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韓国スキンケアCOSRX、米国そして東南アジア市場開拓の急先鋒といわれる理由

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2013年に立ち上がった新興ブランドでありつつ、とくに東南アジアでの知名度の高さを誇るブランド、それがCOSRX(コスアールエックス)だ。日本でもニキビケアのためのパッチが人気だが、米国で知名度をあげたのち、2016年からわずか2年で東南アジア各国での成功をおさめている。地元韓国よりも海外で成功しているともいわれる、その背景には「商品力」と消費者コミュニケーションだ。

アワード受賞など米国で高い評価

今年6月、米国版「Vogue」の姉妹誌「Teen Vogue」が主催する「Teen Vogue Acne Awards 2019」で、3冠を受賞した韓国のスキンケアブランドがある。「COSRX(コスアールエックス)」だ。

Photo by COSRX HP

Teen Vogue Acne Awardsは、皮膚科医や美容業界の専門家たちが、ニキビ関連製品を対象に、製品力や消費者の反応を評価。この1年の間に世界で最も愛された商品を選定し表彰するアワードである。

今回、受賞したCOSRXの商品は、沈着した色素やニキビ痕をケアする「Triple C Lightning Liquid」(30ドル以下部門)、ニキビ由来の傷や肌のトラブルを集中的にケアする「Acne Pimple Master Patch」(10ドル以下部門)、黒ニキビに対処するリキッドエッセンス「BHA Blackhead Power Liquid」(黒ニキビ部門)の3商品。なお、COSRXの受賞は2017年から3年連続(合計5商品)となる。

2018年には、米アマゾンからも「グローバルブランドの成功事例」として選定(米国進出は2015年)されたことがあるCOSRXは、現在は米大手美容チェーン・ウルタビューティの全店舗をはじめ、Urban OutfittersRiley Rose などのオン・オフラインショップで流通し、人気商品になっているという。今年5月には、FOREVER21の実店舗全店でも販売が決定。米国に進出した韓国スキンケアブランドのなかでも特筆すべき成功例となっている。

東南アジアではワトソンズでの取扱いが人気の起点に

そのCOSRXは近年、米国進出とあわせて東南アジアにも販路を拡大している。2019年2月には、大手ドラックストア・ワトソンズのフィリピン、インドネシア、シンガポール全店舗に流通網の拡大を完了したとの報道もある。2016年から東南アジア各国へのセールスを強化していたが、わずか2年で破竹の成功を成しとげた形だ。

実際、現地でも認知度や人気は非常に高い。2018年に行われたシンガポール・ワトソンズのセールスプロモーションイベント「Watsons 1 MILLION Members Celebrations」で、スキンケア・カテゴリーの売上1位を記録している。ベトナムのコスメレビューサイト「Sheis」が選定した「ベストニキビケア商品TOP5」の2位にもランクインしている。

韓国・国民日報に掲載されたCOSRX関係者のコメントによれば「東南アジア特有の高温多湿の気候による肌の悩みを多く抱えている現地顧客のニーズを反映した結果、進出2年で驚くべき成長を遂げることができた」とのことで、今後、東南アジアの主要4カ国におけるセールストップを超えて、アジア全域、さらにグローバルで愛されるブランドに成長したいと語っている。

COSRXのキャラクター「Mr.RX」
(HPより)

COSRXの成功の秘訣

世界各国で人気を集めるCOSRX社が設立されたのは2013年12月。代表を務めるのはチョン・サンフン氏、売上規模は約365億ウォン(約36億円)とされている。沿革や企業の具体的な歩みなど、企業の全体像についてはこれ以上の情報があまり公表されてはいないが、韓国では、COSRXは海外市場の流通網を開拓した中小企業の急先鋒として評価されており、海外の現地流通網での展開に成功した理由は大きく3つあると分析されている。

1つめは、消費者の購買行動の変化だ。これまで、海外販路を拡大するためには、まず百貨店に売場を構えるのが通常だったが、各国のH&Bストアやビューティ系セレクトショップの活性化により参入障壁が大きく低下。加えて、SNSなどを通じた消費者自身のクチコミや評価が市場に影響力を持つようになった結果、中小ブランドでも製品力が高ければ現地流通網に採用される機会が増えた。こうした状況が、COSRX躍進の背景にあると韓国メディアは分析している。

2つめはCOSRXの商品開発手法だ。同社では何よりも、顧客の「満足度」にフォーカスをあてている。チョン代表自身も過去に、韓国のコスメ専門メディアの取材に対し「マーケティング的な要素に集中するよりも、価格のハードルの問題も含め、消費者から高い満足度を引き出す製品を販売していく予定」(Cosmorningより引用)と答えている。

