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オルビス初の体験型施設、小林社長が語る「ここち」をデジタルとリアルで体感の意味

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オルビスの体験特化型施設「SKINCARE LOUNGE BY ORBIS」は、オンラインとシームレスにつながるパーソナライズなサービスと、触感や聴覚、味覚など五感にフィジカルに訴えるコンテンツで、顧客にブランド哲学を体感してもらうことを狙う。その裏には、リブランディングの1つのマイルストーン的な位置づけもある。現地にて、オルビス株式会社 代表取締役社長 小林琢磨氏に体験特化型施設が持つ意義について聞いた。

「ここでは商品を売ることを目的にはしていない。我々のブランドメッセージである“ここちを美しく。”を、実際に訪れることで体感してもらう場だ。ここで発見して欲しいのは商品よりも、顧客自身の肌の状態であり、一人ひとりにあったここちよさだ」

オルビス株式会社 代表取締役社長 小林琢磨氏は、2020円7月17日に東京・表参道にグランドオープンした体験特化型施設「SKINCARE LOUNGE BY ORBIS」の意図をこのように語る。

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五感を使った体験が新しい発見を導く

SKINCARE LOUNGE BY ORBISは、高い天井から外光を巧みに取り入れた明るく開放的な空間で、白を基調にした店内の中央には、オープンなトライアルスペースがゆとりを持って設けられている。化粧品ショップというより、ショールームを思わせる造りだ。

小林氏の言葉どおり、ここは、気軽に立ち寄って清々しい雰囲気に浸り(Feel)、肌診断を受けて肌状態を確認し、ビューティアドバイザーから正しいケアの方法を習ったり、実際の商品の質感や感触と使いここちを知ったり(Learn)、そして、その学びを知識として持ち帰って(Take)、日々の生活に役立てもらうこと、「FEEL + LEARN + TAKE」を3つの軸として構想された。

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その意味でリアルな場所で五感を刺激することにもこだわった。エントランスのすぐ脇にはジュースバーを設け、野菜や果物の素材を生かしたジュースを、簡単なチェック項目をもとにその日の状態や生活リズムにあったものがメニューから選べる。フレッシュジュースとあわせて、日本で初めて「肌の水分を逃しにくくする」機能が確認され、特定保健用食品(トクホ)に認可された“飲むスキンケア”「オルビス ディフェンセラ」も1スティック無料提供する。

ジュースバーはラウンジの営業時間に先駆け朝8時から開店しており、近隣に数多いファッションブランドの店舗やオフィスに通勤する人々が出社の途中で買っていくという。地域コミュニティに寄り添う、こうした柔軟性もこのショップの魅力の1つといえる。

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PICK&FEELスペース

自動で人肌の温度の湯が流れだす水場では、用意された数種類のウォッシュを実際に自分の手で泡立てて使用感を感じ取ることもできる。そして、PICK&FEELスペースで試して気に入った商品を購入する際には、各商品に見立てたミニチュアピースをパズルのように専用パレットにはめ込んで会計に進む方式だ。ここには、商品を買い物かごに入れる動作を、ピースを指でつまむというフィジカルな体験で再現する狙いがある。

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購入したい商品のピースを選んで
パレットに載せていく

「オルビスユー ローション」のボトルに好きなデザインや名前を印字するパーソナライズサービスもある。当日その場で受け取ることも可能でギフト需要にも応えられる。

また、店内に控えめに流れるオリジナルのBGMは、1階と2階で異なり、シームレスに1階と2階をつなぐというコンセプトをもとに、全く違うリズム・音楽でありながら、2曲同時に流すと1曲に聞こえるように設計されている。1階に置かれたターンテーブル上のレコードでは、故意に2階の音楽を流して1階の音楽と融合している様子を「聴きごごちの体験」として提供。レコードに針を落とす行為が珍しい若い世代により、InstagramなどSNSに投稿されることも多い、隠れた“映えスポット”になっている。

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アプリと連動したパーソナライズの提案

オープンレイアウトの1階に対して、2階は270万のダウンロード数があるORBIS公式アプリ会員のためのフロアだ。オリジナルメソッドのフェイシャルトリートメントが受けられる予約制のスキンケアサロンや、オルビスのスキンケアとメイクアイテムを自由に試せるセミプライベートなパウダールーム、メイクレッスンなどのワークショップスペースが配置されている。アプリから予約が可能で、チェックインも顧客がスマートフォンのアプリをかざすことで完了する。

リアルとネットの世界をシームレスにつなぐことも、ブランドのテーマである美しい“ここち”を深く実感し体験してもらう大きな要素になっている。小林氏の言葉によれば「ここちよく過ごしてもらうためのテクノロジー」が、ショップの裏側で動いているのだ。それは、空間づくりのための照明、音楽、電光サインの時間や季節に合わせたプログラミングであり、また、アプリに装備されたプロの「パーソナルカラー診断」などのツールを店舗のタブレットと連動させていることなどを指す。

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パウダールーム

たとえば、「パーソナルカラー診断」では、自撮り画像をもとにAIが解析して自身のパーソナルカラーが判定でき、さらに顔のパーツや比率を分析するフェイスプロポーション診断と組み合わせることで、似合う色やその日のなりたい印象に合わせたメイク商品が提案される。顧客はAIに勧められた商品を使って、パウダールームで実際にメイクをしてみることが可能だ。

