OEM大手トキワ、D2Cブランドを「持続可能」にするワンストップソリューション始動
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OEM大手トキワ、D2Cブランドを「持続可能」にするワンストップソリューション始動

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カラーコスメの大手OEMとしてグローバル企業を顧客にもつ株式会社トキワがD2CやP2Cコスメをワンストップで開発・支援できる体制を整えた。2020年からの一連の施策に加え、2021年8月30日に発表した埼玉県川口市の工場兼ラボである「APD Lab.」のオープン、アイスタイルとの提携によりブランドの作り手に寄り添う体制を整えた。株式会社トキワ 副社長 兼トキワ米国CEO金井博之氏にその全容を聞いた。

D2Cなど新興ブランドの事業基盤も支える仕組み

トキワは米国カーライルとの資本提携後、P&Gを経てヘンケルジャパン株式会社の代表取締役をつとめた経歴をもつ金井博之氏を副社長に迎え、2020年から矢継ぎ早の展開で、D2CあるいはP2C(Person to Consumer)のカラーコスメ製造を支える体制を整えている。

その体制の根底にあるのは、「サステナブルであること」にこだわりぬくという強い信念だ。持続可能性があるということはすなわち、環境への配慮ももちろんだが、スタートアップの負担を最低限に抑え、思いをもったブランドがきちんと成長していけるエコサイクルをつくることを意味する。

「D2Cやインフルエンサー、あるいはファッション業界からの異業種参入で毎年100以上のビューティブランドが誕生しているが、その7〜8割が数年で事業を諦めている。着想もよく、思いが強くても、事業基盤が弱いのがその理由だ」(金井氏)

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株式会社トキワ 副社長
兼 トキワ米国CEO 金井博之氏

カラーコスメは種類や色版が多くなるため、その分SKUが増え、スタートアップや新興ブランドにとっては、生産管理の負担に加え、在庫を抱えがちになるという資金面の負担が大きい。また、金井氏が推し進める「日本発のクリーンビューティを支える」という側面からも、カラーコスメは売れ残りや廃盤なども含め、ゴミとして捨てられるプラスチックの部分が多いとの課題もある。

原料に関しても、よりエシカルなものが消費者から求められている今、100名以上の研究開発者を擁し、原材料の調達から処方、容器開発までを担い、年間500以上の製品開発を行える体制を持つトキワの強みを活かし、これらのさまざまな課題を改善していきたい、というのが金井氏の就任時の決意でもあった。

一連の施策は、2020年金井氏が就任して早々にスタートさせたアクセラレータープログラムからスタートした。「トキワビューティアクセラレータープログラム」は、トキワがスタートアップや他企業とのオープンイノベーションを積極的に展開し、新ブランドをつくりたいという個人やプロジェクトを支えるという大きなメッセージとなり、結果として46プロジェクトの応募があった。2021年7月には2期目もスタートしている。

採択企業は1,000万円相当のコスメ製造支援を受けられ、現在、1期目で採択されたプロジェクトのひとつ、インフォバーングループのクリエイティブチームThe STUDIO. Glossy & MASHING UPが、クリーンビューティブランドの立ち上げを目指してトキワとモノづくりを進めている。

また、2020年11月に「COSMAKE」というOEMプラットフォームが発表された。最小ロット500個からで、処方、容器選定などワンストップで最短納期30日、3色展開であれば50万円ほどの資金でスタートできるのが特徴で、カラーコスメ製造のハードルを大きく下げた。

工場兼ラボでカラーコスメの開発から出荷まで可能に

こうした施策に加え、2021年8月30日に埼玉県川口市に工場兼ラボである「APD Lab.」をオープンした。APDはAgile Product Development の略で、多品種・少量生産を可能にする目的で設立されている。

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APD Lab.