実際、米アマゾンから評価されるにいたった要因は、消費者との活発なコミュニケーションにあった。新製品の発売ともに「Early Reviewer Program」を活用。初期段階から消費者のレビューを集めて分析し、発掘したニーズを商品に反映させアップデートしていったという。言い換えれば、データドリブンかつユーザー中心の商品設計を徹底してきたということになる。なお、商品の価格帯もおよそ500円から2,500円となっており、コストパフォーマンスの最適化も図られている。

最後の要因はデジタル戦略である。たとえば、北米進出時、COSRX はプラットフォームとしてのAmazonを、単なるECではなく、世界的な影響力を持つメディアのひとつとして最大限活用した。販売ページには、あたかも自社サイトのように商品の詳細な説明、たとえば成分、使い方、価格、レビューからの抜粋などあらゆる情報を掲載し読み物風にしたてた。そのほかにも、SNSおよび動画コンテンツ、インフルエンサーマーケティングなどを駆使して、消費者と地道にコミュニケーションを続けてきた結果が、COSRXの認知度を大きく向上させたのだ。

中小企業かつインターネット上で人気であるという要件は、東南アジア進出の足掛かりとしても有効だった。特筆すべきはフィリピンの例だ。フィリピンではワトソンズがH&Bストアでシェア1位を走っているが、その売場に棚を確保して成功している韓国ブランドはCOSRXが唯一の存在だという。

ワトソンズをはじめ、フィリピンの大手H&Bストアは基本的に独占販売を要求する傾向にある。大企業と異なり潤沢な資金があるわけではないCOSRXはフィリピン国内では売り場を設けていなかったが、インターネット上では高い支持を集めていた。そこに目に留めたワトソンズ側から声がかかり進出の糸口をつかむ。以降は現地でさらに人気を伸ばし、全店舗に進出することに成功したという流れである。

東南アジアに進出する新興Kビューティブランド

昨今ではCOSRXのように、海外、とくに東南アジアに進出する中小規模の韓国スキンケアブランドが増加傾向にある。「klairs(クラリス)」は2016年からインドネシアに進出。大手EC・トコペディア、Sociolla、BeautyHaulなど、現地の主要オン・オフラインショップに出店を果たしている。また、フィリピン、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイなどでも認知度を高めている。「AHC」も、中国、ロシア、台湾に続き、今年7月にタイへの正式な進出を宣言している。

Photo by klairs HP

韓国ビューティ企業が東南アジア進出に拍車をかける理由としては、まず、同市場の成長に対する大きな期待があるからだろう。英国の市場調査会社ユーロモニターは、東南アジア6カ国(マレーシア、ベトナム、シンガポール、インドネシア、タイ、フィリピン)の化粧品市場規模は191億ドル(2017年)で世界市場の4.2%を占有。また、2022年までに8.8%の年平均成長率を記録すると予測している

直近では、韓国・寿城大学校がベトナムのビューティ企業50社のCEOを招待して講演会を行ったという報道もあった。同大学のビューティスタイリスト科は、ミスコリアなど韓国ビューティ業界を牽引する人材を輩出していることで有名だ。韓国ビューティ業界と東南アジアの蜜月は今後さらに深まる気配がする。

Kビューティのプレイヤーたちにとって、北米や中国は今もなお狙うべき大きな市場である。しかしライバル企業が多い北米で成功するのは難しく、中国に関してはTHAAD問題など政治的なリスクがあることも露呈した。経済的成長の勢いが著しく、すでに多くの韓国企業が進出し、また、K-POPなど韓流カルチャーが浸透している東南アジアは、挑戦する下地が整った新たなフロンティアとなっている。

韓国では中国偏重リスクを避け、国内コスメベンチャーの海外販路開拓を支援する「Silicon2」という企業もある。同社は日本語ページも用意された通販サイト「stylekorean.com」の運営元で、これまで米国、日本、東南アジア、中東、南米など約80カ国に、120の国内ブランド、6,000以上の製品を輸出してきた。なお、COSRX はSilicon2に支援を受けている企業の1つである。

デジタル戦略やローカライズ徹底、また海外輸出に特化した企業のノウハウを学ぶなどを通じて、東南アジア攻略に照準をあわせる韓国新興ブランド。今後、どのような新しい成功事例が現れるかに注目したい。

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)
Top image: Kurachik via Shutterstock


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