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急増する中国メタバース・NFT関連事業トレンド。精巧なアバターを最速5分で作成も
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急増する中国メタバース・NFT関連事業トレンド。精巧なアバターを最速5分で作成も

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アバターで参加する3D仮想空間としてのメタバースに対する注目度が世界中で高まっているが、中国でも2021年から続々と関連技術・サービスを開発・提供するプレイヤーが参入している。その最新動向と美容ブランドの動きも紹介する。

テンセントは積極的なスタートアップ投資でメタバースに参入

中国の調査会社・中商産業研究院によると、中国の2022年のメタバース関連市場は425億3,000万元(約8,506億円)に達すると予測している。さらに、2027年にはその約3倍の1,263億5,000万元(約2兆5,270億円)に拡大する見込みとする。

メタバースをめぐっては、中国メガIT企業が早くから注力している。テンセント(騰訊控股)は人気オンラインゲーム「フォートナイト」を運営するEpic Gamesに40%を出資しているほか、世界的に有名なオンラインゲーミングプラットフォームのロブロックス(Roblox)とも提携し、ゲーム分野からメタバース領域の開拓を図っている。

バイドゥ(百度)は2021年12月にメタバースプラットフォーム「希壤」をローンチ。また、TikTokやDouyin(抖音)を運営するバイトダンス(字節跳動)は、2022年1月にメタバース型SNSアプリ「派対島」のテスト運用を開始した。これは、オンライン上に設けられた3D仮想空間においてリアルタイムで活動できるコミュニティで、ユーザーはスマートフォンからアクセスし、自身のアバターを使って友人と出かけたり、おしゃべりしたり、一緒にイベントに参加できる。

バイトダンスがリリースしたSNS「派対島」
出典:AppStore

一方でスタートアップもメタバースに参入を始めている。2015年にローンチしたSNSアプリ「Soul」は、派対島と同様にメタバース上のコミュニティへの転換を図っている。中国メディアによると、2021年の売上の32.4%を開発に費やし、とくに3Dアバターの技術に力を入れているという。

Soulは2021年の月間アクティブユーザー数(MAU)が前年比51.6%増の3,160万で、Z世代ユーザーが74.9%にものぼるアプリだ。運営するSoulgate(上海任意門科技)は先日、香港証券取引所に上場申請をしたが、過去にはテンセントが資金調達ラウンドで出資しており大株主でもある。テクノロジー・コングロマリットとも呼ばれるテンセントは、メタバースの分野においてもキープレイヤーにりそうだ。

メタバース化を進めるZ世代に人気の「Soul」
出典:Soul公式サイト

NFT分野では中国独自のプラットフォームが進化中

メタバースとあわせて話題になっているのが非代替性トークン(NFT)だが、中国では投機目的への警戒から転売が規制されている。また2021年9月から仮想通貨(暗号資産)も禁止されたため、中国のNFTは独自の道を歩もうとしている。NFT化されたアート作品やコンテンツを取り扱う国産NFTプラットフォームがすでに数多く誕生しており、大手ではアリババグループ(阿里巴巴集団)が「Topnod(鯨探)」、テンセントが「幻核」を運営している。

報道によると、幻核は企業のプロモーションにも利用されており、美容分野では故宮とのコラボ商品を展開している中国のコスメブランド「鶴禧覚色」が扇子のNFT画像を1,000枚限定で発行し、商品の購入者にプレゼントした。

Weiboに投稿されたNFT扇子の画像
出典:Weibo

スタートアップとして注目されているのは、2018年創業のブロックチェーン開発企業のConfluxだ。同社は上海市政府から研究費として500万ドル(約6億7,500万円)の支援を受け、2022年1月にはNFTプラットフォーム「淘派」をローンチした。アートやゲームなどのデジタルコレクションを扱っている。

ちなみに、こうした一連のアプリは中国のAppStore(アップル)やGoogle Play(アンドロイド)のアカウントをもっていなければダウンロードができず、インストール後も、実名と中国の身分証の番号を登録しなければNFTの購入は不可能で、管理は厳しい。

一方で、既存のプラットフォームでもNFTを取り入れる動きがある。一例では、アリババの「Tmall(天猫)」はセールイベントでNFTを導入した。中国で11月11日を中心に行われる一大セールイベント「ダブルイレブン(双11)2021」の開催時に、中国の大手化粧品メーカーJALA(伽藍集団)傘下の「CHANDO(自然堂)」がNFT画像を100枚発行した。現地メディアによると一定のマーケティング効果があったという。

TmallのマスコットキャラであるバーチャルヒューマンのAYAYIが、NFT画像のボトルに手を伸ばしているキャンペーン画像
出典:CHANDO(自然堂)公式Weiboアカウント

短期間でアバターを作成、急増する関連制作会社

同時に、メタバース関連ビジネスとして増加するのがアバター制作を手がける企業だ。中国のPR(パブリック・リレーションズ)大手 BlueFocus(藍色光標)の子会社 藍宇宙は、マイクロソフト中国傘下の人工知能部門 Xiaoice(小冰公司)と戦略的提携を締結し、Xiaoiceのフレームワークを活用した企業向けプラットフォーム「分身有術」を2022年2月にローンチした。ユーザーが音声やテキストを入力するだけで、2週間以内にデジタルアバターの生成と自然な表情や唇の動きを再現するトレーニングを完了し、アニメキャラ的なアバターではなく、バーチャルヒューマンと呼ばれる人間そっくりの精緻なアバターを生成することができるという。

BlueFocusはまた、同年6月にはバーチャルキャラクターを使ったバーチャルライブコマースサービス「藍標智播」の提供を開始した。ユーザーはひとつのアカウントで、アリババのタオバオ(淘宝)、JD.com(京東商城)、Douyin、短編動画アプリKuaishou(快手)、Pinduoduo(拼多多)といった主要ECプラットフォームで、バーチャルキャラクターが発信者となるライブコマースを行うことができる。

