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質問と選択肢のシンプルなオンライン接客SELF LINKが購入率を向上させる理由

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オンライン上でも、顧客の気持ちを汲み取った的確な提案を少ないステップで実現することで離脱を減らし、ECでの販売を促進するセールスAI。それが、SELF株式会社がこれまでに蓄積・構築してきた「会話ライブラリー」をもとに開発したセールスオートメーションシステム「SELF LINK」だ。従来のチャットボットとの違いや化粧品ECでの活用の可能性を含めて検証していく。

AIとの対話から最短で商品を提案するソリューション

コロナ禍によりECの重要性が高まるにつれ、オンラインチャネル上の販売効率を向上させる接客ソリューションに注目が集まってきている。これまで、EC上における接客サポートツールとしては、AIチャットボット、マーケティングオートメーションツール、レコメンド機能などあったが、IT企業・SELF株式会社では、「顧客の離脱」に対して踏み込んだ機能を有するセールスAI「SELF LINK」 (以下、セルフリンク)を2020年7月にリリースした。

ユーザー目線に沿った情報を簡潔に提案し、顧客を悩ませない=離脱率を下げることを軸に、ECの販売強化を支援していくとする。

既存のEC接客ツールとの違いや競争力はどこにあるのか。セルフリンクの開発に携わるSELF株式会社 CSO兼CPO 村上雄佑氏に話を聞いた。

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出典: SELF公式サイト

これまでのEC上の接客ツールでは、ユーザーが能動的に質問を書き込んだり、質問に答えたりといったアクションを必要とする。また、的確なレコメンド機能を備えるには、そもそも自社で顧客の行動履歴や購買データを蓄積する必要がある。同社ではこういったプロセスなしに、ブランド側にとってもより簡素な方法で、EC上で迷えるユーザーを離脱させない仕組みを開発した。それは店員のような声がけからはじまり、ユーザーのニーズを探っていく過程である。

「我々は、実店舗の販売スタッフが声がけするときのような、顧客との対話をつくり、そこで顧客に考えさせることなく直感的に選択肢を選んでもらうプロセスで、離脱前に商品の魅力をすばやくアピールできるセールスAI『セルフリンク』を開発した」と村上氏は説明する。

セルフリンクが実装されたECでは、トップページにポップアップウィンドウ形式で質問が現れる。たとえば、「ギフト用でお探しですか?」「どんな方に贈りますか?」「希望の価格帯は?」など、オフライン店舗でスタッフが尋ねる、顧客のショッピングをサポートするのに必要な情報を問うシンプルでダイレクトな質問だ。

ユーザーは、質問の下に現れる「はい」「いいえ」や「贈答用」「自宅用」など、選択形式のボタンをクリックすることで答えていく。この1回のアクションで、該当する商品群がリストアップされるので、その段階で欲しい商品が見つかれば商品ページに遷移して購入。もっと探したい場合は、次の質問に答えて選択を重ねていけばいくほど、希望に近い商品が絞り込まれていく仕組みである。

ワインのセレクトで顧客を迷わせない「対話」

東急百貨店のオンラインショップに期間限定でセルフリンクを実証導入した際には、ワインショップでのリアルな店員の接客を再現した。「ワインをお探しですか?よろしければお手伝いします」という声がけに始まり、たとえば用途として「記念日」をクリックした利用客には、一般的に記念日向きとされる人気銘柄のリストを表示しつつ、「記念日の1本ですね。合わせたい料理はありますか?」というように、顧客の要望にぴったり合致するワイン選びに必要なピンポイントの質問によって、記念日ディナーのちょっと豪華な肉料理にあうコクと深みのある赤ワインという提案リストへと絞り込みを進める。

つまり「記念日」というキーワードから、ユーザーが普段よりも高品質な製品を望んでいることをAIは推察し、希望の価格帯や味の好みといった、いわば周辺情報の質問により、ユーザーをわずらわせることなくスピーディで的確な提案につなげていくのだ。

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出典:SELFニュースリリース

ここでポイントとなるのは、チャットのように文字を打ち込む手間がないことと、まずは大きな枠の商品提案を見せることで、ある程度欲しいもののイメージが固まっているユーザーが、短い時間で目的にかなった商品にたどりつけるようにしているところだ。

あわせて、村上氏は「セルフリンクは、『QA対応』『送料』、『配送時期』など、質問が発生しそうなシチュエーションに先回りして、適切な回答を用意することもできる。つまり、説明や質問を、販売という一連の接客の過程のなかに組み込める点が従来のチャットボットとは異なる点だ」と話す。

加えて「無駄な質問と回答はユーザーに嫌悪感を抱かせるが、適切な対話はユーザーをファンに変えることができる。そうした細やかな接客を、いかにシンプルで使いやすい形で実現できるか。それが我々のソリューションの強みであり、さらに追求していくべき部分だ」(村上氏)とする。

