービスでメーカーと世界中のバイヤーをつなぐCOUXU株式会社代表取締役の大村晶彦氏、韓国やアジアの化粧品のグローバル進出をサポートするサービス「メアリ」を運営する株式会社PRINの Founder&CEOのYoon Mijoung CEOの3名が参加して行われた。

そもそも、世界で日本の化粧品はどのように評価されているのだろうか。3者から共通して上がったのは、世界トップレベルの商品開発力と品質の高さだ。

Yoon氏は、「日本の化粧品は、商品の良さをきちんと伝えられていない場面が多いように思う。マーケティング視点の違いではないか。高齢化が進む日本と違って、平均年齢をみてもアジアのほとんどの国では若い世代が圧倒的に多い。若い層に向けて、そして、現地ニーズに合わせて見せ方・売り方を少し変えるだけで、日本の化粧品がさらに海外で受け入れられる余地は十分にある」と分析する。

出典:PRIN

また最近の傾向として、「化粧品というモノだけでなく、サロン展開など人材、設備を含めたサービスをセットにしたコト軸のサービスに関心をもつ海外バイヤーが多い」と大村氏。やり方次第で、J-Beautyはさらに大きく展開できるはずだという。

その国のトーン&マナーで、まずは知ってもらうことから

C Channelは今年5月、中国で月間1,600万PVを超える美容メディア「LUCE(ルーチェ)」を運営するLUCE Networksをグループ化。WeChat、WeiboなどのSNSとインフルエンサーを活用したオンラインプロモーションから販売までをトータルで提供する越境EC関連事業をスタートした。森川氏は「海外でECサイトを開設するためには、ライセンスを取得する必要があり、いきなりはハードルが高い。また、海外で本格的に販売をスタートする前に、C CHANNELのようなプラットフォームを活用してテストマーケティングを行うことも可能」と話した。

出典:LUCE.com.cn

Yoon氏によれば、韓国では国際展開しているテレビネットワーク局で広告出稿することで、自動的にネットワークで提携している10カ国でグローバル配信が可能だと話す。はじめから海外展開を視野に入れているのであれば、まずは韓国でプロモーションを行う選択肢もありだと言える。

日本よりも海外に販路を見出したコスメブランド

「セカイコネクト」は、日本の製品を買いたい世界中のバイヤーが登録し日本企業とマッチングすることで、低コストで誰でも簡単に海外への販路開拓できるプラットフォームを提供している。大村氏は薬局プライベートブランドの化粧品が、セカイコネクトを通して海外展開に成功した事例を紹介した。

関西で処方箋薬局を展開しているアピスMCホールディングは、薬剤師が開発したコスメ「akairo otoha」の販売で、日本の化粧品取扱の要望をもっていた台湾の処方箋薬局と提携した。薬局と薬局同士の提携で商品理解も早かったこと、かつ台湾のユーザーにそった販促で、一気にブレイクした。それがきっかけに、9月からはISETANバンコクでの販売もスタートしたという。

「どこか1カ国で成功すると、それを実績としてほかの国へも展開しやすくなる。C CHANNELやセカイコネクトのようなプラットフォームを利用することで、言語のハードルは低くなるので、自社に合ったプラットフォームを使って、まずは1カ国からトライしてみるのがよいのではないか」と大村氏はいう。

画像提供:COUXU 

海外販路開拓でも、現地のユーザーとのファーストコンタクトと、その後をどういう体験にするのか。そのための最適なパートナーはどこなのか。顧客体験をベースに考えていくことの大切さは変わらないのだ。

Text: 小野梨奈(Lina Ono)


ありがとうございます!LINE@で更新情報配信中です。ぜひご登録を!
7

BeautyTech.jp

美容業界の国内外のイノベーションを発信するメディアです。詳しくは → https://goo.gl/7cDpmf  BeautyTech.jp(English)move to https://medium.com/beautytech-jp

BeautyTech.jp記事

BeautyTech.jpのすべての日本語コンテンツはこちらからご覧いただけます
3つ のマガジンに含まれています