商品の紹介役のバーチャルキャラクターは、髪型、体型、服装、靴、色などを自由に組み合わせて制作することができるほか、既存のバーチャルキャラクターやIP(知的財産)キャラクターも利用できる。将来的には、前述した自身そっくりのアバターを作成できるプラットフォーム分身有術で制作したアバターも、ライブコマースで利用できるようにするのかもしれない。

バーチャルキャラクターが販売するバーチャルライブコマースサービス「藍標智播」
出典:BlueFocus 公式サイト

一般ユーザー向けにアバター制作をするスタートアップもある。2016年創業でクラウドプラットフォームを提供する海馬雲だ。報道によると同社は2022年6月、クラウドネイティブアーキテクチャーと呼ばれる開発プロセスによるバーチャルヒューマンソリューションをリリース。Epic Gamesが提供するゲームエンジンUnrealEngine5や、Linuxを高度にカスタマイズし、自社開発による分散型レンダリング技術を活用することで多様なニーズに対応するとしている。

ユーザーの操作もシンプルで、専用画面上でアバターの顔のパーツごとにスライダーバーを調整するだけで、自分好みのアバターを制作することができる。また、ユーザーがカメラに向かって表情をつくると、生成されたアバターがその表情の真似をする。こうした学習を重ねることで、より人間に近い動きを習得するのだ。

アバター制作のための3Dスキャナーを開発したスタートアップもある。2020年創業でAIなどのスマートテクノロジー開発を手掛ける優鏈時代では、ケージのような形をした3Dスキャナー装置「uCamera」に140のカメラが備え付けられ、さまざまな方向から対象者の体を捉えるという。

画質は最高5億画素に達し、点群データは300万を超えるが、最速5分で3D人体モデルの制作が可能だという。ユーザーはアプリやミニプログラムを通じて、自身のバーチャルヒューマンのほか、さまざまな場面で動く3Dアバターの動画をダウンロードできるという。今後は、uCameraを各所に設置していく計画も予定する。

uCamera
出典:優鏈時代 公式サイト

優鏈時代は、一般ユーザーがこうしたアバターを簡単に作成することで、メタバース内で開催されるミーティングや展示会などのイベントへの参加はもちろん、旅行やショッピング、仕事も現実社会と同様にできるようになり、仮想世界での商圏が広がる未来を描いているようだ。

また2022年5月には、同社をはじめとする民間企業8社が、国有企業の通信キャリア大手のチャイナモバイル(中国移動)の子会社 杭州移動と提携し、「メタバース行動計画」を立ち上げた。3Dプリンターを中核としてチャイナモバイルの5Gとエッジコンピューティング技術を融合させ、メタバース戦略の重要な一歩を踏み出すとしている。

ロレアル中国がメタバースイベント、ラネージュはバーチャルキャラクターに注力

中国の美容業界もメタバースに熱い視線を注いでいる。中国メディアによれば、美容・健康産業の集積地である上海の「The Oriental Beauty Valley(東方美谷)」は2022年6月、ロレアル中国とともにメタバース上での展示イベント「BIG BANG EXPO @ METAVERSE」を開催。バーチャル空間に、ロレアルをはじめとするさまざまな商品が展示されたほか、ロレアルの中国事業25年の歩みが紹介された。

BIG BANG EXPO @ METAVERSE
出典:元宇宙界

実際、美容ブランドによるバーチャルキャラクター起用も増加している。アモーレパシフィック傘下の「ラネージュ(LANEIGE)」は2021年12月、バーチャル男性キャラクター「川CHUAN」を潮流体験官(トレンド・エクスペリエンス・オフィサー)に任命した。川CHUANは2022年5月には自身が歌うオリジナルソングもリリースし、中国最大規模のSNS「Weibo(微博)」のフォロワー数は19万を超える。

ラネージュのバーチャル男性キャラクター「川CHUAN」
出典:川CHUAN公式Weiboアカウント

また、JD.comの美容部門「京東美粧」は同年2月28日に開催したイベントで、ライブコマースを行うブランド向けにバーチャルヒューマン「小美」を導入した。小美を提供したのは、MCN(マルチ・チャンネル・ネットワーク)のONE STAR(時尚星)で、小美は、数億のパラメーターをもつニューラルネットワークによって合成され、口の形が音声に応じて正確に動き、動作もスムーズで、まるで本物の人間のように商品を試用しその特徴を伝えたという。ロレアルやOLAYなど国内外の30ブランドが小美を起用した。

クリニークほか、小美を起用したライブコマース事例
出典:北京青年報オンライン

現地の報道によると、中国にはバーチャルヒューマン関連の企業が28万8,000社ほどあり、うち64%はここ1年以内に設立されたという。中国ではすでに3万人以上のバーチャルヒューマンが存在するとされるが、一般のユーザーが気軽に精巧なアバターとしてのバーチャルヒューマンをつくれるようになるのもそう遠くはなさそうだ。

中国のIT産業は、TwitterやFacebook、YouTubeといった巨大プラットフォームへのアクセスを遮断されたことで、独自の発展を遂げてきた。メタバースやNFTの分野においても、中国オリジナルの新たなサービスが誕生しようとしている。新しいテクノロジーは「95后(1995年以降生まれ)」や「00后」といった若い世代との親和性がとくに高く、若年層をターゲットとする美容ブランドは、中国におけるメタバース関連領域の今後の動向を注視する必要がありそうだ。

Text: チーム・ロボティア(Team Roboteer)
Top image: Jacob Lund via Shutterstock

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