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バーバリーがWeChatミニプログラムでリアルと融合の「ソーシャルリテールストア」

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英国のファッションブランドBurberry(バーバリー)は、新しいショップ体験を提案する「ソーシャルリテールストア」を中国にオープンした。耳新しいコンセプトの一端を担っているのはテンセント(騰訊)が運営するWeChat(微信)ミニプログラムだ。店舗の全体像と直近のWeChatでの化粧品ブランド活用事例についても紹介する。

バーバリーは2020年7月31日、広東省深圳市のショッピングモール「深圳湾MIXC」に「BURBERRY OPEN SPACES(空・間)」を開店した。同社のウェブサイトによると「ブランド創業者、トーマス・バーバリーより受け継ぐイノベーティブな精神から誕生した先駆的なソーシャルリテールストア」であり、「リアルとソーシャルの間に存在する次世代型店舗」だという。

現地の報道によると、同社のマルコ・ゴベッティ最高経営責任者(CEO)は「我々はテンセントと協力して新しいコンセプトを作り上げ、高級ブランド品ストアに寄せられる期待を再定義した」と述べている。その新コンセプトの“ソーシャル”に当たる部分となっているのは、WeChat内にローンチされた専用ミニプログラム「Burberry社交零售精品店(ソーシャルリテールストア)」である。ここは、中国・深圳にオープンしたリアル店舗であるBURBERRY OPEN SPACES(空・間)にてユーザーが撮った写真や動画を投稿できるようになっており、閲覧したほかのユーザーが「いいね」をすることができる。

このバーバリーのミニプログラムでは、バーチャルながら商品も紹介しており、ユーザーはその商品に対するコメントを書き込むことができる。商品によっては、バーバリーの別のミニプログラム「Burberry線上精品店(オンラインストア)」から購入できるものもあるが、このソーシャルリテールストアからの直接購入はできず、BURBERRY OPEN SPACESでの試着予約を促す仕組みになっている。

ミニプログラムによってさらに充実するユーザー体験

同ミニプログラムでユーザー登録をすると、まず動物のキャラクターが与えられる。キャラクターは店舗やミニプログラムでの交流によって成長していき、新しいキャラクターや着せる洋服が追加されるというゲーム要素が実装されている。

また、ミニプログラム内で気に入った商品が見つかると、前述のリアル店舗BURBERRY OPEN SPACESでの試着を予約することができる。フィッティングルームは、無限の合わせ鏡や再解釈されたトーマス・バーバリーのモノグラム、鹿のパターンなど異なる内装の3タイプから選ぶことができ、40曲のプレイリストが用意され、好きな曲を聴きながら試着を楽しめるという。

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バーバリーのソーシャルリテールストア
のミニプログラム
出典:Wechatのミニプログラム
「Burberry社交零售精品店」

BURBERRY OPEN SPACESには、539平方メートルの広い空間にユーザー体験を重視したさまざまな仕掛けが用意されている。エントランスには、2020年秋冬コレクションのランウェイをイメージした鏡張りのショーウィンドウがあり、「トーマス・バーバリー モノグラム」が来店した客の身体の動きに合わせ、自在に形を変える。人気の撮影スポットとして、多くのユーザーがミニプログラム内に画像や動画を投稿している。

ブランドを象徴する“コート”をテーマとするトレンチエクスペリエンス・エリア内には、「隠し部屋」が設けられ、ユーザーはミニプログラムを通じて解錠する。悪天候に強い布地を生み出すというトーマス・バーバリーのビジョンにオマージュを捧げているという。

また、店舗内の商品に付いているタグにはQRコードが印刷され、スマートフォンで読み込むと、商品の詳細や商品に込められたストーリーを閲覧することができる。これはバーバリーでは初の試みだ。 

店舗にはカフェ兼コミュニティスペース「THOMAS’S CAFE」を併設。伝統のベージュカラーや、バーバリーユニコーンや鹿など動物のプリント&パターンをフィーチャーしたセレクションのアニマルキングダムなど、ブランドシンボルをモチーフにしたインテリアが特徴で、席の予約もミニプログラムを通じて可能だ。

メニューには英国と中国の茶文化を取り入れ、カフェとしてだけでなく、講演、ワークショップ、展覧会やライブパフォーマンスなどの会場としても使用される。ミニプログラムにはさまざまな交流を通じて入手できるソーシャル通貨があり、それをカフェで利用できるクーポンに交換する仕組みもある。

このバーバリーのソーシャルリテールストアはSNSでも話題になっており、Weibo上ではハッシュタグ「Burberry空間」の閲覧数が8,300万を超えている。タレントやKOL(キー・オピニオン・リーダー)など、多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーたちも訪れて画像を投稿している。

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ユーザーやKOLが投稿した店内の様子
出典:Wechatのミニプログラム
「Burberry社交零售精品店」

そのコメントの多くは「未来的」というものだ。たとえば「従来のショッピングのイメージを完全に覆す。ファッションとテクノロジーが融合し、フィッティングルームも新しい趣向で遊び心がある」「消費と文化の間の隔たりが溶け、ファッションと芸術の境界が曖昧になっている」など、境界線を超えた体験という声が散見される。

