ロレアルがClueと提携、アイスタイルがcarefull導入などフェムテック×美容トレンド3
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ロレアルがClueと提携、アイスタイルがcarefull導入などフェムテック×美容トレンド3

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仏ロレアルグループは、2021年8月、世界190カ国に1,200万人のユーザーを持つ月経トラッキングアプリ「Clue」と提携し月経周期に着目したスキンケアの実現を目指すと発表した。日本でもアイスタイルが「carefull」と提携しフェムテック関連の福利厚生サービスの導入をすすめる。fermataは、フェムテックの新ビジネス、スタッフに対する福利厚生など企業が目指したい先についてのサポートプログラムを発表した。2021年から2022年にかけてますます注目度が高まる美容業界×フェムテックの動きについてレポートする。

ロレアルがClueとの提携発表で、月経周期と連動したパーソナライズコスメの可能性

Clueは、月経、PMS、排卵を予測するだけでなく、出血、痛み、感情、髪の毛、エネルギー、睡眠、肌などに関する項目を記録することで月経周期特有のパターンを知ることができる月経トラッキングアプリだ。とくに肌の変化については、月経や月経の症状と並んで、Clueアプリのなかで最もトラッキングされているカテゴリーのひとつだという。

2012年に設立されたClueの共同創業者であるイダ・ティン(Ida Tin)氏は、「フェムテック」という言葉の生みの親としても知られており、長年にわたり世界のフェムテック業界を牽引してきた人物のひとりだ。

Clueは、創業当時から「月経のある人が、十分な情報を得たうえで、自身の身体について選択するために必要な科学、データ、技術を提供すること」をミッションに掲げている。ロレアルの副CEOであり、リサーチ・イノベーション・テクノロジー部門を担当するバーバラ・ラヴェルノ(Barbra Lavernos)氏は、数ある月経トラッキングアプリのなかからClueを選んだ理由について、「最も科学的な裏付けがあり、かつ利用者ファーストの姿勢がロレアルの価値観と一致していたことが決め手になった」という。

ロレアルのリサーチ・イノベーション・テクノロジー部門には、肌と月経サイクルを専門に研究するチームが存在し、月経周期による肌の変化を判断する指標について長年研究を続けてきた。そして、肌の健康と月経周期の関係の理解をより深めるため、2021年夏頃からClueとの共同研究を開始した。ロレアル アクティブ コスメティックス事業部と臨床専門家が協力し、ホルモンサイクルに関連した肌の問題について知識を深めながら、月経周期と健やかな肌に関する科学的根拠にもとづくコンテンツを共同で制作し、ClueのWebサイト上に展開していくとする。

美容業界がフェムテック企業と提携することの意義について、ラヴェルノ氏は、「女性の未来の健康にとって非常に重要なことであり、こうしたイノベーションは、消費者の期待とニーズを満たす科学とテクノロジーの交わりにより生まれるという強い信念を我々は持っている。ロレアルが長年蓄積してきた肌に関する深い知識をClueのプラットフォームに提供することで、思春期から更年期までの月経サイクルを考慮しつつ、健やかな肌、美容、ウエルビーイングへの願望をもつあらゆる年代の消費者に、パーソナライズされたスキンケア製品とライフスタイル習慣についてのサービスを開発し提供することが目標だ」と語っている

フェムテック関連の福利厚生サービスを網羅する「carefull」とアイスタイルが実証実験

以前の記事で、国内ではさまざまなフェムテック関連の福利厚生サービスが登場していることを紹介したが、女性が多い美容企業での導入も進んできている。たださまざまなサービスがあるなかで、自社にフィットするのはどれなのか、と悩む企業も多い。その点を解決する「carefull」は、株式会社nanoniが運営するいわばフェムテック版のベネフィットワンのような福利厚生サービスだ。

株式会社アイスタイルは、2021年6月に、nanoniと共同で同社が運営するcarefullの実証実験を開始すると発表。フェムテックを活用した健康管理支援による従業員の離職率低下や生産性向上などの検証を行い、2022年の本格導入を目指すとしている。

具体的には、月経、妊活、更年期などの女性特有の健康課題によるキャリアの断絶をなくし、女性が働きやすい職場環境を整備するための「ヘルスケア研修」の開催や、各種ヘルスケアサービスを福利厚生プログラムとして特別価格で利用できる「従業員特典」、そして健康課題や社内制度の利用に関する相談や情報交換ができる「匿名掲示板」の提供を行う。

提供:株式会社nanoni

株式会社nanoni 代表取締役社長 張聖氏は、社会人3年目のときに子宮頸がん検診で要再検査となり、そのときに初めて子宮頸がんという病気やその原因となるHPVウイルスの存在を知り、若年層に向けた啓発活動ができないかと思いはじめたという。そして、企業の研修プログラムとして導入するのがもっとも近道だと考え、carefullのサービス開発に至った。

