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オルビスのロボットによる物流改革は、化粧品ECの未来に向けたひとつの最適解

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日本の物流・出荷倉庫における生産性・効率性は、人手に頼りながら生産性が極めて高いという世界でも特殊なケースだ。しかし、少子高齢化が進むなかで将来を見据えたとき、このクオリティを落とさず働く人も消費者にもハッピーなあり方はないのか。オルビスが通販向け出荷ラインで採用した自動搬送ロボットによる物流改革は、社会課題に対する危機感をパートナー企業と共有し、ありたい未来の姿を追求した結果として、ひとつの理想形を生み出した。

効率化と作業員の働きやすさを兼備した次世代出荷ライン

オルビスが通販向け出荷ラインの主要拠点であるオルビス東日本流通センターにAGV(Automatic Guided Vehicle、自動搬送ロボット)を導入し、集荷から方面別仕分けまでを独自に自動化した「T-Carry system」をスタートさせて、およそ1年が経過しようとしている。他メーカーやブランドに先駆けて、大胆かつ先進的な自動化および物流改革に取り組んだ背景を、オルビス株式会社 代表取締役社長 小林琢磨氏、同社QCD統括部 SCM推進担当部長 小川洋之氏、AGVシステムの導入を支援した株式会社椿本マシナリー SE部長 北村隆之氏の3名へのインタビューから明らかにしていく。

オルビスの通販向け出荷ラインを運営する、株式会社流通サービスの騎西物流センター(埼玉県加須市)内のオルビス東日本流通センターでは、掃除ロボット・ルンバを一回り大きくしたようなサイズの四角い無人搬送ロボット(以下AGV)が走行している。その数330台。一般的な出荷ラインのイメージとはかなりかけ離れた、まるで“ラジコンカーのレーシング場”のような風景が広がっている。

オルビスが通販向け出荷ラインの変革に着手したのは2018年3月。およそ2年半の歳月をかけて、世界的にも類をみない独自の出荷システムを構築した。オルビス社長の小林氏は、「危機感」と「サステナビリティ」というふたつのキーワードを挙げ、物流改革に着手した背景を説明する。

「2018年を前後して『宅配クライシス』が起きた。配送会社がクライアントに交渉の余地なく配送料の値上げをするというのは、それ以前では考えられなかったことだ。日本では将来的に人手不足もますます深刻になっていく。その一方で、EC化率が上がっていくのは明らかだ。メーカーやブランドがいくら良い商品をつくり、広告費を投入してもお客様に商品が届かなければすべてが水の泡となる。ブランド体験をサステナブルに提供するためには、物流面の改革が必須だった。紆余曲折の議論と試行錯誤を経て、最終的に生み出されたのがT-Carry systemだ」(小林氏)

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オルビス株式会社 代表取締役社長
 小林琢磨氏

では、新たに生まれ変わったオルビス東日本流通センターとは、具体的にどのような姿なのか。

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