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ohoraやジョンマスターオーガニック、Shopify導入の理由は柔軟性と拡張性

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EC構築プラットフォームサービスShopifyとYouTubeは、2022年7月にパートナーシップを締結。Shopify導入企業は、YouTube上の動画コンテンツやライブ配信を流しながら、該当する商品ページの枠を映し出すことができる機能をユーザーに提供できるようになった。ライブコマースのみならず、ブランドのシームレスな販売活動を支援する機能開発を進めるShopifyの現状を明らかにするとともに、そのメリットや美容業界における活用事例をShopifyを導入・運用するブランド担当者に聞いた。

コンテンツと購買をシームレスに繋ぐShopifyとYouTubeの提携

出典:Shopify Japan 株式会社プレスリリース

グーグルとの提携関係を着実に強化することで成長してきたShopifyは、今回YouTubeとの連携を発表した。今後、Shopifyを利用してECを構築しているブランドは、アプリストアからグーグル連動アプリ「Googleチャネル」を導入することで、YouTubeショッピング機能をユーザーに簡単に提供できるようになった。

アプリ連動で利用できるようになる機能は、ライブ動画の重要ポイントに商品をタグ付けする機能、動画の下に商品欄を配置し商品リストを表示する機能、YouTubeチャンネルに新しいタブを追加し全商品を表示するストアタブ機能の3つだ。

メール取材に対してShopifyの担当者は「YouTubeショッピングとの連携により、クリエイターやブランドは、YouTubeライブやYouTubeショート、ビデオオンデマンド(VOD)コンテンツ上などで、Shopifyショップの商品を複雑な開発なく販売することができ、視聴者もYouTube上で商品を見つけて購入することが容易になる。また、YouTubeショッピングでは、事業者がショップ運営のために使用している既存プラットフォームですべてのデータが管理されるため、商品と在庫をシームレスに同期させることが可能だ。たとえば、商品が品切れになると、マーチャント(事業者)のYouTubeチャンネルから自動的に表示が削除されるため、品切れのエラーメッセージで視聴者やお客様をがっかりさせる心配もない」と説明する。

Shopify側は、ブランドにとってユーザーとのエンゲージメントの重要性が増しているとする。これまでエンゲージメントは、「あればよいもの」だったが、ユーザーや環境が変化するなかで「必要不可欠なもの」になったという見方だ。

ブランドがインタラクションの中心にコンテンツを据えることでクリエイターエコノミーが刺激され、昨今ではソーシャルセリングなど、企業とクリエイターの間の境界線も曖昧になってきた。コンテンツクリエイターは、さまざまなブランドの商品を販売しながら、同時にクリエイターとしての自分たちのブランドも形成しており、一方で、D2C事業者は新規顧客を開拓する方法としてコンテンツを作成している。今回のYouTubeとの提携は、そんな市場の変化を掴むための施策のひとつだという。また、Shopifyはライブコマース市場の拡大も強く意識しているとする。

「YouTubeショッピングは販売事業者の負担を減らし、見込み客がどこにいても購入できるようにする新しい機会を提供する。ライブコマースにも最適だ。連携により、Shopifyのマーチャントがライブコマースでシームレスに商品を販売することを容易にするだろう。Shopifyの調査によると、日本の消費者の5人に1人が2022年内にライブショッピングを行いたいとするなど、日本でのライブショッピング人気も高まっている」(Shopify担当者)

Shopifyはまた、こうしたコンテンツと購買を円滑に連携させる提携、および機能開発のみならず、ブランドが市場とよりシームレスに結ばれるための新機能を追加し続けている。たとえば、2022年の夏に発表された「Shopify Editions」 には、大小含め、およそ100以上の機能が新たに追加されている。従来、オンラインストアに関するプロダクトが多かったが、今回はそれ以外の機能も数多く用意されたのがポイントだ。

「(Shopify Editionsには)BtoBの連携をより円滑にする機能や、オンラインストアと実店舗をつなぐためのShopify POSにおける新機能などが含まれている。ブランドと顧客、ブランドと協力事業者、もしくは日本と海外など、EC事業者が幅広い側面でつながり市場展開できる世界を目指す」(Shopify担当者)

ohoraは短期間で最大の効果を狙いShopifyを選択

では実際、Shopifyはビューティブランドにどのように利用されているのか。韓国発のセルフジェルネイルブランド「ohora(オホーラ)」の日本での展開を総合支援する株式会社デジタルガレージ ECコンサルティング部長 古屋仁俊氏は、導入状況について以下のように説明する。

株式会社デジタルガレージ ECコンサルティング部長 古屋仁俊氏
プロフィール/2014年デジタルガレージに入社。コスメ・美容クライアントのマーケティング支援を経て、人材や教育など複数の業界でマーケティングチームの立ち上げとマネジメントを担当。現在はEC、コマースプロジェクトの責任者を務める。2021年から韓国発のジェルネイルブランド「ohora(オホーラ)」の日本市場での販売及び事業展開を推進

ohoraは、2021年6月にShopifyを使って構築した公式ECサイトを日本でリリースした。その選定理由は、短期間で効果を最大化させるためだったと古屋氏は話す。