株式会社アイスタイル 代表取締役 吉松徹郎氏は、「月経や妊活、更年期といった健康課題は、これまで『女性の話題』として語られがちで、女性社員比率が高いアイスタイルグループにおいてさえ、オープンに話す土壌がなかった。しかし、誰もがよりよく働き、生きるために、そういった健康課題を男女がともに学ぶことがますます必要だと考えている」と導入の意図を話す。

このプログラムを検討するにあたり、社内アンケートを実施したところ、男女ともに「健康課題に対してリテラシーを高めたい」との意識をもっており、自分の悩みだけではなく、部下や周りのメンバーなどほかの人がどんなことで悩んでいるのかについても理解したいというニーズがあったという。

第1回目として、2021年11月中旬に「キャリア&ライフプランニングに欠かせない健康知識」というテーマで、社内でヘルスケア研修を行う予定で、順次福利厚生プログラムの追加や匿名掲示板の導入を行い、2022年3月の国際女性デー月間で、実証実験の成果発表を行う予定だ。

fermataがフェムテック参入や導入に関心のある企業向けサービスをローンチ

フェムテックの盛り上がりを受けて、日本国内で「フェムテック事業に参入したい」「フェムテック関連の福利厚生サービスを導入したい」という企業からの問い合わせが増えていると話すのは、フェムテックの日本・アジア市場創出・普及に向けた事業を展開するfermata株式会社 共同創業者で現CCOの中村寛子氏だ。約1年かけて企業から寄せられる相談やニーズの洗い出しを行った結果、事業成長軸である「女性のQOL向上につながる事業の創出」と、社内成長軸である「福利厚生へのフェムテック導入」の2軸で、2021年10月に企業向けサービスメニューを正式ローンチした。

fermataのB向けサービス 提供:fermata株式概算

2つのメニューで共通するのは、社員が抱えている“モヤモヤ”を顕在化し、インサイトを掘り起こすワークショップを実施する点だ。その理由について中村氏は、「フェムテックはいま一種の流行語であり、SDGsの観点からも、この潮流にのってなにかやらなければと企業から相談を受けるものの、どんなフェムテックサービスが市場、または社内で求められているのか、なぜそれを自社でやるのか、といった本質まで掘り下げられていないケースが多い」と説明する。

自社でワークショップを開催することで、社内の女性社員が抱えている課題を自分ごと化して捉えやすくなり、それは顧客が感じている課題の理解にもつながる。「(ワークショップにより)浮かびあがった課題を解決するソリューションが、新規事業の創出なのか、社員の福利厚生の充実なのかを考えていけばよい」と中村氏はいう。

fermataは、世界の主要なフェムテックハブ7つとパートナーシップを結ぶなど、フェムテック領域におけるグローバルネットワークがあり、自社でもフェムテック商品をキュレーションして販売しているほか、フェムテック・ウエルネスに関心が高い約6,000人のユーザーコミュニティをもつ。そのため、市場調査から事業創出、化粧品や医療機器第二種、医薬部外品の製造販売業を活用した小売店への流通まで、ニーズに合わせて柔軟にサポート体制を構築できるのが強みだ。

日本未上陸の最新プロダクトを展示する「Femtech Fes! 2021」も開催 撮影: 編集部

企業からの相談事例として、あるアパレル企業からは「フェムテック市場に参入したいが、プロジェクトのコアメンバー以外はフェムテックへの知識が浅く、プロジェクトを円滑に進行できるか不安だ」という相談が寄せられた。そこで、fermata主催の「1dayフェムテック展示会」を社内で開催し、社員へのフェムテック認知拡大やアンケート調査によるニーズ調査を行ったという。

また女性販売員を多く抱える小売企業からの相談に対しては、仕事環境の“モヤモヤ”についてヒアリングするワークショップを開催したあと、吸水ショーツと月経カップを提供。実際に商品を試してもらうと同時に、“モヤモヤ”を気軽に話せる座談会などを企画し、約2カ月後に女性社員の意識や行動、価値観がどのように変化したかについて検証を行う取り組みをスタートしている。

fermata株式会社 共同創業者 現CCO 中村寛子氏

中村氏は、フェムテック市場参入を成功させる秘訣は、「フェムテックという言葉にとらわれずに、その本質をみることにある」という。

「最初は目的があったはずなのに、社内決裁を取り進めていくうちにどこかでズレが生じてしまい、フェムテック市場参入や福利厚生の導入自体が目的になってしまっているケースも見受けられる。変化が早い業界なので焦る気持ちはわかるが、しっかりとその本質をみてほしい。来年は、今年以上に大企業からスタートアップまで “フェムテックプレーヤー” が多く誕生することが予想されるが、fermataとしては、フェムテックという言葉がなくなり、女性特有の健康課題が当たり前のようにケアされる世の中が理想だと考えている。そのために、どのようなフェムテックビジネスが必要とされているのか、どういった価値観をユーザーに提供していくべきなのかを突き詰めて考えていきたい」(中村氏)

Text:小野梨奈(Lina Ono)
Top image: VectorMine via shutterstock


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