「トキワは、岐阜県中津川地区に主力の4工場を持ち、原料調達、処方、調合から完成品まで一貫した製品作りを行っているが、このAPD Lab.は、その主力工場で半製品化されたパーツを揃え、仕上げ工程を行う」と、金井氏は説明する。

そして、APD Lab.には、化粧品を作りたいブランドがその場で実物を確認しながらパーツや色を選び、化粧品製造の専門家たちと相談しつつイメージするものを制作できる「TOKIWA KOBO」が併設された。

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TOKIWA KOBOでは実物を見ながら
開発者と直接相談が可能

現在、TOKIWA KOBOで製造できるアイテムは、サンスクリーンやファンデーション、アイブロウ、眉マスカラ、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、チーク、リップなど幅広く、およそ1万種類以上の製品組み合わせバリエーションがあるという。

原材料からクリーンビューティを意識した処方で、パッケージは環境にも配慮し、アイラインなどのいわゆる「軸もの」は付け替えが可能なカートリッジ式も用意され、ブランド側が選択可能だ。アイシャドウパッケージには近々紙製も取り入れる予定があり、ニーズの高いサステナブル志向ブランドをサポートする。

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TOKIWA KOBOに用意されたサンプル
(著者撮影)

前述のCOSMAKEでは、ある程度絞り込まれた既存のパーツの組み合わせによるソリューションで、少ない資金でテストスタートできるソリューションだが、これに対し、APD Lab.ではつくれる製品のバリエーションが大きく広がった。最低資金100万円で最小ロット1,000個、最短納期は約60日で製品化が実現するという。

そしてAPD Lab.では、製造工程にブランド側が立ち会うことも可能にした。ブランドの作り手の化粧品製造に対する理解を深める狙いもあるが、たとえばインフルエンサーが「今、このように製品がつくられている」と動画収録し、フォロワーとのコミュニケーションやPRに使うことも想定している。

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APD Lab.の製造工程の様子
(編集部撮影)

もうひとつ大きな特徴は、このAPD Lab.が倉庫と出荷の機能をもつ点だ。ブランド側が別途倉庫を準備しなくても、ここから購入者への発送が可能になる仕組みを構築しようとしている。これが意味するのは、トキワが生産管理や在庫管理を把握できるということだ。製造パートナーとして売れ筋をつかみ、ある程度需要予測もたてられ、自社での物流組織構築が容易となる。

「インフルエンサーやD2Cブランドが、こうした生産管理の部分を得意とする人ばかりではないと思う。在庫をためこまないことは、人や資金といったリソースが限られた新ブランドにとって非常に重要だ。このことによってキャッシュフローの改善が見込め、ブランドの作り手がマーケティングに専念できる環境を整えていきたいという思いがある」(金井氏)

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APD Lab.が倉庫と出荷の機能をもつ

アイスタイルとの提携でマーケティングと販売支援も整備

このAPD Lab.設立に先立つ2021年8月20日には、クチコミプラットフォーム@cosmeを運営する株式会社アイスタイルとの提携も発表している。

トキワがインフルエンサー、クリエイター、D2C事業者向けに製造支援を担当し、@cosmeでのマーケティング支援、リアル店舗の@cosme STOREでの期間限定の売場展開や、ECの@cosme SHOPPINGでのパイロット販売など、アイスタイルがマーケティングと販売支援を行うことでのワンストップソリューションをめざすという。

アイスタイルグループには、そのほかにも美容特化のMCN(マルチチャンネルネットワーク)である株式会社istyle meが美容やライフスタイルに強いインフルエンサーネットワークをもち、美容企業のインフルエンサーマーケティングを展開している強みもある。感度が高く、トレンドを創出するインフルエンサーたちからの商品化のアイディアをいち早くすくいあげて、トキワの一気通貫のD2C支援に橋渡しをすることで、いわば間口を広げ、そしてアイスタイルグループの販売網により出口としても支援することを目指す。

米国などグローバルにおけるD2Cブランドの攻勢をつぶさに観察してきた金井氏が、次世代のカラーコスメ製造とはどうあるべきかとの知見を結集させたAPD Lab.とTOKIWA KOBOは、新興ブランドによるカラーコスメの立ち上げを力強くバックアップするものといえよう。

「今後は、カラーコスメでは難しいとされるパーソナライゼーションも視野に入れている。これから、このラボにはさまざまなニーズやアイディアが寄せられるだろう。それらにしっかり応えて、国内だけでなくグローバルでもともに成長していくための道筋をつけたい」(金井氏)

Text: 矢野貴久子(Kikuko Yano)
Top image & photo: 株式会社トキワ

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