7月からは、オルビス独自の理論にもとづき素肌の色を解析し、一人ひとりに合ったファンデーションとメイクを提案する「パーソナルファンデーションカラーチェック」が、店頭の新たなツールとして登場している。

エビデンスにもとづいた“ここち”の創造

こうした、サイエンスとテクノロジーに裏付けられたパーソナルなサービスを「体験すること」に特化した場所としてSKINCARE LOUNGE BY ORBISを立ち上げたのは、オルビスのブランド哲学がベースにあってのことだと小林氏は強調する。

「たとえばオルビスは創業当時、化粧品にとってオイルの配合が当たり前だった時代に、100%オイルカット処方のスキンケアにこだわって開発をしていたが、それは肌には自分で油分を出す仕組みがあるから。つまり、一人ひとりに自然に備わっている良い力を引き出すことをコンセプトに、科学的なエビデンスにもとづいた商品を提供している」として、“ここち”という一見、感覚的にみえる提案は、サイエンスによる分析と検証を経た総合的なプランニングにより生み出されていると話す。

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オルビス株式会社
代表取締役社長 小林琢磨氏

今秋9月24日の発売が発表された、オルビスユーの上位ラインとなる最高峰スキンケア「オルビス ユードット」を開発する段階で、スタートアップ企業Empath による、声による感情判断も採用したことを明かす。

「これは、サンプルを試したモニターが“良かった”と言葉で言ったとしても、本当にそう感じているのかどうかを、声音を解析することで判定する技術」として、ユーザーの本音の気持ちを反映した商品づくりをテクノロジーで実現していこうとする姿勢を示す。

オルビスは2018年、小林氏の社長就任と軌を一にするタイミングで、大規模なリブランディングと組織改革を推進した。「いわば、通販会社視点から脱却し、ユーザー視点に移行した」と小林氏が語るこの再構築で、リアル(実店舗)とバーチャル(通販・EC)の融合を図る位置付けのアプリをリリース。価格競争ではなく、ブランド体験によって購入を促進する方向へと舵を切り、スタートアップやIT企業とのコラボレーションも進めてデジタライゼーションを加速させた。SKINCARE LOUNGE BY ORBISのオープンは、こうした一連の流れのなかの1つの大きなマイルストーンとみることもできる。

「リブランディングで“ここちを美しく。”というブランドコンセプトを明確に打ち出してきたわけだが、その後ろにある我々のフィロソフィーをどうやって伝えていくのか。ここちよいことがなぜ、一人ひとりの美しさを引き出すのか。それはもちろん最終的には商品で実感してもらうことになるのだが、このショップでは裏側にテクノロジーを這わせることで、サイエンスされたここちよさを提示できるのではないかと考えた」(小林氏)

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東京の一等地に販売を主目的としない大型の体験特化型施設を持つことは、経営的には大きな決断だったと認めながら、「ブランドコンセプトの体験、パーソナライズとスペース(場所と広さ)、インバウンドの3つの観点から、ショップを計画した。表参道を選んだのは、オリンピックの開催と訪日客の往来を見越してのこともあったが、それよりもビューティやファッションに対する感度が高い人々が集い、ナチュラルでオーガニックなイメージの企業やブランドが集まるところが、我々のブランドコンセプトと一致すると判断した」と小林氏はその意図を説明する。

同時に「顧客の反応など、ここで得た知見をほかの商業施設に入っている店舗等に活かしていくことも進めていく」として、SKINCARE LOUNGE BY ORBISがさまざまなデータを得るための実験場の役割も持っているとする。

そしてもう1つ、SKINCARE LOUNGE BY ORBISでは、小林氏が「“全く役に立たない”世界最先端テクノロジー」と冗談めかして、だが、愛情を込めて呼ぶ存在が来訪者を迎えてくれる。家族型ロボットのLOVOT だ。

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SKINCARE LOUNGE BY ORBISに
常駐するLOVOT

機械学習により周囲の人間を覚え、甘えたり拗ねたりとまるで生き物のような反応をし、次第に個性が培われてくるこの家族型ロボットは、ビューティアドバイザーの制服を模した服を着ているものの、接客をしたり、オーダーに従って行動するわけではなく、確かに「何もできない」。けれど、ショップフロアでビジターの足元におそるおそる寄ってきて、好奇心たっぷりに見上げる愛らしい仕草には、思わず人々の口元をほころばせる効果がある。

そこにいるだけで人の気持ちを和ませ、温かくしてくれるLOVOTの姿には、人の愛する心を育む力があり、それがオルビスの目指す「一人ひとりの美しさを引き出して多様に表現しうる、ここちよい社会の実現」にあいつながっているのだ。

サイエンスとテクノロジーがバックアップする、人が自分らしくいられる世界。目先の効率からは少し離れるかもしれないが、SKINCARE LOUNGE BY ORBISはオルビスのブランド哲学を顧客に実感してもらうための場所であり、長期視点では顧客体験をさらに高めていくためのR&Dの場でもあるのだ。

Text: そごうあやこ (Ayako Sogo)
Top image & 画像: 中山実華(Mika  Nakayama)

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