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完美日記や3CEを支える韓国ODM大手COSMAX、その強さの背景を探る

◆ English version: Major South Korean ODM COSMAX proves their business model is pandemic-proof, sees sales skyrocket as demand for technology rises
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次々と誕生する新興ブランドを支える韓国の化粧品OEM/ODM企業。その3大トップ企業の1つであるCOSMAXは、世界にまたがるネットワークの生産体制、多様な独自の製造技術、そして、業界のトレンドをいち早くキャッチする即応性を強みにエコシステムの中心に鎮座し、コロナ禍でも売上を伸ばした。その戦略をみていきたい。

近年、グローバル大手に買収されるような新興の韓国化粧品ブランドが増加するなかで、そのプロダクト開発・生産を支えるのがOEM/ODM企業だ。韓国国内におよそ200~300社あるとされており、市場シェアは韓国コルマー、COSMAX、コスメッカコリアのトップ3社で50~60%を占有する状況と推定されている。

特にこの3社はODM(Original Design Manufacturing・発注者のアイディアなどを具現化して設計から製造までを一気通貫で行う企業)としての強みを持つ。OEM(Original Equipment Manufacturing)は発注者の具体的な指示にのっとった製品を製造するのに対し、ODMは発注者のアイディアさえあれば製品化が可能だ。

ブランド側としても、業界の“新陳代謝”が加速するなか、マーケティングに注力するために、生産や開発に関してはODM企業に一任するケースが増加している。なかでも、D2Cなど急成長している新興ブランドからの信頼がとくに厚いのがCOSMAXだ。規模では韓国コルマーとしのぎを削っているが、そのポートフォリオは異なる。LG生活健康やアモーレパシフィックなど韓国大手ブランドを顧客にもつ韓国コルマーに対し、グローバル大手ブランドから国内外の新興ブランドまで幅広いポートフォリオがCOSMAXの強みである。

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出典: COSMAX 公式サイト

急成長する新興ブランドを顧客にもつ強み

COSMAXの売上高は2018年に約1兆2,550億ウォン(約1,070億円)となり1,000億円の壁を突破した。2019年も1兆4,970億ウォン(約1,276億円)と右肩あがりで、新型コロナウィルスの影響が世界中を震撼させた2020年第1四半期でも、売上高・営業利益ともに前年比をわずかだが上回っている。一方、競合である韓国コルマーは、同時期の営業成績が微減している。

COSMAXの業績が堅調な理由のひとつとしては、オンラインマーケティングに注力する各国の新興美容ブランドからの受注があるからだと分析されている。オフライン店舗への依存が強いメーカーやブランドは、店舗の休業などで大きな打撃を受け再稼働まで時間がかかるが、オンラインがメインのブランドは相対的に回復が早い。ここ数年では、国内工場でスタイルナンダの化粧品ライン「3CE」を、また中国市場では「完美日記」ほかのブランドを新規顧客として迎え入れており、それが売上に反映されている。

さらに、こういった新興ブランドからの受注を待つだけでなく、育てる仕組みを韓国小売最大手ロッテグループや、インフルエンサーブランドを輩出育成するプラットフォーム「YOUR BRAND」(ユアブランド)と組んで実現した。ユアブランドは、韓国国内でトレンドリーダーとして強い影響力を発揮する美容系インフルエンサーが、自らの化粧品ブランドを立ち上げることができるビューティプラットフォームだが、その開発から製品化までを担当するのがCOSMAXだ。業界の新潮流として注目されるインフルエンサーブランドと、それを生み出すところから深くコミットしていく宣言ともとれる。

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画像提供:ロッテショッピング

さまざまな特許取得、製品開発

COSMAXは一方で、新興ブランドや既存の大手グローバル顧客の要望に応えていくために化粧品の製造技術そのものに関してもさまざまなイノベーションを続けている。新成分の開発はもちろん、2020年5月末には固形ファンデーションパッドの3D化に成功。特許取得を完了した。

