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ミラーフィットが挑むウエルネス&美容の「自宅市場」とスマートミラーの可能性

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等身大サイズのスマートミラーを使って、オンラインフィットネス事業に取り組むミラーフィット株式会社。「ジムに通いたいけれども時間がない」「毎日続けられない」といったユーザーのペインを解消するだけでなく、トレーナーの新しい働き方を叶えるプラットフォームを目指す。そして、2022年中には、美容・ファッション領域への進出計画もある。同社 代表取締役社長 黄皓氏が描くサービス全体像をひもとく。

自宅で好きな時間に本格的なトレーニングができる鏡×IoTデバイス

一見、全身用鏡だが、鏡×IoT、いわばスマートミラー型フィットネスデバイス「MIRROR FIT.(以下、ミラーフィット)」のスイッチを入れると、スマートフォンのようなメニュー画面がミラー上に映し出される。筋トレ、HIIT(高強度インターバルトレーニング)、ヨガ、瞑想、ピラティス、ストレッチなど9つのカテゴリーに約200のオンデマンドプログラムが用意されており、運動の時間や強度、トレーナーなどからプログラムを選択したり、定期的に開催されるライブプログラムに参加したりすることで、自宅にいながら気軽に運動を楽しむことができる。

ミラーフィットに映し出されるトレーナーの動きと、ミラーに映る自分の姿を同時に確認しながらトレーニングできるのもミラーフィットの大きな特徴だ。

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鏡に映る自分の姿を
チェックしながら運動できる

トレーニングプログラムは、黄氏が別会社で運営するジムに所属するパーソナルトレーナーや、大手ジムに勤務経験のある人気トレーナーをSNSでスカウトして収録している。ミラーフィットには、トレーナーのマッチング機能が実装される予定で、トレーナーの働き方改革の実現も目指している。

「日本では年間5,000人から1万人のトレーナーが誕生しているといわれるが、雇用環境が非常に不安定で、被雇用者として立場が弱い。ジム勤務の場合でも、待機時間が長く結果として低収入になってしまうこともある。そこで、UberWoltのトレーナー版として、トレーナーが空き時間を有効に使いながら、自分の知識や経験をお金に変えることができるプラットフォームを作り、ユーザーとマッチングすることができれば、トレーナーの副収入源にもなり、大きな市場を作りだせると考えている」(黄氏)

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操作やスケジュール管理は
スマホのアプリからも可能にする予定

着想から半年で初号機を開発、9ヶ月で先行予約販売へ

2021年2月に第一弾となる先行予約販売を行い、受付開始からわずか9時間で予定台数の50台を完売。購入者の8割が女性で、平均年齢は33.4歳という結果に、「想定どおりだった」と黄氏は語る。

30〜35歳女性をメインターゲットにした理由について、黄氏は「ジムに通いたいけれども通えない」というペインを持っていることをあげる。また黄氏自身が、恋愛リアリティーショー『バチェロレッテ・ジャパン』に出演したことから、30代女性の間である程度の知名度を持つこともあり、その点もマーケティングに役立っているという。黄氏が自身のInstagramのストーリーでアンケートをとると、毎回5,000〜1万件の回答があり、「託児所つきのジムに通いたい」といった声が多かったことから、プログラムに親子ダンスを取り入れるなどサービス開発のヒントになった。

黄皓プロフィール写真

株式会社ミラーフィット
代表取締役社長 黄皓氏

黄氏は、三菱商事での勤務を経て起業し、現在、3つの会社を経営している。中国・上海で貿易・物流の会社を経営するほか、2016年より、月額2万9,800円でパーソナルトレーニングとセルフエステが利用し放題のサブスク型プラン等を提供するジム事業「BESTA」を東京都内12店舗で展開。そんななかでパンデミックが起こり、外出やジム通いが難しくなった状況や、仕事や家事・育児で忙しく「ジムに通う時間がない」という悩みを抱えている人たちが一定数いることを実感したという。サロン向けのスマートミラー事業をしていた友人3人と法人を作り、自宅にいながらパーソナルトレーニングが受けられたり、プログラムに参加したりできるオンラインフィットネスサービスの検討を、2020年5月から本格的にスタートした。

コロナ下で急成長していた米国や中国のバイク型オンラインフィットネスサービスに着目し、日本の住環境を考えて鏡型デバイスが最適だと判断すると、すぐに中国のOEM企業数社にコンタクトをとってテスト機の開発を依頼。同時に自社でのソフトウェア開発を進めた。「先入観を持たずに開発したかったので、他社のデバイスは触っていない。どんな機能があったらよいかを社内でブレストを重ね、仕様をまとめていった」(黄氏)。