EC運営側の労力を大幅軽減し導入を簡単に

セルフリンクの仕組みでは、企業やブランドなどECを運営する側が、質問と選択肢、いわばユーザーの回答をひとつひとつプログラムする必要がない点にも注目したい。

業界もしくは商材の特徴ごとに蓄積してきた「会話ライブラリー」(データベース)がすでに構築されており、導入に際しては、ECサイトにタグを数行埋め込むだけでAIが自動的に対話と提案を開始してくれる。同時に、ブランドやECサイト側が期待する目的、たとえば「新規ユーザー重視」「リピートユーザー重視」「不安解消重視」などにそって、個別ユーザーのステイタスに適した対話をAIが自動的に選択してくれる。

SELF社では、AIが会話を通してユーザー個人の生活を把握し、各自に最適化したメンタルケアやストレスケア、情報提案をする自社アプリ「SELF」や、企業向けのコミュニケーションサービス「SELF TALK」を展開しており、その基幹技術は会話などのコミュニケーションからユーザー属性を把握するところにある。これらを通して保有された膨大な会話ライブラリーや提案のノウハウを、”接客”という基準に落としこみ、商品の個別把握を組み合わせたのがSELF LINKなのだ。

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また、サイトの右下に現れるポップアップ形式で、使いたい顧客だけが使うという仕組みでもあり、それがむしろ利用率を高めていると村上氏は説明する。

「一般的なWeb接客ツールは利用率が5~7%だが、セルフリンクは14%以上となっている。またセルフリンクの非利用者に比べて、利用者の客単価は1.6倍になるというデータも取れている。10月現在でリリースから3ヶ月と日は浅いが、導入企業からはコンバージョン率や売上貢献の面で徐々に評価をいただいている」(村上氏)

セルフリンクの利用コストは導入するECの規模によって異なるが、基本的に導入イニシャルに加え、月額利用料はセルフリンクの利用に応じた従量課金となっている。運用やメンテナンス費用は月額利用料に含まれており、ユーザーへの提案やヒアリング量、すなわち機能として使われた分だけ課金されるというモデルだ。

美容ECではギフトやライトユーザーの取り込みに有効

化粧品においては、「いろいろ比較検討して探したい」「納得いくまで探したい」という美容好きなユーザーは、美容部員との深い会話や、メディアやクチコミサイトのおすすめなどを見て商品を探す、あるいは、パーソナライズのために数多くの質問に答えるのをいとわない。その意味ではセルフリンクのような機能は一見、必要がないようにも思えるが、村上氏によれば、こうした顧客向けの使い方もあるという。

「商品ラインナップをすでに十分に把握しているユーザーに対しては、セルフリンクの通常のスタイルである対話でニーズを深堀する提案は利用頻度が下がるが、同じブランドや商品・ジャンルをリピートする顧客に対しては、ユーザーのお気に入りのブランドの新作やキャンペーン商品を案内する、もしくは季節の移り変わりに伴い、たとえばシーズン限定品の紹介など、提案に変化をつけていくなどの使い方を考えている」(村上氏)

すでに化粧品ブランドからの引き合いもあるといい、化粧品業界に特化したより精緻な会話ライブラリーの作成や、各ブランドに合わせたカスタマイズの可能性も村上氏は示唆する。

その一方で、ギフト需要や、はじめて化粧品を購入する、たとえば男性や若い世代で、何を買えばよいのかそもそも見当がついていない層には、従来の対話形式のアプローチが有効といえそうだ。

ギフトでは、贈る相手、あるいは誕生日などの贈る理由は決まっているが、具体的に何をプレゼントすべきかのヒントがほしいというユーザーは少なくないだろう。「どなたにあげますか?」という質問に対し「パートナー」「恋人」「家族」「友人」「ビジネス」など、適切な回答の選択肢を段階的に用意しつつ、ギフト用にパッケージされたコスメセットや香水といった商品リストを提示することで、ユーザーをふさわしい商品へと速やかに導いていけるはずだ。

また、メンズコスメを試したいが化粧品の知識がまだあまりない男性ユーザーや女性からのギフトなども、質問に答えるクリック1つで、必要な商品へと的を絞っていける。こういった、何を選べばいいのかそもそも知識を持ち合わせていない、いわばライトユーザーの取込みと離脱防止にもセルフリンクAIは力を発揮しそうだ。

必要なときに頼れるアシスタントとしてのセールスAI

このように、セルフリンクはECにおけるショップ店員の役割を果たす。いつでもそこに控えており、自分のペースで商品を探したいときは利用しなくてもよいし、ちょっとしたアシスタントが必要なときにはすぐ呼べる存在だ。詳しい商品説明やカウンセリングを望んでいるのではない、ライトな買い物客のショッピング体験を出しゃばらずにサポートする。

従来の接客ツールが膨大なデータをベースにした「足し算」のソリューションだとすると、セルフリンクは会話データをベースに無駄を省く「引き算」のソリューションといえるかもしれない。ユーザーの目的を素早く理解し、いかに最短距離で商品を提案できるか。オンライン接客というテーマにおいて、今後、1つの方向性として注目されていくのではないだろうか。

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)、編集部
画像提供: SELF株式会社


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