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肌分析、遺伝子解析など韓国「グローバルジャンプ300」で注目の美容スタートアップ

◆ English version: Stunning technology of beauty startups in the skin and genetic analysis raise eyebrows in South Korea’s Global Jump 300
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韓国政府系機関がスタートしたスタートアップ企業を支援する育成プログラム「グローバルジャンプ300」では、近い将来、頭角をあらわすであろう企業78社を選定した。そのなかからlululabなど美容系スタートアップを取り上げて検証する。

韓国では美容やヘルスケア関連事業を展開するスタートアップへの投資が続いている。2020年3月からは、日本の日本貿易振興機構(JETRO)に相当する韓国政府系機関・大韓貿易投資振興公社(以下、KOTRA)が、グローバル市場進出に注力するスタートアップを支援する育成プログラム「グローバルジャンプ300」をスタートした。4月上旬の段階で78社が選定され、そのなかには美容系スタートアップも含まれている。

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出典:KOTRA公式サイト

「グローバルジャンプ300」では、グローバルに展開するアクセラレーター、ベンチャーキャピタル関係者らが審査を務め、「世界で通用する」と判断されたスタートアップが選出された。審査の具体的な選定基準は公開されていないが、78社中57社が5億ウォン(約5,000万円)以上の投資誘致実績を持つことから、アーリーからシリーズAあたりのステージで、かつ今後の事業展開の成長が期待されるスタートアップが選ばれるひとつの基準となっていると考えられる。

これらの選定企業は、海外進出・投資誘致に関するコンサルティング、KOTRAの海外IT支援センター(シリコンバレー、北京、東京)への入居サポート、海外輸出のためのマーケティングおよび投資誘致(CESなど国際展示会への参加サポート)などの支援が受けられる。「グローバルジャンプ300」は、今回が初となるプログラムで、ビューティスタートアップのほかにも、人工知能、ビッグデータ、教育、フィンテックなどの分野のスタートアップが選定されている。

では、実際にどのようなビューティスタートアップが選定されたのか。リストをみると、サムスンからのスピンアウト企業でAI肌分析を手がけるlululabなどBeautyTech.jpでも過去に取り上げた企業があるほか、インフルエンサーマッチングプラットフォームを手がけるADHERO、遺伝子解析キットのNuribio、化粧品ブランドの立ち上げをサポートするプラットフォームBeauty Makers、 AI を活用した皮膚疾患診断デバイスF&DPartners、ウリアイドゥル、Workafe(2社ともにHPなし)などの名が挙がっている。順番に紹介していきたい。

ADHEROは「Brick-C」というインフルエンサーとブランドを繋ぐITプラットフォームを運営している企業だ。2019年5月(最新資料)の段階で、インフルエンサー加入者数約1万3,295人、総フォロワー数1億人を突破。広告会社などのクライアント企業会員も1,178社以上を抱えている。インフルエンサーとクライアントのメリットを最大化させるための施策やサービスを複数展開しており、ひとりのインフルエンサーが何らかのプロジェクトに再び起用される再起用率は71.9%を記録しているとの報道だ。

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出典: Brick-C 公式サイト

Nuribioは、さまざまな疾病を発見するための遺伝子解析キットを開発する企業である。独自開発した遺伝子分析プラットフォーム技術である「PROMER™」を活用し、がんなどポピュラーな疾患に加え、希少疾患の早期検出を目指す。2019年の段階で、MAGNAインベストメントIBKキャピタルソウル産業振興院などから、日本円にして約4億円の資金調達に成功。医療のみならず、農業、飲食、美容など多くの産業において応用できるよう技術開発を進めているという。

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出典: Nuribio 公式サイト

Beauty Makersは、化粧品ブランドの立ち上げから拡大に必要な業務のサポートやマッチングをするITプラットフォームだ。2019年に設立された企業およびサービスで、「メーカー(ブランドを作りたい人)」がアイディアさえ出せば、製品企画、資金調達、マーケティング、販売まで一括サポートサービスを提供する。また、企業が海外インフルエンサーやセレブとタイアップしたブランドを作りたい際などにも、商品実現に向け全般的にサポートを行う。

Beauty Makersが想定しているメーカーとは、インフルエンサーやYouTuber、美容専門家など影響力のある個人もしくは一般消費者である。広く事業参入障壁を取り除き、商品開発を簡易化するプラットフォームといえる。設立初年となる2019年には、16名のメーカーと実際に製品企画を行った。

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出典: Beauty Makers 公式サイト

F&DPartnersは、AIベースの皮膚疾患診断デバイス「Mediscope」を開発している。同端末とスマートフォンを接続して利用することで、皮膚の写真をデジタル化、クラウド保存することができる。その後、診断をサポートするビッグデータ&AIベースのアプリなどと連動することで、皮膚の疾患を発見できる仕組みだ。

F&DPartners は、Mediscopeのほかにも3D画像を撮影するタイプの皮膚診断端末「LEMIA」も開発している。これらの商品で狙う主な顧客層は、皮膚科など専門クリニックである。

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出典: F&D Partners 公式サイト

ウリアイドゥルについては、まだ公開されている情報がほとんどないが、化粧品の品質や効果をきちんと維持するための化粧品容器を開発している企業だという。一方、Workafeはベトナム地域の市場調査や出張支援をサービスとして提供している。韓国とベトナムの商業的な繋がりは強いが、なかでも化粧品をはじめとした輸出品のローカライズや現地マーケティングを支援する会社である。また、環境に優しく簡単に装着可能なジェルネイルステッカーを開発するLupan Companyなども今回のプログラムに選定されている。

全体的な動向として目立つのは、ビューティ領域でよりオープンなエコシステムを構築していこうとするITプラットフォーム事業が注目を浴びている点だ。現在、韓国では化粧品ブランドを立ち上げようとする中小事業者が増え続けているが、さらに一歩進んで、インフルエンサーなどの個人とブランド、製品企画者、マーケター、製造業者などを一気に繋いでしまおうという意図がみえてくる。目指すは「誰でも化粧品をつくれる世界」といったところだろうか。

また、専用端末とAIおよびビックデータを組み合わせた肌診断ソリューションを提供するスタートアップも増えている。こちらは、美容とヘルスケアというふたつの入り口があるものの、今は各社が差別化に注力している段階といえよう。肌診断は今後、マーケティングの観点においてもパーソナライゼーションといったサービスや、OMO型の購買体験を実現するうえで鍵となるテクノロジーである。また遺伝子解析の分野も低コスト化が進めば、ヘルスケアや美容分野でより精密なパーソナライゼーションの実現に寄与するだろう。近いうちに主要プレイヤーとなる可能性を秘めている点でも注目される。

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)
Top image: Alex from the Rock via shutterstock

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