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28Mallから東南アジアや中国にも拡販。顧客ニーズで進化するECプラットフォーム

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マレーシアと香港で展開するEコマースサイト28Mall.comは、東南アジアのLazadaや中国Douyinなど競合する他社サイトとのネットワークをも築き、顧客ブランドが適切なプラットフォームに出品するためのコンサルテーションも行うユニークな存在だ。小ロットでも展開できる手軽さとマーケティングノウハウも提供するその全容を、創業者の話からひもといていく。

2016年創業の28Mallが運営する28Mall.comは、マレーシアと香港で展開する美容関連アイテムにも強いEコマースサイトである。取り扱いブランドは500件と、単体のモールとしての規模はそれほど大きくはないが、オンラインマーケティング企業を母体としており、アジアの注目株のプラットフォーム複数社をパートナーとして連携していることが大きな特徴だ。

28Mallは、それぞれのブランドの目的にそって自社サイトだけではなく、パートナーである東南アジアや中国の主要ECプラットフォームへの出品をサポートする。文化や言語が異なるアジア各国での展開を希望するブランドにとって「ワンストップで国境を越えるプラットフォーム」として機能する独自のビジネスモデルだ。

28Mallの共同創業者であるフィオニ・タン(Fione Tan)氏が、2019年11月に香港で開催されたコスモプロフ・アジアのプレゼンテーションで語ったところによると、このビジネスモデルは、顧客ニーズから誕生したものだという。

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コスモトークに登壇したフィオニ・タン氏

「2000年から経営しているオンラインマーケティング会社の顧客から、売上の何%かを支払うので自社ウェブサイトの製作やマーケティングをして欲しいと依頼されることが非常に多くなったのが、いまのビジネスモデルに至ったきっかけだ。そんなに需要があるなら、希望するブランドを全て1つの販売プラットフォームに集約した方が効率的と考えて、28Mall.comを立ち上げた」とタン氏。

単体のモールとしては、正規のブランドアイテムやヒット商品の「本物」が手に入ることを保証し、質にこだわるハイエンド志向のエンドユーザーの心に響くブランドや製品を集めているという。創業当初はK-beauty製品を扱うサイトだったが、食品、家電、ベビー用品など、徐々にジャンルを広げつつ、「28 Mall.comを通して購入すれば安心」という顧客の信頼を勝ち得て、現在では、ユーザーのニーズに合わせて、美容クリニックやスパトリートメント、旅行などの体験型サービス商品まで扱っている。

こうしたニーズとして特に高いのが、食とパーソナルケアだという。食分野でタン氏が目玉商品として発掘したのが、日本のカルビー社のシリアル「グラノーラ」シリーズだった。「ハイエンドの顧客が欲するアイテムをリサーチした結果、健康志向の食への興味が高いことが分かった。だが、オーガニック製品は賞味期限が短いのでEコマースには向かない。そこで品質への信頼性が高い日本製品に的を絞った」とタン氏は振り返る。

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28Mall.comの取り扱いブランド例。
美容とウェルネス系の商品が得意

競合プラットフォームへの展開も可能

さて、日本の美容ブランド側からみたときに注目したいのが、アジア内で国境を越えたEコマースマーケティングのサポートをうたう同社の「クロスボーダー・マーケティング機能」だ。

「我々と契約したブランドは、28Mall.comだけでなく、そのブランドの特性に合わせて、厳選したパートナープラットフォームにも商品を掲載することができる。商品ロットが少ないブランドも受け入れており、資本が小さい会社や創業間もないスタートアップでもアジア進出が狙える」とタン氏はいう。

そのパートナーとしては、シンガポールを拠点とし東南アジアのEコマースサイトのシェアで首位争いをしている「Shopee」や「LAZADA」などの最大手を含めた、有力プラットフォームが揃っており、各パートナーのサイトに28Mallが組み込まれる仕組みだ。つまり、28Mallを介することで、越境ECとして複数国やアジア全土に展開するのを可能にするのである。

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28 Mallの有力パートナー・ネットワーク

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パートナーのサイト内に
28Mallが組み込まれる仕組み

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インドネシアの「JD」内の28Mallは
ビューティ製品が売れ筋

そのほかにも、28Mallがパートナーとして連携しているプラットフォームには、アジアの有力プレーヤーが揃う。なかでもタン氏が今、この2年間で最も注目しているのが、TikTokの本家中国版のDouyinだという。

