見出し画像

ランコムの3Dバーチャル旗艦店が示した、近未来のデジタルショッピング体験

New English article
◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページメルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o

2020年8月から9月にかけての約4週間、ランコムはジェニフィック アドバンスト Nの3Dバーチャル旗艦店をランコム シンガポールの主導でオープンした。パーソナライズした各種診断、ライブ動画配信、ファンコミニュティの声を集めるなど、オンラインのみで濃い顧客体験を実現するデジタルショップをレポートする。

化粧品の購入場所がこれまでの主流だった実店舗から、オンラインへと急速にシフトしていくなか、ロレアル傘下のランコムは世界に先駆けて同社の売上ナンバー1の美容液「ジェニフィック アドバンスト N」に特化したバーチャル旗艦店を、シンガポールにて2020年8月28日〜9月20日の期間限定で開設した。

「インナーストレングス(内に秘めた強さ)」をキーワードに、同店はユーザー一人ひとりが備えている精神的な力と肌が持つ本来の力の双方を発見する旅にいざなうというのがコンセプトだ。未来的なデザインの3D空間には、パーソナル判定、肌診断、セレブによるトークセッションのライブ配信から愛用者の声まで、ショッピングジャーニーの過程でユーザーが自ら参加体験をしていくインタラクティブな仕掛けがちりばめられている。

ここで提示されたのは、デジタルを駆使することでリアルを超える体験を生み出し、オンラインでどこまで顧客のエンゲージメントを高められるかという挑戦であり、新しい非接触型ショッピングのあり方だ。

ランコムはプレスリリースのなかで、「(この旗艦店は)没入型の3Dバーチャルショッピング体験を届けるものであり、オンライン上にリテールとエンターテイメントが一体化した“リテールテイメント”の世界を創出して、ユーザーが自宅でくつろぎながら楽しむことを可能にした。ユニークな5つのゾーンを訪れる旅を通して、ビジターはランコムのジェニフィック アドバンスト Nをより深く知るとともに、自身が持つインナーストレングスと同時に、肌のインナーストレングスを発見することができる」と説明している。

「発見」「探検」「インスパイア」「ライブ」そして「ショップ」と名付けられた5つのゾーンへはスマートフォンやPCから簡単にアクセスでき、ジェニフィック アドバンスト Nの愛用者から初めてトライする人まで誰もが楽しめるよう、コンテンツがバランスよく組まれたのも特徴だ。

自分自身の強さと美肌菌の発見

旗艦店の訪問は発見ゾーンから始まる。ここではまず、心理学者のパーペチュア・ネオ(Perpetua Neo)博士が同店のために考案した「パーソナル・インナーストレングス判定テスト」を受け、「陽気で前向き(joyful optimism)」「勇敢で自主独立(fearless independence)」「物に動じず冷静沈着(poised composure)」「手堅く自律的(steadfast discipline)」「揺るがぬ信念(fiery conviction)」そして「内在する賢明さ(intrinsic wisdom)」の6タイプのどれに自分が属するかを見つけ出すようすすめられる。

このテストは「新しいことやモノはすぐに試してみたいと思うか?」「定められたスケジュールを守り計画を立てて行動するか?」「困っている人や悲しんでいる人に共感し手を差し伸べたいと感じるか?」といった質問に、「強くそう思う」から「まったく思わない」までの5段階のどこに自分が当てはまるかを回答することで、各自のインナーストレングスの特徴を明らかにしていくものだ。

判定結果にあわせて、自分の良さを発揮するために気質をどのようにコントロールするとよいのかというアドバイスを添えた、詳細なレポートがダウンロードできるほか、SNSでシェアしやすいバージョンも用意されており、ソーシャルメディアにアクティブなユーザーが自分のタイプを投稿することで自然な拡散を促す工夫もある。

また、同じゾーンには、ランコムが日本では「美肌菌」と呼んでいるジェニフィック アドバンスト Nの開発の根幹にある皮膚常在菌(マイクロバイオーム)の働きと製品の科学的な根拠について、いくつかの短い動画を通じて学ぶセクションも設けられている。

ジェニフィック アドバンスト Nが15年にわたるリサーチと57の個別研究、1万件のサンプルをもとに誕生したことや、なぜ、皮膚常在菌が肌を強くすることができるのか、その仕組みの解説、また、人間の体の約半分は実は細菌細胞で構成されていることなど、動画にはサイエンスに裏付けられた興味深い話題が盛り込まれている。

図1

肌の強さの探求

次の探求ゾーンでは、「E-Youth Finder」ツールによるAI肌診断が用意されており、多くの人にとってもっとも気になるセクションだったかもしれない。スマートフォンでQRコードを読み込み、顔の自撮り画像を撮るだけで、ハリ、ツヤ、シミ、しわ、なめらかさの観点から肌年齢を割り出してスコアとして表示、さらに、各自にあった朝晩のケア方法や、最適な製品がレコメンドされる。より詳しいコンサルテーションを受けたい場合は、ここからランコムのビューティアドバイザーと1対1の対面オンラインカウンセリングを予約することができる。

