IT大国・エストニアの強者はサウナの10分間で起業する!【美容圏外】
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“スーパーIT先進国”というイメージがすっかり定着した感のあるエストニア。共産主義時代を経て、あらゆる手続きがネットでできるこの国では、スタートアップ企業の登記すらサウナに入った10分間でできてしまう。IT大国に生まれ変わった北欧の小さな国が今、世界から注目される理由をひもといてみた。
いまでこそEU(欧州連合)にもNATO(北大西洋条約機構)にも加盟しているエストニアだが、30年ほど前まではソビエト連邦を構成する15の共和国のひとつだった。1991年の独立にあたっての悲願は、二度とロシアの支配を受けないこと(エストニアは11世紀以降、ロシアから5回も侵略を受けている)。そして、新政府は仮に再びロシアに占領されても機能する強力な行政システムを作り上げると決意した。
国家の生き残りをかけた「IT化」
そこで出てきたのが、政府のソフトウエア化というアイデアだ。庁舎や書類といったハードウエアが破壊され、物理空間におけるエストニアが消滅しても、データさえ残っていれば仮想空間では国家として存続できる。
つまりテクノロジーによる国の活性化だのコスト削減だの、そういうナマっちょろい話ではなく、電子化は国家の生き残りをかけた施策だったのだ。簡単に言えば、教室で隣の席にジャイアンが座っていたら、それは何とかしなきゃしょうがないよね、という状況を想像してもらえばいい。だからこそ、国民が一丸となって真剣に取り組んだ。
日本でシステムの電子化を実装しようとすると、プライヴァシー保護の問題が必ず議論されることになる。しかし、秘密警察による監視が当たり前だったソ連時代を経験しているエストニアでは感覚がだいぶ違うらしい。
image: Ruslan Valeev via Unsplash
話を戻すと、エストニアの新しい国家戦略に有利に働いたのは皮肉にもソ連時代の遺産だった。首都タリンには1960年に「サイバネティクス・インスティテュート」なる機関が設立され、かなり早い段階からコンピュータの設計や生産が行われていた。またエンジニア養成を目的とした理系科目重視の教育のおかげで人材も豊富だった。
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