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コスモプロフ アジア2018はナチュラル&オーガニックが圧倒的な存在感

◆ English version: Natural, organic cosmetics take center stage at Cosmoprof Asia
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香港で毎年開催されるアジア最大級のビューティ見本市、コスモプロフ・アジア(Cosmoprof Asia)。2018年の主役はずばりナチュラル&オーガニックだ。世界の美容業界関係者が一堂に会し、活気溢れるメイン会場の湾仔国際展示会議場をレポート。来たる2019年の美容業界の潮流を占う。

2018年11月13~16日、香港中心部の湾仔国際展示場と香港国際空港に近いアジア・ワールドEXPOの2会場で開催されたコスモプロフ・アジア2018。第23回目を迎えて、53の国と地域から昨年比5%増の3030社が出展し、世界各地から8万7,000人を超える来場者が訪れた。

美容大国フランスは自然派コスメ大国

世界中のビューティ産業の最新トレンドが集結するコスモプロフ・アジアだが、今年の主役は何といってもナチュラル&オーガニックコスメである。昨年からブームの片鱗が見えつつあったが、今年は圧倒的な存在感で会場を席巻していた。それに伴い、「ナチュラル」が網羅するジャンルもボディ&スキンケアにとどまらず、デンタルやヘアなど幅広い範囲の製品やブランドが出品されている。

まず目にとまったのが、1996年創業の中堅自然派化粧品ブランドLe Petit Olivier だ。オリーブオイル、アルガンオイルなど、南フランス・プロヴァンス地方の自然の恵みを生かした製品で定評がある。

今回、フィーチャーされていたのは、大気汚染物質から肌を守ることをうたったAnti-Pollutionラインで、アーモンドブロッサムの抗酸化作用、スーパーフードとしても最近話題のモリンガの強力な浄化作用を利用して、有害な大気汚染微粒子を除去し、アーモンドオイルの薄いバリアで肌を保護するというものだ。

大気汚染問題が深刻な中国本土へのマーケティングを意識してのことか、輸出部門の担当者に尋ねたところ、「中国本土では輸入品を含めたあらゆる化粧品に動物実験による安全証明を必須としているため、現在のところ参入できない」との答えが返ってきた。

自然化粧品のブランドは、成分や製法はもとより環境保護や動物愛護への意識が高く、動物実験に反対の立場をとる。中国本土での動物実験に関するこのジレンマを会場のあちこちで耳にした。ナチュラル&オーガニックコスメの世界的なトレンドが、中国本土の規制を和らげるだけの力を持つようになるのか注目されるところだ。

フランスのUnhycosのOEコレクションも大気汚染物質除去を強調していた。このコレクションの中心は、欧州、そして香港でも洗顔の常識といわれる拭き取りクレンジングのミセラーウォーターに、肌タイプ別にアロエベラ、ローズ、アイリスの成分を加えた3つの製品だ。

オリーブオイルと月桂樹の葉だけを原料に手作りされる、シリア名産のアレッポ石鹸のブースもあった。製造元のスキンケアブランドNajelは、3000年以上続く古代からの製法を受け継ぎ、化学添加物は一切使わず、9ヶ月間天然乾燥させて生産している。まさに元祖自然化粧品ともいえる製品だ。フランスが本拠地ながら工場は今もシリアに置いている。

一方、「非オーガニック製品より安いオーガニック製品」と、高品質かつ値頃感があることをセールスポイントにした、こちらもフランス発のAvril は、スキンケアとメイクアップの両ラインを展開。品質には妥協せずに価格を抑えるために、パッケージングを徹底的に簡素化。また広告宣伝費を一切かけない。人気商品は、オーガニックのウォータープルーフマスカラで、フランスでの価格は7ユーロ(約900円)と確かに手頃だ。

ナチュラルなデンタルケア

ナチュラル&オーガニックの隆盛により、天然原料を使用したデンタルケア製品にも注目が集まっている。

1905年創業でイタリア初のデンタルケアブランドPasta del Capitanoは、それまでは粉だった歯磨きを、世界で最初にペースト状にした由緒あるブランドだ。創業者が元陸軍大将の薬局経営者であったことが名前の由来になっており、海外向けに創業者のイラストをあしらったレトロなパッケージングを採用したことで、セレクト雑貨ショップにも置かれているという。カーネーションの葉、クローブ、シナモンや4種類のハーブ、ビタミンAとCを使ったのがオリジナルフレーバー。パラベンフリーで、ホワイトニングや喫煙者向けなどの現代のニーズに合わせた商品も揃えているほか、ベビー用もある。

ナチュラル&オーガニックブランドでは、開発の動機として「自分の子どもが安心して使えるものを作りたかった」という声をよく耳にする。また、消費者からの要望も強いので、大人用と子供用のデンタルケア製品を揃えているメーカーは数多い。

実力派台湾発ブランドが静かな存在感を発揮

ナチュラル&オーガニックコスメでは、フランスのほかに、知名度は低いが、トレンドをフォローしたこなれたプレゼンテーションと魅力的な製品を提案する台湾発のブランドも健闘していた。

