新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として 厚生労働省 首相官邸 のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
見出し画像

米国美容業界向けメディアのWebセミナーで議論されるコロナ後の「ニューノーマル」

New English article
◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページメルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o

世界規模で人々が自宅にこもらざるを得ない状況で、一気に進んでいるのがオンライン上にパネラーと聴衆が集うWebセミナーだ。米国のB2B美容・ファッションメディアやコミュニティでも次々とWebセミナーが主催され、今まさに企業が知りたいアフターコロナのテーマを議論し、共有している。

COVID-19によるロックダウン(封鎖)や厳格な外出制限、自宅待機がグローバルレベルで拡がるなか、ビジネスイベントやセミナーをオンラインにスイッチする動きが加速している。もともとは1カ所に大勢が集まることができないゆえの苦肉の策だったが、会場の手配や参加者の移動に伴う手間やコストがかからず、準備にかかる時間も大幅に削減できることから、むしろ積極的にオンラインを活用する企業が増えている。欧米を中心とする、美容やファッション業界向けデジタルマガジンやニュースサイトなどのメディアもその1つだ。

Glossy+メンバー向けの即時性の高いトークセッション

ニューヨークが本拠地のGlossy では、有料購読会員を対象にしたWebセミナー「Glossy+ Talk 」を週1回ペースで開始した。同マガジンの編集者がホストを務め、美容・ファッション企業のCEOなどを招き、スライド等を交えたトークセッションの模様をライブで配信する。もちろん登壇者はそれぞれの自宅からのリモート参加だ。視聴希望者は事前登録をすれば、世界のどこからでも無料でアクセスできる。

テーマとしては「D2Cの未来」「インフルエンサー・マーケティングはどう変わるか」など、COVID-19の影響下にある今まさに知りたいトピックスが選ばれ、即時性があるところも特徴だ。

2020年4月16日に行われたGlossy+ Talkには、D2CコスメブランドのWinky Lux の共同創業者でCEOのナタリー・マッキー(Natalie Mackey)氏が登場。「The Future of Experiential(体験の未来)」と題して、店舗の休業により消費者とのダイレクトなタッチポイントが失われた現状で、顧客の思いによりよく応えるために同ブランドがソーシャルプラットフォームで推進している戦略を語った。

図1

The Future of Experiential
セッションより

マッキー氏は「ブランドにとって最も重要なのは、顧客が自分たちに何を求めているのかを理解することだ」と話す。ゆえに、パンデミックの重大さや安全対策を強調するよりも「顧客に楽しい気晴らしを提供する」のが、「製品やコンテンツ、体験を通じて喜びを生み出す」ことをブランドミッションに掲げるWinky Luxがとる道だとする。そして、SNSでのキャンペーンを一般的なハウツー美容チュートリアルから、気分をあげるキラキラしたグリッターにフォーカスしたポップなTikTok動画などにシフトした。

その一方で、パートナーである製造業者がハンドサニタイザー生産をできるように、予定していた新製品の投入を遅らせる措置も講じた。自分たちにできる形で地域社会に貢献する姿勢は、顧客からの賛同にもつながるはずだとマッキー氏は信じている。

あわせて、アフターコロナの美容業界はこれまでとは異なる“現実”に対峙することになるとマッキー氏は予測する。一足先にCOVID-19が収束に向かっている中国だが、「中国の業界関係者によると、消費はビフォーコロナの70%程度にとどまっている」として、「人々は以前のようには、頻繁に旅行をしたり、多人数が集まる場所へ行ったりはしないのではないか。プライベート感のある小さなショップや個別の体験ができる機会が顧客エンゲージメントの鍵になる」とみている。

さらに、店舗が再開してもテスターを置くことはしないという。その代わり、2、3回分の量の極小サンプルを配布することを考えて準備を進めていると明かした。

マネジメント層を対象にするBeautyMatter Webinars

米デジタルマガジン BeautyMatter もWebセミナー「BeautyMatter Webinars」シリーズを毎週2回開催している。


図1

BeautyMatterのFacebook投稿

Glossy同様、主催者のBeautyMatterが進行役で、美容業界のさまざまな分野のエキスパートを呼んで対談やディスカッションをする形式だ。無料の事前登録制で誰でも視聴が可能である。比較的大きなテーマと広いジャンルをカバーするタイトルが掲げられており、企業のマネジメント層が学びを得られるセミナーとしている。

「CEO Round Table – Leadership, Insight and Prediction(CEO座談会 – リーダーシップ、インサイト、予測)」の回では、DG SkincareReViveHear Me Rawの各ブランドから、いずれも女性のCEO 3名が登場し、COVID-19の拡大を受けて、ブランドや従業員を守るためにただちにとった行動の数々をシェアし、あわせて、アフターコロナを見据えた次の戦略や、業界で働く人々へのアドバイスやメッセージを語っている。

また、ビジネスコンサルタントのイリヤ・セグリン(Ilya Seglin)氏、プライベートエクイティの投資家ジャネット・ガーウィッチ(Janet Gurwitch)氏、そして、元資生堂シニアエグゼクティブで、現在はアイコニックな化粧スポンジで知られるBeautyblender 代表であるカースティン・フィッシャー(Carsten Fischer)氏らが集合。未曾有の経済不況のもとでいかにビジネスを維持し、財務状況の健全化を図るかを討議する回「Managing Your Business’ Financial Health: Preserve, Prioritize, Prevail(正しい財務管理 – 維持、優先づけ、打ち勝つ)」が4月16日に開催された。

