ファーメンステーション、化粧品や食品向け「高付加価値」バイオ素材開発でグローバルでも強固な足固めへ
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化粧品原料としてのプレミアムエタノールを、独自の発酵技術によるアップサイクルで生み出す株式会社ファーメンステーションが資金調達を行った。R&Dをより強化し、化粧品のみならず食品に使われる原料のうちで、これまで石油由来に頼るしかなかった香料成分を、同社の発酵技術で植物由来、かつ複数機能を持つ付加価値の高い原料として開発し、グローバルの脱石油化規制やブランドごとのニーズに対応し、生物由来の発酵技術を生かした「バイオ素材」に強い企業としてのポジションを固めていくという。その展望を、同社代表取締役 酒井里奈氏に聞いた。
アミノ酸を豊富に含む発酵エキスからラクトンなど香気成分までR&Dの広がり
独自の発酵技術により未利用資源(バイオマス)を再生・循環する社会の構築を目指すバイオ素材スタートアップの株式会社ファーメンステーションは、2024年1月、第三者割当増資による2億3,000万円の資金調達を行った。出資者には既存株主のSXキャピタルをはじめ、環境省がバックアップするファンドの脱炭素化支援機構や、宝酒造やタカラバイオを傘下に持つ宝ホールディングスなどが含まれる。
ファーメンステーション 代表取締役 酒井里奈氏は、この資金調達により、OEM事業をはじめ、現在、拡大している大手化粧品、食品メーカーとの共同開発プロジェクトの一層の推進に努めるほか、発酵アップサイクル技術を活用した高付加価値バイオ素材・原料の研究開発と製造にフォーカスしていくと話す。
「食品廃棄物などの未利用資源(バイオマス)を活用して、石油に依存しないバイオ素材を開発し、顧客ひいては社会の脱炭素化を実現するというミッションが、私たちの事業の根本にある。我々独自の発酵技術を使い、創業当時のアップサイクルエタノールにはじまり、今ではアミノ酸やペプチドなどの機能性成分を豊富に含む発酵エキスや、ラクトンなどの香気成分といった、化粧品・食品、ホームケア、サプリ等の幅広い用途で利用できる多様かつオリジナルな素材原料の開発と製造ができるようになった。その意味で培ってきた独自技術は我々の一番の強みであり、今回の調達で得た資金も主にR&Dのための設備の拡充やR&D人材の獲得に使用していく」(酒井氏)
独自のバイオマスデータベースや酵素ライブラリーで、企業ニーズに応じた原料開発
2009年創業のファーメンステーションはこれまで、プレミアムエタノールを原料として提供しつつ、原料の提案から製品化までワンストップで一貫して引き受けるOEM・ODM事業を進めてきた。顧客企業のビジネスや地域性にあわせて、規格外の農産物や製造過程で出る残渣や副産物といった植物性の未利用資源をアップサイクルした原料や、地場の特産物など地域の素材を活かした処方を設計できるのがその一番の特徴だ。
たとえば、東北地方を拠点とするドラッグストアチェーン薬王堂のサステナブルブランド「and OHU(アンオフ)」や、セレクトショップを展開するアパレル企業アーバンリサーチのライフスタイルコスメブランド「cosme URBAN RESEARCH」など、多彩な業種の企業のPBブランド・商品の開発と立ち上げに関与してきた。その過程で得た知見はファーメンステーションの発酵技術の進展とネットワークの拡大に大きく貢献し、同事業は現在、ファーメンステーションの売上の約半分を占めていると酒井氏は話す。
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