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3Dファンデーションパッド
画像提供:COSMAX

既存のバームタイプのファンデーションパッドは平たく均一な形で他に選択肢がなかったが、COSMAXはその課題を克服。「アートモデリング技術」を開発することで、繊細かつアーティステックな模様のファンデーションパッドを生み出すことに成功した。MISSHAを運営するABLE C&C、People&Coなどの顧客が同技術をすでに採用しているという。

また、ファンデーションの最大の弱みである「ダークニング」(ファンデーションを塗ってから時間が経過すると一部、または全体が暗く変色すること)を防ぐ「X-fine」という技術も開発した。2020年以降、真夏でもマスク着用が必須となる状況下でも変色があまり目立たないとされる。今後、BBクリームや日焼け止めにも応用される予定だ。

そのほかにも、体内微生物が分泌する代謝物質で老化を防ぐ「マイクロバイオーム化粧品」、水を主原料に製造したネイル製品でアセトンなしに除去できる「水性ネイルエナメル」なども開発している。

このように、COSMAXはハイブランドから新興を問わず、国内外の多くのブランドの要求に応えられる技術を保有しているのが最大の優位性だ。国内にいくらブランドが増えたとしても、確固とした製造技術を持つ企業は限られる。エコシステムの中心になくてはならない存在として、“強力な黒子”というポジションを築いているのだ。

今後も、グローバル市場では多くのブランドが栄枯盛衰を繰り返すだろう。しかし、COSMAXにとってその流れによるデメリットはない。市場が拡大すればするほど、その蓄積された技術、ノウハウ、知見を求められる舞台が広がるからだ。

創業後25年でグローバル展開にも注力

COSMAXは1992年の設立で90年代に国内生産拠点を拡大し、化粧品生産の品質管理などと関連した「CGMP認証」「ISO9001」など国内・国際認証を取得。2002年には、KOSDAQに上場した。

続く2004年には、韓国ODM企業としては初めて、ロレアルグループの製品を開発・生産し、アジア各国に供給を開始した。同年には、スリーアップルズグローバルという海外マーケティング専門企業の子会社も設立。海外輸出を本格的に加速させていく。

2006年にはオーストラリア医薬品管理局の適正製造規範(GMP)を取得。続く2007年、健康機能性食品のODM事業を強化するため、イルチン製薬(現COSMAXBIO)を買収した。2010年からは中国事業の拡大を目指しCOSMAX広州有限公司を設立。現地に新工場を建設している。2013年にはロレアルのソロン工場(米・オハイオ州)を買収し、COSMAX USAを設立した。

2016年には、世界3大ハラル認証機関であるインドネシアのMUI認証を取得。COSMAX Indonesiaを設立してハラル化粧品の本格生産を開始した。インドネシアの美容プラットフォームのランキングでは、選ばれたトップ7のクッションファンデのうち、6ブランドがCOSMAXが生産を担当するものだったと同社のInstagramで公開されている。

その翌年の2017年には、タイに法人進出。東南アジアの攻略に乗り出している。2018年には、仏EXPERTISE VEGANE EUROPE(EVE)から、化粧品生産設備に対して、アジア初となるヴィーガン認証も獲得した。現在、世界各地の工場を合わせた年間生産能力(CAPA)は、17億7,000万個を超えたと公表している。

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出典: COSMAX 公式サイト

2019年の売上高は、韓国コルマーの1兆7,291億ウォン(約1,547億円)に対し、COSMAXは1兆4,970億ウォン(約1,340億円)と、その差は決して大きくはない。COSMAXと韓国コルマーの創業者は年齢も創業時期も近く、ともに韓国の製薬会社、大熊製薬で働いた経験があるという背景からも、ライバル関係が注目されている。

いち早く韓国大手化粧品ブランドや、The Face Shopなどのいわゆるロードショップ世代として一世を風靡したブランドを顧客にもち、トップを独走していた韓国コルマーに対し、2番手と呼ばれ続けたCOSMAXだが、グローバルな新興D2Cブランド、インフルエンサー、ハラル、ヴィーガンなど、化粧品市場で起きる新しい動きを先回りして猛追し、対応策やコネクションを培ってきた。その過程で逆転はあるのか。その競争の行方からも目が離せない。

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)
Top image: COSMAX

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