Cellinaは1940年創業の台湾の老舗ブランド。台湾の高山で作られたオーガニック玄米から、超音波による特殊なナノ技術を用いて抽出したエッセンスを主成分にした、スキンケアコレクションPure Riceを展開している。「現在の自然派化粧品のトレンドやEUの厳しい規制など、時代の要請に合わせた新商品が必要」と開発したものだ。パラべン、シリコン、アルコール、人工着色料、ミネラルオイル、香料、動物性物質はすべて未使用となっている。

壁一杯のバラのデコレーションで、来場者のちょっとしたインスタスポットになっていたのが、やはり台湾からのArwin Bio-Tech社。バラやジャスミン、オレンジを栽培する自社農園や、植物由来成分専門の工場を持ち、ヨーロッパの化粧品会社へのOEMのほか、自社ブランドも持っている。ローズウォーターをベースに、クレンジング、保湿、ホワイトニングをすべて1本でこなすオールインワン洗顔ムースと、フィトンチッドを使ったソープをメインに出品していた。

機能性が高い製品とデザイン性に優れたパッケージが特徴のMaskingdom は、長年にわたるヨーロッパブランドへのOEMおよびサプライヤーとしての実績がある台湾企業が、満を持して自社ブランドを展開している好例だ。

コンパクト風ケースに入ったオーガニックハーブクレンジングペーパーは、水を含ませて肌を撫でるだけで、洗浄と保湿を同時に行えるという。また、経穴への刺激を与える磁石入りのホットアイマスクといったユニークな製品もある。アイマスク、リップマスク、フェイスマスクに胸用マスクを揃えたギフトセットは、竹炭使用の黒とツバメの巣や真珠を配合した白の2パターンに、マスク自体にはイタリアのボビンレースを取り入れたデザインを採用するという、非常に凝ったつくりで、ウェディングギフトとして好評だ。

他国のOEMを担ってきた技術力と実績があっても、自社ブランドとなるとプロデュース力がまだまだ低い業者が国を問わず多いなか、このMaskingdomには、全方位に力を注いでいる本気を感じさせられた。

パーツに特化した機能性マスクがトレンド

ナチュラル&オーガニック以外の分野に目を向けると、昨年に引き続き、マスク人気が今年も継続している。傾向としては、かかと、唇、目元など、パーツに応じて最適な美容成分とマスクの形状を組み合わせたタイプが登場してきた。目元に特化したマスクはもはや定番で、フェイスラインを引き締める顎専用タイプなどもある。また、LEDライトを組み込んだ美顔器一体型のマスクも多数見られた。

最新技術とアイディアから生まれたサービスや製品

VR(仮想現実)、AI(人口知能)など、最先端技術を生かした展示や製品、サービスも随所で見受けられた。

アリババが運営するECサイト、Tmall(天猫)のブースでは、肌の状態を分析して、その結果に合わせたスキンケアのお勧め商品を提案する、セルフコンサルテーション機器を展示。画面に表示されるQRコードを読み取り、自身のスマホからも診断結果にアクセスできる。

韓国Habalan Med & BeautyのPoblingは、スマホに取り付けるメイクアップパレットとビューティアプリのChoipopを連動させた、スマートAIメイクデバイス。スマホ画面をスマートミラーとして活用し、気になる部分をズームしたり、記録用に写真を撮ったりして、メイクの上達に役立てるのはもちろん、メイク用品の使用法やプロによるチュートリアル動画の再生と、ミラー機能を同時に実行できる仕組みもある。

同じく韓国の化粧品ブランドELROELのブースでは、VR映像でイメージモデルを務めるK-POPスターの動画を再生し、そのメイクアップを眼前でリアル感たっぷりに見られる体験が話題を呼んでいた。

また、ペット美容の需要も世界的に高まっている。肌の洗浄や再生を促し、美容成分の浸透力を高めるプラズマ技術を使った美顔器で知られるプラバイオ が、獣医との協力のもとプラズマによりペットの肌や毛をケアするPLAPETを開発し、2018年6月にローンチした。かゆみの原因となる雑菌を取り除き、肌のトラブルを解消し、肌再生力の向上、毛の除臭や発育促進などの効果が安全に得られるという。

世界最高の美容展示会へと成長するコスモプロフ

これから海外進出を狙う新興ブランドにとって、コスモプロフが重要なネットワーキングとプロモーションの場であることは間違いない。さらには、すでに業界で地位を確立している企業にとっても、コスモプロフには参加すること自体に意義があるようだ。

ジェニファー・ロペスやマドンナが愛用するインドネシアの老舗ブランドで、世界初のつけまつげ専門会社でもあるROYAL KORINDAHのマネージング・ダイレクターは「かつては欧米での展示会にも参加していたが、今はコスモプロフ・アジアだけ。欧米の展示会よりも、アジアを含めた全世界の業界人が訪れるから、新規の顧客を探しているわけではなくても、ここに来て存在を示すことが大事」と語ってくれた。

Text: 甲斐美也子(Miyako Kai)

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