1時間のセッションの前半はそれぞれの立場から、美容業界を取り巻く現在の課題と今後の動きの予想が語られた。デパートなどリテールセクションの苦境を不安材料とする一方で、「今はまずキャッシュの確保を優先して収束後に備えるべきだ。人々は大きなキャンペーンやPRイベントに飢えている。強力なリバウンドがあるはずだ」と、ガーウィッチ氏によるアフターコロナへの希望的な言及もあった。また同氏は、ベンチャーキャピタルなどが有望な投資先として探しているのは、常に「将来性のあるブランド」であることは今後も変わらないとも話す。

図1

「Focus: Managing Your Business’
Financial Health:
Preserve, Prioritize, Prevail」
セッションより

後半は、視聴者が「スピーカーに聞きたいこと」としてセミナーの登録時に記載した質問に応える時間が設けられた。質問の多くは「店舗が再開したあと販売現場はどう変わるのか」「これから伸びる美容ジャンルは何か」など、COVID-19の影響が今後のビジネスにもたらす変化について尋ねるものだ。

パンデミックを経て、実店舗における衛生面やソーシャルディスタンスに関する消費者の眼がより厳しくなるのは間違いない。資本を持つ大手を中心に非接触のバーチャルツールの導入が進むことも予想される。“クリーン”や“ウェルネス”なブランドや製品を希求する消費者意識も一層高まるだろう。

こうした新しい常識= “ニューノーマル” が消費者像のスタンダードになるなかでは「ただ単にクリーンで安全なだけでは顧客は満足しない。プラスαの価値を提案できるかが、ブランドの成長を左右する」とのフィッシャー氏の意見に全員がうなずいた。

アフターコロナ社会がどうなるのか、かなりの国や地域でなおもロックダウンが続く現在、それを正確に言い当てることは不可能だ。今マネジメントがするべきことは、「自宅待機をしている従業員を含めて、経済面と健康面の双方からスタッフを保護し、コンスタントにエンゲージすることで、企業活動が再開するまで仕事へのモチベーションを維持する努力」とのフィッシャー氏の提言でセッションは締めくくられた。

このほか、オンラインの小売業界誌ModernRetail も 4月23日から会員限定Webセミナー ModernRetail+ Talks をスタートする。1回目はRSE VenturesのCEOが、投資家サイドからみた市場の現況とパンデミック後の投資がどう変貌するのかという予測図を語る予定だ。

コミュニティミートアップもWebに移行

業界のコミュニティメンバーが出会い、つながる場としてミートアップイベントを開催してきた団体も、Webセミナーを始めている。

サンフランシスコ発祥の美容とファッション業界の起業家と投資家が集うコミュニティFaB(Fashion and BeautyTech )は、4月23日に無料ウェビナー「Live “Growth Hacking”」を開催すると発表。デジタルマーケティングのエキスパートであるグロースアドバイザーのデヴィッド・サンゲラ(David Sanghera)氏をフューチャーしたライブセッションで、先の見えない状況下で不安を抱える起業家からの質問にサンゲラ氏が答えていく。参加登録者にはZoomのリンク先を開始の2時間前にメールで送るとしている。

画像5

FaBでは今後も、この起業家が業界のプロフェッショナルに質問をするライブ形式のウェビナーを続ける方針で、第2回は5月13日に「Live “Question from Founders to VCs”」と題して、2名のベンチャーキャピタリストを招く予定だ。

画像4

美容業界の女性管理職のための国際組織CEW(コスメティック・エグゼクティブ・ウーマン)もいままでのリアルイベントに代わり、無料Webセミナーを随時開催する(2019年11月のイベント記事はこちらから)。

Webセミナーでは編集者として美容マガジンAllureを立ち上げ、その後メイクアップブランドFlesh Beautyを創業したリンダ・ウェルス(Linda Wells)氏のトークや、メジャーな美容系インフルエンサーが、クリーンビューティを志向する消費者マインドをフォロワーから得た豊富なデータをもとに紐解くセッションなどをラインナップしている。

冒頭でも述べたように、Webセミナーは従来のセミナーに比べて低コストで、簡単かつスピーディに開催できるという大きな利点がある。しかも、これまで参加が難しかった遠方の在住者はもとより、全世界の聴衆にリーチが可能で集客力も大幅にアップする。Web会議システムなどのテクノロジーがますます進歩していくことを考えあわせれば、セミナーは基本的にWebで開催するのがニューノーマルとなるだろう。

セミナーには知識や情報の収集・交換のほかに、ネットワーキングというもう1つの役割があるが、当然、この “人々の出会いとコミュニケーション” の方法もオンラインへの移行が進む。COVID-19は、その流れを早めるきっかけを作ったといえる。

Text: そごうあやこ (Ayako Sogo)
Top image: Christina @ wocintechchat via Unsplash

ありがとうございます!LINE@で更新情報配信中です。ぜひご登録を!
29
美容業界の国内外のイノベーションを発信するメディアです。詳しくは → https://goo.gl/7cDpmf  BeautyTech.jp(English)move to https://medium.com/beautytech-jp

この記事が入っているマガジン

国別
国別
  • 394本

BeautyTech.jpの記事を国別にまとめたマガジンです。