自身の事業経験から、言葉(中国語)と物流のハードルがなかったからこそ実現できたスピード開発で、同年10月には初号機が手元にあったという。その後、試作改良を重ねて迎えた初回先行予約販売での反響については前述したとおりだ。

2021年6月現在、先行販売や法人での取り扱いを含めて80台前後が市場に流通しており、ユーザーからのフィードバックをもとに、サービスをブラッシュアップしている段階で、10月から一般発売となる予定だ。入会金・配送料が3万3,000円(税込)、ミラーフィット本体価格が16万4,780円(税込・一括購入の場合)、月額サービス利用料は6,578円(税込)となる見込みだ。

「毎日、自宅の鏡の前で質の高いトレーナーのレッスンを受けられるという使用頻度を考えると、1回あたりのコストは、ジムに通うよりもずっと安い。この点を、しっかりマーケティングで伝えていきたい」(黄氏)。将来的には、ミラーフィットを自宅内の縦型デジタルサイネージと捉え、広告表示媒体としての価値を活用することで、製品価格をおさえることも検討していく考えだ。

運動の習慣化から、スマートスピーカーの代替としての機能への構想

ミラーフィット成功のカギについて、「自宅の鏡の前ですぐに筋トレできるとわかっていても、人は運動しない。なので、鏡の前に立ってスイッチを入れる動作を当たり前の状態にして、つい運動したくなるような仕掛けをつくることが大事だと考えている」と黄氏が指摘するように、運動を習慣化させるために2つの機能を実装中だという。

1つめが、ミラーフィットにインタラクティブかつSNS的な要素を組み込み、気になるトレーナーとマッチングして会話やレッスンを楽しめるほか、一緒に頑張る仲間からのコメントが届くなどのメッセージ機能をつけて、ユーザーの社会承認欲求を満たすことだ。

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2つめが、鏡の前に立つだけで、身体のサイズを計測できる機能だ。その日のコンディションを知り、継続的に計測することで運動の効果を実感できれば、運動のモチベーションアップにもつながる。将来的には、身体のサイズから洋服のコーディネート、肌質測定を可能にして肌悩みを解決するスキンケアやメイクの提案、さらにはスマートミラー越しのライブコマースで商品を購入するといった導線にまでつなげていく構想もある。

黄氏は、「ミラーフィットで、人々の生活をより豊かなものにすることが目標だ。運動だけでなく、ビューティやファッション、ヘルスケアなど、ユーザーの関心に合わせてミラーフィットの機能を使ってもらうのが理想。各家庭にあるスマートスピーカーの代替となる存在になりたい」と話す。

2022年にはミラーフィットを通じた美容領域のサービスを展開へ

2022年は、フィットネスとしての利用価値を高めることに集中し、同年中には、ビューティ、ファッション領域にもサービスを拡大していく予定だ。

「Clubhouseでユーザーの要望を聞いたところ、『運動は苦手だけど、ヘアメイクだったら喜んでお金を払いたい』という声も多かった。フィットネス市場よりも美容市場の方が圧倒的に大きく、ミラーフィットが成長するうえで美容領域への展開は欠かせないと考えている」(黄氏)

美容企業との協業では、株式会社Spartyによる食事・運動・サプリメントでパーソナライズドメニューを提案するボディメイクサービス「Waitless」のローンチと同時に、東京・表参道にオープンしたパーソナライズジム「Waitless THE PERSONAL SALON」にも各部屋にミラーフィットが導入されている。

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出典:Sparty プレスリリース

「現在は、マンションやホテルにミラーフィット付きの部屋を作りたいといった相談が多い。大手ジムにおいても個室化が進んでおり、そこにミラーフィットを設置したいという要望もある。美容領域へのサービス拡大とともに、今後、美容企業とのコラボレーションも増えていくと考えている」(黄氏)

ミラーフィットは、ローンチから5年で法人向け、個人向け合わせて販売台数10万台を目指すという。フィットネスを入口にして、ユーザーにさまざまなサービスを展開するプラットフォームとしてはもちろん、魅力的な、あるいは生活に必要なコンテンツやサービスを提供できる個人や企業が集うプラットフォームとしてもその可能性は大きい。

「日本のフィットネス人口が514万人であることを考えると、10万台はわずか2%程度。ミラーフィットの価値をしっかりと伝えることができたら、台数はもっと伸ばせると考えている。最終的には、体力的にも家で運動したい、遠隔診療で利用したいといった要望に価値を提供できるシニア市場や海外進出も視野に入れている」(黄氏)

Text: 小野 梨奈(Lina Ono)
画像提供: ミラーフィット

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