ワトソンズはWeChatを通じて美容部員とユーザーを繋ぐ

このソーシャルリテールストアに限らず、WeChatミニプログラムは美容業界でもオンラインショップを運営するなどの用途で広く活用されているが、その利用方法は多様化している。コスメを中心に扱う香港のドラッグストア「ワトソンズ(Watson's/屈臣氏)」では、2020年からWeChat上でのコミュニティづくりに力を入れている。

1月にワトソンズは企業アカウントを通じ、中国大陸に展開する約3,900の店舗の美容部員とユーザーが「友達」になれる機能をリリースしたと発表。これによりユーザーは、スキンケアやメイク、商品のことについていつでも質問できるようになった。

たとえば、ある店舗を訪れたユーザーの目当ての商品がそこになかったときは、WeChatを通じて別の店舗にいる美容部員が探してくれる。見つかった商品は配達してもらえるほか、取り置きも可能だ。

ワトソンズ中国 CEO クルヴィンダー・ビリング(Kulvinder Birring )氏は「6,500万人以上の会員を維持しつつ、さらに多くの新しい顧客を引き付けるには、美容部員と消費者の緊密な関係を確立し保つことが重要だ。 私たちが自社開発したビッグデータプラットフォームを使用し、WeChatを通じてすべての顧客と効果的に対話し、ワトソンズをすべての顧客のお気に入りブランドにしたい」と意気込む。

ワトソンズがWeChatで美容部員の活用を始めたのは新型コロナウイルス感染症の問題が表面化する前だが、感染が拡大して多くの小売店が休業を余儀なくされると、「PERFECT DIARY(完美日記)」が美容部員によるライブ配信を行うなど、オンラインセールスの軸に美容部員をすえる施策がブランドを問わず主流になってきている。

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PERFECT DIARYの美容部員による
ライブ配信の模様
出典:Wechatの
PERFECT DIARYミニプログラム

またワトソンズは2020年2月には、新たなミニプログラム「屈臣氏雲店(ワトソンズクラウドストア)」をローンチした。すでにミニプログラムで別のオンラインショップを運営しているが、同ストアは各地にあるリアル店舗から商品が直接配送されるところが特徴だ。在庫のある店舗から3km以内であれば、1時間以内に配達してくれる。またAIバーチャルキャラクター「Wilson(屈晨曦)」との会話機能などもある。地元メディアによると、同ストアはローンチから半年で売上が5億元(約77億5,000万円)を超えたという。

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直接配送に特化した「屈臣氏雲店」
AIバーチャルキャラクターと対話もできる
出典:Wechatのミニプログラム
「屈臣氏雲店」

ライブコマースの実装がミニプログラムで進む

全世界の月間アクティブユーザー数(MAU)が12億を超えるWeChatは、コミュニケーションツールとしては絶対的地位にあるが、実はEC分野では遅れをとっている。巻き返しを図るため、ユーザートレンドにそった機能は積極的に取り入れているとみられる。

2019年7月には、ロレアルグループ傘下のModiFaceが開発したARバーチャルメイクがWeChat上での提供を開始。アルマーニがミニプログラム「阿瑪尼美粧官方精品商城(アルマーニビューティ公式ストア)」に実装した。ユーザーは、リップの色を画面上で試すことができる。

また、WeChatはコロナ禍の2月にライブ配信機能を実装。ミニプログラムを通じてライブが可能で、オンラインショップを通じそのまま購入まで完結させる。3月8日の国際婦人デーのセールイベントでは、2,000人が延べ900時間を超えるライブ配信を実施。ジャンルはファッション、コスメ、スポーツ用品などさまざまで、中国テック情報メディア「199IT」によれば、百貨店「歩歩高」では1日の取引額が2,000万元(約3億1,000万円)を超えたという。

一方、ワトソンズもクラウドストアでライブコマースを行っている。中国では、経営トップが自ら出演することが珍しくない。大型ECセールイベント「618」の前週には、ビリング CEOやタレントの毛省曈らが出演して商品を紹介した。2時間の配信を40万人が視聴し、売上は65万元(約1,000万円)に達したという。

ソーシャルリテールストアは成功するのか

EC分野でも上位に食い込みたいテンセントは、バーバリーと組んでローンチさせたソーシャルリテールというコンセプトに今後も機能の追加や、多分野のブランドとのコラボなど、WeChatを使ってさまざま展開をしていくだろう。ただし、それが成功するかはまだ不透明だ。

このバーバリーが採用したミニプログラムはソーシャルを目的としたつくりになっているが、投稿するのは店舗内での画像や動画に限られており、普通のSNSのように毎日見るような性質のものではないからだ。実際、投稿されている画像の数自体はそれほど多くない。

話題づくり以上に、このスタイルでのマネタイズは、店舗とミニプログラムを繋ぐ魅力的なイベントを頻繁に行うなど、それなりの工夫が必要となりそうだ。この実験的な試みの行方が注目される。

Text: チーム・ロボティア(Team Roboteer)
Top image: Faizal Ramli via Shutterstock

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