「ECサイトの構築には時間や資金を投じる必要があるが、Shopifyであればそれらを大幅に圧縮することができる。導入した結果として、日本のお客様に商品を購入できる場所をより早く提供できるようになった。また通常であれば、ECサイトの機能拡張にもかなりの手間がかかる。しかしShopifyの場合、多くのベンダーがShopifyアプリを開発しており、必要に応じて簡単にカスタマイズできる。その拡張性の柔軟さは大きな魅力だ」(古屋氏)

ohoraでは、Shopifyサイト内でのイベントと連動させた、インフルエンサーや芸能人によるインスタライブを定期的に開催してきた。ユーザーからの反響が非常に大きく、今後のYouTubeとの連携にも期待を寄せているとする。

「YouTubeとShopifyの連携をきっかけに、私たちもより積極的にライブコマースを拡大・拡張していきたい。ohoraに関しては、これまでにないネイル体験を提供するプロダクトであるため、商品の使い方がよくわからないという声も多い。商品の特徴やハウツーを演者が丁寧に教えるコンテンツをライブコマースに盛り込むなど、さまざまな施策を通じて新規顧客の獲得につなげていきたい」(古屋氏)

ohoraは、2021年3月前半に楽天とアマゾンで日本での商品販売を開始し、同年6月からShopifyで公式ECを立ち上げている。最終的に目指すのは、Shopifyで構築した自社サイトでの購入率を高めることだという。

その理由として古屋氏は「ファーストパーティデータを得られることが大きい」と話す。「POSデータなどのオフラインデータやファーストパーティーデータの活用によって、お客様により価値のある情報を届けられると考えており、様々なパートナーと取り組みを進めている。また、ohoraが次のブランドをローンチする際、データを保有していれば、ohoraを愛用いただいている方々に直接アプローチできるメリットがある」(古屋氏)

つまり、Shopifyのプラットフォームを活用することで、ブランドが従来割いてきたECの構築・保守・拡張の負担は大きく減る。あわせて、ライブコマースを使った新規顧客の獲得や、取得できるデータを活用した既存顧客へのアプローチなど、マーケティング施策も強化することができるとデジタルガレージでは考えている。

ジョンマスターオーガニックなど大手ブランドはグローバルでshopifyを導入

Shopifyは新興ブランドがスピード感を持ってサービスを立ち上げるためによく使われるというイメージもあるが、昨今では大手ブランドの活用も進む。グローバルオーガニック化粧品ブランド「ジョンマスターオーガニック」も、Shopifyを活用するブランドのひとつだ。

ジョンマスターオーガニック EC部ディレクター 吉本健二氏は「ジョンマスターオーガニックでは、2019年3月からShopify導入を開始している。これに先立って米国や他地域ではすでに活用していたが、グローバルで同一プラットフォームを使用する方針となり、日本でも導入されることになった」と経緯を説明する。

またそのメリットについては、「サーバーが落ちたり、サイトエラーが起きることはほぼない。その安定性は高く評価している。お客様に安心してサービスを提供できるだけでなく、マーケティングに集中できるからだ。また、アプリを通じて新しい施策をすぐに展開できる点も利便性が高い。2021年5月からオン/オフラインのポイント連携を行い、今後もECと実店舗の連動を強化する予定だ。Shopifyではデータを自社で管理することができ、オン/オフラインをシームレスに繋いだり、CRM的な側面でも強みを持つと考えている」と話す。

ジョンマスターオーガニック EC部ディレクター 吉本健二氏
プロフィール/調査会社、webコンサルティング会社を経て、2012年に大手化粧品会社へ入社。eコマースの部門にて、データ環境を整備し、データ分析・CRM施策をリード。2019年に株式会社ジョンマスターオーガニックグループに入社。eコマース事業の責任者として、事業の拡大を推進。同時に、全社的なデータ活用を進め、web/リアルを横断したCRMに取り組んでいる

大規模ブランドのshopify導入メリットは容易なアップデート

企業のマーケティング支援を行っているデジタルガレージのマーケティングテクノロジーカンパニーでは、ohoraのプロジェクトをきっかけに、Shopifyを使ったEC構築・開発・運用を担う専門チームを社内に新たに発足させている。今後は、そのノウハウを生かし、Shopifyを活用してECの売上を伸ばしたい企業・ブランドを専門的に支援していくとする。

「さまざまなケースを分析した結果、規模の大きいブランドほどShopifyを使うメリットは大きいと考えている。現行ECサイトの多くは、バージョンアップの際に商品の載せ替えなど、アップデートに多大な労力が必要だ。大企業や大きなブランドになるほど、その手間は膨大になる。Shopifyはアップデートが容易なうえに、アプリの追加開発もフレキシブルで、サイト改修のPDCAを効率的に回すことができる。実際、アパレルなどのECでは乗り換えが増えている。化粧品業界においても検討する価値があるのではないか」(古屋氏)

ShopifyはYouTubeとの連携について、グーグルとのパートナーシップを強化するうえでの通過点に過ぎないとしている。さらなる機能の拡充が期待されるなか、ブランドにとっては市場攻略のための貴重な選択肢のひとつとなっていきそうだ。

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)
Top image: Boumen Japet via Shutterstock

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