図1

愛用者の体験レビューでインスパイア

3番目のインスパイアゾーンでは、年齢も職業もさまざまなシンガポールのジェニフィック アドバンスト Nの愛用者100名による体験談が集められている。商品を使用した感想レビューはもとより、各自の人生における挑戦や困難を乗り越えた経緯や気づきなど、パーソナルな経験を率直に語っている点も特徴だ。最初のインナーストレングス判定テストのタイプ別にグループ分けされており、ユーザーは自分と同じタイプの体験者のコメントを選んで読むことも可能だ。

図1

セレブやエキスパートのライブ配信

それに続くライブゾーンでは、アジアや地元シンガポールのセレブのトークセッションの模様をライブやオンデマンドで視聴できる。そのひとりが、この旗艦店のオープニングセレモニーにも登場した“香港四大天王”に数えられるベテランスターのアーロン・クォックだ。

80年代から俳優、歌手として活躍し、54歳の現在も若々しいルックスを保つクォックは、ジェニフィック アドバンスト Nを長く使い続けるロイヤルカスタマーで、ポジティブシンキングや毎日のエクササイズ、ヘルシーな食事と並び、ジェニフィック アドバンスト Nがエイジレスな肌の維持に欠かせないと語り、「肌にスムーズに浸透するこの美容液は男性にもぴったりだ」と付け加え、包括的な商品であることをアピールした。

図1

別のライブ配信には、シンガポールのセレブで、インナーストレングスのタイプは「内在する賢明さ」だというジャネット・アウが登場。トークのなかで、芸能界での活動を休止して、夢であったフランスでのパティシエ修行に挑戦したことをシェアした。思いを叶えた現在では仕事に復帰し、日本を舞台に監督と主演を担当した自身の映画をリリースしたところだという。同じ動画に前述のネオ博士も参加しており、充実した人生のために、インナーストレングスを活用して、夢を追いかけることの重要性を語っている。

図1

また、ロレアルのアジア・マイクロバイオームセンター・オブ・エクセレンスの長であるタラン・チョプラ(Tarun Chopra)博士をフィーチャーしたセッションでは、皮膚常在菌がいかに肌の健康と強さに関わっているかを専門家の立場から説明。消費者サーベイをもとに、もっとも多い肌悩みは毛穴の開きとくすみであるとして、皮膚常在菌がこうした症状を改善に導く仕組みを具体的に示した。

チョプラ博士によると、皮膚常在菌は肌の表面に不可欠な存在で、肌のバリア機能の強化とコントロールをして、機能回復を促進するという重要な役割を担っている。それゆえに皮膚常在菌のバランスを整えることが、肌に本来備わる自然の力を引き出す鍵になるとして、ダメージで数が減少した皮膚常在菌の増殖をサポートするという同製品を生み出した発想の原点を解き明かす。

リテールセラピーとしてのショッピング

商品の背景にある開発ストーリー、皮膚常在菌のパワー、ファンコミュニティの熱い声を聞いたユーザーを待っている最後のゾーンは、もちろんショップスペースだ。実店舗を模した店内には、ジェニフィック アドバンスト Nがフルレンジで並ぶのはもちろん、美容液のボトルに名前を彫るサービスや、バーチャル旗艦店限定のスペシャルフォーミラセットも用意されている。また、7日間分の無料トライアルセットの申込みもできる。

図1

このように、ランコム ジェニフィック アドバンスト Nのバーチャル旗艦店の試みは、この空間を訪れなければできない体験を、インナーストレングス判定や肌診断のような「パーソナライズ」、皮膚常在菌の科学的な解説という「エデュケーション(啓発)」に加え、セレブを含めたコミュニティにビジターを巻き込む「ソーシャル」と、多面的なアプローチにより構築した点で先進的といえるだろう。

ユーザーが自らアクションを起こすことをきっかけに、次のステップへと進ませるショッピングジャーニーの流れは、体験者に喜びや気づきをもたらし、バーチャル店舗を見て回る行為そのものが楽しくポジティブな気持ちを生み出すことにつながる。その意味で、買い物をすることが癒しとなる「リテールセラピー」を具現化しようとする試みとも考えられる。

ランコムが公式に明かしているわけではないが、この実験的な期間限定店で得られた知見は、今後のバーチャルショップ構想に活かされることが予想される。

単にボタンをクリックして商品を購入するだけではない、次世代のデジタルショッピングのあり方を提案したこの旗艦店は、果たしてユーザーを満足させることに成功したのか?その答えは、1万件以上も寄せられた5つ星レビューが物語っている。

Text: Ching Li Tor (英語記事)、編集部
Top image & 画像: Lancôme Singapore

ありがとうございます!LINE@で更新情報配信中です。ぜひご登録を!
8
美容業界の国内外のイノベーションを発信するメディアです。詳しくは → https://goo.gl/7cDpmf  BeautyTech.jp(English)move to https://medium.com/beautytech-jp

こちらでもピックアップされています

ビジネス
ビジネス
  • 291本

BeautyTech.jpのビジネスに関する記事をまとめたマガジンです。