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【追記あり】人生100年時代の大きなビジネスチャンス、「セカンドスキン」時代の幕開け

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(※)2018年1月12日に追記しました。

2016年5月に発表され話題になった「セカンドスキン」。米マサチューセッツ工科大学(MIT)とマサチューセッツ総合病院などが共同で研究開発した新素材は、塗るだけで瞬時にシワやたるみを目立たなくすることができる"第二の肌”として脚光を浴びた。あれから1年半、セカンドスキン開発の今を追った。

塗るだけでシワが消える新素材XPL

肌の動きにあわせて自在に伸縮する人工皮膚の新素材としてMITが昨年発表し、注目を集めたのが、7万分の1ミリという薄さと、2.5倍伸ばしても元に戻る弾力性が特徴のポリマー(XPL)だ。研究チームは、性質の異なる100種類以上のポリマーをつくり、もっとも弾力性があり、つけ心地がよく健康な肌に近い組み合わせをついに発見した。

使い方は、いたってシンプルだ。シロキサン(シリコン)のクリームを肌にのばし、その上から触媒となるクリームを重ねるだけ。すると、ポリマーがフィルム状になって肌表面に付着し、肌のたるみやシワを伸ばして目立たなくしてくれる。シロキサンは、米食品医薬品局(FDA)で安全性が認められた成分で、肌に塗布しても問題ないという。

出典:Olivo Labs/MIT News

XPLは、美容目的のほか、「傷あとを目立たなくする」「紫外線から肌を守る」「フィルムに薬を含ませ肌にゆっくり浸透させる投薬手段としての活用」など、さまざまな分野での応用が期待されている。

出典:Engineering a second skin/YouTube

防水性も高く、汗をかいたり水で濡れたりしても剥がれないのが特徴だ。

現在は、XPLの技術のさらなる発展のために設立されたスタートアップ企業Olivo Laboratories(オリボ・ラボラトリーズ), LLCで、主に皮膚炎の治療など医療分野での応用に向けて開発が進められている。

(※追記)Olivo Laboratories(オリボ・ラボラトリーズ)は、2018年1月12日の日経新聞の記事で、資生堂に人工皮膚(セカンド・スキン)事業を売却したことが報じられた。記事によれば、資生堂は2020年までに同社の技術を応用した商品を発売し、数年で数百億規模の事業に育てる予定だという。

天然由来のリフトアップ効果を持つセカンドスキン

そんな中、天然由来成分の「セカンドスキン」として、すでに原料として製品化されているものがあるという情報を入手した。フランスの植物由来の化粧品用有効成分のメーカー・Silabシラブ)社が開発した「FILMEXEL™(フィルムエクセル)」だ。

XPLがシリコンベースの成分に触媒を加え皮膚上で化学反応を起こすことでポリマーを形成するのに対し、フィルムエクセルは、タラ種子と紅藻を出発原料とした糖ポリマーで、化学的な処理を行うことなく物理的に入り組んだ網目構造を形成させる独自技術(IBPN)によって開発されている。

相互侵入高分子ネットワーク(IPN)の技術をバイオポリマーに応用した独自技術により、2つのポリマーが網目構造で絡み合った状態で肌にぴったりフィットする。

「自然な膜」が水分を保持しながら保護機能も持つ

フィルムエクセルを1%含んだ乳化ジェルを下まぶたに塗布してみると、ジェルが乾いていくのと同時に肌にわずかなテンションが感じられ、表面はすぐになめらかに。鏡で見比べてみると、塗布していない反対側の下まぶたに比べて肌にハリがあり、毛穴の凹凸も目立たなくなっている。MITが開発したXPLの膜よりもはるかに薄い、目には見えない自然な膜で覆われている感じで、通常の乳液や化粧下地とほとんど変わらない使用感だ。

シラブ社が実施した効果確認試験では、フィルムエクセルを塗布することで、アレルゲンや刺激物質などの有害な外的物質から肌を守るバリア機能が強化され、即効的かつ持続的なリフトアップ効果があること、さらに使い続けることで肌のハリや弾力性を改善する効果があることが実証されている。

出典:The excellence of a natural, protective and lifting film/Youtube

この成分を開発したのが、シラブ社のDeputy General Managerである女性研究者Ms. Brigitte Closs(ブリジット・クロス)氏だ。天然素材由来で、肌に安全で、かつあっと驚くような効果を求める消費者のニーズに画期的な技術をもって応えたいという思いから、フィルムエクセルの開発をスタート。相互侵入(Inter Penetrating)バイオポリマーにインスピレーションを受け、開発プロセスのすべての工程でさまざまな課題に直面しながら、バイオポリマーの性質や大きさ、組み合わせる割合、架橋剤の性質など原料特性に影響をもたらす要因について検討を重ね、数年かけて完成させたという。

出典:The excellence of a natural, protective and lifting film/ Youtube

「天然素材由来の第二の皮膚ともいえるフィルムエクセルは、いろいろな場面で効果を実感できる原料だ。肌の表面上で天然素材からなる分子バリアを形成し、皮膚の水分を維持しながら外部刺激から肌を守ることができる。強力なリフトアップ特性もあり、顔のみならず、身体のさまざまな部位の皮膚のキメ改善に効果的で、。
フィルムエクセルを使用することで、多くの女性がさらに美しくなり、自信を持ち、魅力が増したと感じられたら、うれしく思う」(クロス氏)

フィルムエクセルは、日本でもすでに複数の化粧品会社で採用され、製品化されている。

人生100年時代のQOL向上に欠かせない存在に

こうしたセカンドスキンの動向について、ビューティサイエンティストの岡部美代治氏はこう話す。

「セカンドスキンを仮に、薄くて、肌にやさしく安全で、シワやたるみのない理想の肌をつくるものと定義すると、たとえば医療業界における人工皮膚や映画業界における特殊メイクの技術がさらに進化して一般の人も手軽に使えるものになれば、それらもセカンドスキンになりえる。ほかにも、シリコン基板やフィルム製造の技術など他業種で確立されている技術が美容分野で応用されることで、新たなセカンドスキンとなる原料が誕生する可能性は無限にあるはずだ。朝のメイク前、クリームひと塗りで、肌のシワやたるみを即席でなくしてなりたい顔、肌をつくる。そんなセカンドスキン時代が、もうそこまで来ているといえる」

人生100年時代といわれる今、それを受け入れる経済構造や働き方の改革のみにフォーカスされがちだが、社会の中で長くイキイキと活躍し続ける上で、見た目の美しさや若々しさをどう維持していくかは、男女問わず大きな関心事であり、そこにビジネスチャンスがある。

今回紹介した2つの事例からも、セカンドスキンになりえる材料の種類や組み合わせはまだまだ無限にあり、なりたい肌に合わせて、まるで服をコーディネートするように肌を選べる時代が来るだろう。既存の化粧品メーカーだけでなく、他業種からの参入も予想できる。人生100年時代のQOLを高める美容アイテムとして、2018年から2019年にかけてまた新たなセカンドスキンのニュースがいくつか飛びこんでくるのは間違いない。

Text:小野 梨奈(Lina Ono)


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