「わずか15秒のビデオで商品を販売できる点が優れている。YouTubeであれば15分かかるであろうところを、この短さで顧客の食いつきがとても強い。しかも、いわゆる美女が使用する姿を見せるというスキンケア製品の通例を破り、あえて粗末な身なりの中年男性がゴミ捨て場でスキンケア製品を宣伝する姿を流すことで、5万個の販売につなげるなど、ブラックユーモア的なセンスが受けている。目の付け所が新しい」とタン氏は評価する。

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「Douyin」人気クリエイターの
ファン数は100万超えが当たり前で、
影響力は絶大

Douyinは自前のクリエイターを育てることにも熱心で、コンテンツをスマートフォンで作りやすくし、著作権フリーの音楽を提供するなど、気軽にクリエイティブができる仕組みになっている。

アジア各国の文化や規制の違いを把握する

アジアでのEコマース展開を考える際には、各国のサイトごとに、言語はもちろん、法規制や文化的背景、顧客の嗜好の違いで、クリエイティブを初めとする商品のマーケティング方法が変わってくるところもハードルになりがちだが、そういった各国の事情も踏まえて一挙にソリューションを提供できるのも、28Mallの強みだ。

「たとえばインドネシアでは規制が厳しいため通関で問題が起きやすい。輸送に関するトラブルを軽減するために、現地の流通会社とも提携している。マレーシアはほかのアジア諸国と比較して保守的なこともあり、オンラインだけでなく、オフラインにもショップを持ち、イベントを開催するとマーケティング効果が上がる傾向にある。また、マレーシアは同じ国内でも東西で規制が異なるので注意が必要だ」(タン氏)。

あわせてタン氏は、考慮するべき基本的なポイントとして、「ターゲット顧客へのアピールがしやすいプラットフォームはどこか。支払いは米ドルで受け取るのか、それとも地域の通貨なのか。返金処理はどのようにするのか。輸送に関しては、紛失処理やトラッキングをどうするのか。現地社員の雇用が必要か。現地の文化や特性をどこまで理解するべきかなど、考えるべきことは山ほどある」と指摘する。

さらにタン氏のプレゼンテーションでは、アジア進出を考えるブランドにとって参考になる、さまざまなアドバイスもあった。その1つが、進出国で受けられる助成金のチェックだ。

「現地で起業する際に、政府の助成金を得られる場合がある」とタン氏。たとえば香港では、Continuing Education Fundという仕組みがあり、2万香港ドル(約30万円)までなら、セミナーなどの受講費が無料になるケースもあるという。「プロ向けのデジタル・マーケティング講座など、実践的な内容で、さらに、起業にあたり、コンサルタントからのアドバイスが受けられるといった特典もあるので、使わない手はない」。

影響力の高いインフルエンサーを発掘する努力を

Eコマースの販促と密接に関わるのが、SNSで活躍するインフルエンサーだ。タン氏も「優秀なインフルエンサーは、各自工夫を凝らして、ユニークな発想でコンテンツを考えてくれるので、自社ブランドにあったインフルエンサーを見つけ出す努力を怠るべきではない」とする。

28Mall自社としても、「アジア・ミス・タレント・インターナショナル・コンペティション」というコンテストを毎月開催している。1つの商品を“お題”として与えて、製品の良さをどのように表現して魅力を伝えるかという、インフルエンサーとしての才能を競ってもらうものだ。これはインフルエンサー・マーケティングの新スターを発掘するのが目的で、たとえば、ベリーダンスを踊りながら、ヘアドライヤーの魅力を説明するなど、奇想天外なアイディアをだすクリエイターも現れるという。

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アジア・ミス・タレント・
インターナショナル・コンペティション

単体のEコマースサイトとしての機能に加えて、本来であればライバルになりうるほかのサイトの特徴を把握して、適切なプラットフォームへの掲載を助けるというコンサルテーションを主要事業の1つにする28Mall。Eコマース業界でのトレンドに目を配り、いち早く動くタン氏の着眼点や、顧客のニーズをくみ取りながら練り上げてきたビジネスモデルは、アジアでのマーケティングを進めるためのヒントに溢れている。

Text: 甲斐美也子 (Miyako Kai)
Top image: Lakshmiprasada S via Shutterstock

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