P&Gが買収したBillie、両社に共通する女性への一貫した「エンパワメント」戦略
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2020年も3月8日の国際女性デーにちなみ、
フェムテックや女性エンパワメントの
トレンドを積極的に紹介します
2020年1月、P&Gが女性用剃刀などパーソナルケア用品を手掛けるブランド「Billie」の買収を完了させた。BillieとP&Gが共通して持つのは「女性をエンパワーしジェンダーギャップを埋める」という強い理念だ。両社が消費者のインサイトをいかにクリエイティブに落とし込み、女性をエンパワメントするメッセージとして発信しているかを紹介する。
ミレニアル・Z世代に大きな支持を得るデジタル・ネイティブブランドであるBillie。設立当初から男性優位のシェービング業界で、「女性第一主義(Billie is female first.)」を掲げ、ジョージナ・グーリー(Georgina Gooley)氏とジェイソン・ブラフマン(Jason Bravman)氏が2017年に起業した。主力サービスは剃刀のサブスクリプションだ。
「毛剃りをする/しないはあなたの自由」剃刀メーカーのメッセージ
Billieでは、サービス開始前に調査を行い、女性が剃刀に対して抱えている不満を特定し、サービス設計をした。一般的に、女性用カミソリは男性用カミソリに比べて約7%ほど高い。いわゆるピンク税と呼ばれるものだ。ピンク税とは、欧米諸国で一般的に女性向け製品やサービスが男性向けのものよりも高額であることを象徴的に表す表現である。実際に政府が特別な課税をしているわけではないが、性差にもとづく価格差に対して世界各地で議論が起こり、ピンク税という言葉が生まれた。
このような動向を受けて、英ブーツ等では女性向け商品の値下げなどが起きている。この点に着目したBillieは、カミソリの価格に不満を抱いている女性に対し、手ごろな男性用カミソリのサブスクリプションサービスを参考に、競合の約半分の価格で、プレミアムシェービングエクスペリエンスを届けるという品質面にも配慮したサービス設計を行った。
また、ほかの剃刀ブランドを分析し、特にZ世代に対して、競合他社が行ってきたマーケティングの課題を洗い出した。1997年以降に生まれ、現在10代~20代前半のZ世代は、まだ自身の価値観が定まっておらず、人の意見に振り回される年齢層であり、そのことに複雑な思いを抱えている世代だ。
そんな彼女たちに響くメッセージは何かを考え抜いた結果、女性の体毛は恥ずべきもので、処理をするのが当たり前という前提の他社のマーケティングとはまったくの反対路線を取った。Billieは「ムダ毛はあなたのもの。ムダ毛を伸ばすのか、剃るのか、その両方か。それは個人的な選択」というProject Body Hairキャンペーンを展開したのだ。
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