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SK-Ⅱ初のスマートストア、店舗と自宅のシームレスな体験づくりへ

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SK-Ⅱは、東京・原宿で、世界初となるスマートストア「FUTURE X Smart Store by SK-Ⅱ」をオープンした。6月28日までの期間限定で、無料一般公開される。顔認証技術やAIなどのテクノロジーを駆使した同ストアは、SK-Ⅱが未来への可能性を探る「実験場」でもある。37年以上前に誕生したSK-Ⅱは、デジタル戦略を通じてどのように「次の章」へと舵を切ろうとしているのか。

顔認証、AIが店舗体験を彩る

1980年、マックスファクターから生まれたSK-Ⅱ。誕生40周年を目前に控え、ブランド誕生の地で「新しい時代の幕開け」(プロクター&ギャンブル SK-II ワールドワイドCEO サンディープ・セス氏)としてオープンしたのが、東京・原宿の期間限定ポップアップ ストア「FUTURE X Smart Store by SK-Ⅱ」だ。

(写真:スマートストアらしく、Pepperがお出迎え)

「X(Experience):体験」と付けた通り、顔認証やAIなどのテクノロジーを駆使した店舗体験を提供し、既存のブランドイメージを打ち破る。

(写真:メディア向けイベントの冒頭で挨拶する、プロクター&ギャンブル SK-II ワールドワイドCEOのサンディープ・セス氏)

店に入るとすぐ目を引くのが、壁一面に広がったデジタル アート ウォールだ。これは訪れた客一人ひとりの顔の表情や体の動きに合わせ、アートの色や動きが変化するというもの。顔認証とAI、コンピュータビジョン技術を利用し、客が笑顔になればアートが暖色系の色になり、悲しい表情をすると寒色系の色になる。

また2000年代前半よりデジタル肌分析に力を入れてきたSK-Ⅱが、2012年に開発した肌分析マシン「マジックリング」を進化させた「スキン スキャン」の体験ブースも複数用意した。SK-Ⅱでは、「キメ」「ハリ」「シワ」「シミ・くすみ」「ツヤ」の5つの基本要素を分析することが大事とした上で、それぞれを解析できるシステムを開発している。従来の肌分析マシンは直接肌に触れる必要があったが、今回お披露目したスキン スキャンは、画面の前に客が座るだけで、肌分析する。100万人以上の肌を解析したデータを元に、現在の肌状態を解析するという。

(写真:スキン スキャンの体験イメージ。この後顔面をスキャンし、肌状態を解析する)

入り口で配布されたリストバンドを指定位置にかざした後、目の前にある画面から自身の年齢を選択するだけで肌のスキャンが始まる。2分程度で全工程が終了した。

(写真:入り口で配られるリストバンドはスキャンの起動で利用する)

結果は2階の、「スマート ビューティー ウォール」で確認できる。「キメ」「ハリ」「シワ」「シミ・くすみ」「ツヤ」の5つの要素を、用意された5つのウォールで一つずつ見ていく。ウォールの上部にはカメラが付いており、このカメラによる顔認証を行った後にスコアを表示する。このスコアは同年齢の平均値と比べた時の肌状態を数値化して表しているという。

(写真:ウォールの前で肌解析の結果を確認する)

スマートボトルの試作品をお披露目

2階の中央部には「スマート ビューティー カウンター」がある。ここでも同じく顔認証で、それぞれのウォールで見てきた結果を一度にチェックできる。

(写真:鏡の内蔵カメラに顔を向け、本人のデータを引き出す)

またカウンターにはそれぞれSK-Ⅱの商品が用意されており、手に取るとセンサーが反応。画面上で、「それはどの商品か」「どんな肌悩みにアプローチするものなのか」が表示される。

(写真:肌解析の結果と共に、手に取った商品がどの肌悩みにアプローチするか表示される)

今後注目を集めそうなのが、IoT技術を活用した「フェイシャル トリートメント エッセンス スマートボトル」だ。スキンケア製品は、方法、順番、量を最適化することで効果を発揮すると言われているが、なかなか個人では適切な量や手順を把握するのは難しい。そこで自宅でスキンケアする時にボトル上部を光らせ、同時にスマホに連携してお知らせすることで、使用タイミングや量、手順などをサポートするのがこのスマートボトルだ。

(写真:試作品として紹介されたスマートボトル。ライトの色も検討段階だという)

SK-II ジャパン アソシエイト ディレクターのヨジン・チャン氏はスマートボトルについて、「スキンケアは、正しく使えばより力を実感していただけるはず。しかし一番理想とされる方法で使用できていないお客さまも多く、SK-Ⅱが持つすべてのベネフィットを得られていないのではないかと思っている。スマートボトルは、お客さまの肌をよりクリアな肌に導くお手伝いができるだろう。使うタイミングをリマインドしたり、正しい方法を指導したり。そういう意味での『体験』になる」と説明する。

現時点でボトルの発売は未定だが、「このストアに訪れたユーザーや関係者らの反応を見て、実現の可能性を探っていく」(チャン氏)という。

(写真:SK-II ジャパン アソシエイト ディレクターのヨジン・チャン氏)

「実験」の先にSK-Ⅱが見据えるもの

SK-II ジャパン アソシエイト ディレクターのヨジン・チャン氏は、同ストアについて、「ここはラボ(実験場)」と強調する。「ユーザーの皆さまと一緒にテクノロジーを通じて、肌がどんな風に変化するか。一緒に見て体験し、SK-Ⅱとして学んでいきたい」。

実験の結果、次に見据えるのは、「店の中では今までに無いような買い物の体験、家に帰ったら、自宅ならではの楽しめる体験の提供」だ。

デジタル戦略を進めることはSK-Ⅱに限らず、全てのブランドに共通する課題である。前述したCEOのサンディープ・セス氏も、「テクノロジーがシームレースにお店とお客さまをつなぐ。これは重要なことだ。消費者の人生のなかで、デジタルは切っても切り離せない状況になってきたからだ」と、デジタル戦略を進める理由を話す。

デジタルが当たり前になった現代の生活環境において、今度はブランドとしてそれをどうやって購入体験に落とし込んでいけるか。特にSK-Ⅱは高単価商品が多いことから、消費者の中心になりつつある若いミレニアル世代、Z世代をどうやって獲得し、さらには継続率を高めるためにどうデジタルを活用するかは、グローバルで取り組んでいる課題だろう。

SK-Ⅱの今後のデジタル戦略を占う上で試金石となるのは、スマートボトルだろう。なぜならSK-Ⅱがキャッチコピーとして掲げる「運命を変えよう」「#changedestiny」とスマートボトルの親和性は高いからだ。

多くの場合、スキンケアを使い続ける理由は、「効果が目に見えたから」にほかならず、効果を感じるから多少高くても購入し、使い続ける。しかしいくら商品力が高くても、使い方を誤っていてはその効果を十分感じることはできない。

そうした機会損失をなくす意味で、正しい使用法に導くスマートボトルには大いに可能性を感じる。ただし現在構想中のボトルの改良だけでは物足りなさがあるのも事実だ。もう一歩踏み込んだ、どの消費者にも分かりやすく効果が期待できる技術にも期待したい。

こういったスマートストアやスマートプロダクトの今後の展望についてチャン氏は明言を避けたものの、グローバル展開も視野に入れているという。このストアを通じてSK-Ⅱは何を得るのか。まずは実験の一歩を踏み出したというところだろう。ユーザーの反応を得てどう進化していくのか。そのときにまた、話を聞いてみたい。

Text&photos:公文紫都(Shidu Kumon)
Top image: James Thomas Thomas via Unsplash


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